いたずら電話ってあるよな。
電話番号を変える前、家にもよく掛かってきてたんよ。
もしもし言う前に切る奴、終始無言な奴、ハァハァ聞こえる奴、色々。
ナンバーディスプレイなんぞ無い時代だったし、対処のしように親は困ってたみたい。
でも、俺と姉はそんな暇なやつらを逆に面白がっててな。
無言電話なら、ずっと切らずに放置して電話代増幅してやろうぜwとか。
ハァハァ言う人にはわーっ!って大声出したりしてからかったりしてた。
そんで、その日もいたずら電話は掛かってきた。
姉が出て、「いつものいつものw」っていう。
どれー?って聞くと「無言!」ってうれしそうに返してきた。
俺たちは、クスクス笑いながら今度はいつまで保つかな?とか言ってたんだが、突然姉が押し黙っちまった。
どうしたん?ねぇ?って聞いても返事一つくれない。
そんで今度は突然「ぃや!」とか言って切っちまった。
なんだったの?って聞くと「気持ち悪い、ぴぴぴ・ぴぴって聞こえてきた」とか言い出す。
ぴぴぴ・ぴぴってのは何だろう?
俺も後に聞くことになるんだけど。
FC音源で音程がぴぴぴ↑・ぴぴ↓って感じ・・・・・・わかりにくいな。
しばらくしてまた電話が掛かってきた。
姉は、さっきのがそんなに恐かったのか出ようとしない。
じゃ僕がっ、て出ると、また無言電話。
姉は恐がって早く切れ早く切れって言うけど、俺には面白くしかないし、内心姉の聞いたぴぴぴが聞きたかった。
2分くらい粘ったかな?
ついに電話の向こうから小さくだけど、ぴぴぴが聞こえてきた。
一定のリズムで何度も何度もぴぴぴ・ぴぴ ぴぴぴ・ぴぴ ぴぴぴ・ぴぴ
徐々に大きくなってる気がする・・・
少し恐いけど好奇心の方が勝り、しばらくそれを聞き続けた。
そしたら
『う゛あぁああぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!』
「うわっ!!」
電話を思わず切った。
男の野太い声で苦しそうな叫び声。
今でも覚えてる。
その日の夜、親が帰ってきてから姉は電話を変えてと親に嘆願してた。
よっぽど恐かったらしい。
親も電話局に相談して電話番号を変える事と相成った。
おかげさまで俺んちの電話番号はどんな電話帳にも載ってない。
載せないように手筈されてるらしい。
まぁ今から考えれば、向こうの反撃以外何者でもなかったって、いやそれでおしまいな話だわな。
ただすっげぇ気持ち悪かった。
ぴぴぴも声も。
ぴぴぴはなんか吸い込まれるなんかを感じた。
姉によると、恐らくはぴぴぴ聞こえてる間、俺も姉と同じように無口になってたそうだ。
全然その気はなかった。
というか、姉の声なんかその時してなかったんだけどな。
なんだったんだろう。