線路 | 怖っ!怖っ?怖い話 | 怖っ!怖っ?怖い話
TOP >  職場での怖い話 > 線路

線路

東京駅と高尾駅の間を往復する中央線は利用者が多く、とても混雑する路線であり、しょっちゅういわゆる『人身事故』で止まります。

私は、その運転をこの半年しているものですが、同僚の間で様々に噂をされている幽霊を見たことは1ヶ月前まではありませんでした。

しかし1ヶ月ほど前から、立川まで後少しの、とある駅の下りホーム手前に毎晩いるんです。

赤黒い色のワンピースを着ていて、長めの髪に少しウェーブがかかったような感じの若い女性で、最初はいつも線路脇からうつむいて線路を眺めていました。

最初に見たときは急ブレーキをかけましたが、すぐにすっと消えてしまいました。

ものすごく驚いて、何故かしびれた指先を眺めながら、しばらく呆然としていましたがすぐに我に返り、遅延に対するいくつかの処置をしながら駅へ電車を入れました。

その後も、夜間にその駅に侵入するときには必ずその人がおり、電車が近づくと消えてしまうというのを繰り返していました。

ただ、一昨日の夜は近づいても消えず、彼女は線路に向かって歩いてきたのです。

どうすることもできず、私はそのままその幽霊を轢きました。

そして昨晩彼女は、線路上から初めてこちらを見上げました。

電車の下に消えていきながら、かすかに笑ったように見えたその顔は、目の辺りがぼうっと暗くなっていて、そこには何も見えませんでした。

今日の休みが終われば、明日はまた勤務します。

私は明後日の朝を迎えることができるのか、よく分かりません。

乗客の皆さんを巻き込むような事故だけは起こさないようにと思っています。

© 2022 怖っ!怖っ?怖い話