感動のラストシーン
「ドラえもん。のび太の海底奇岩城」
の、感動的なラストシーンは、当時小学生だった頃から、俺に解けない疑念を抱かせている。
男らしく戦ったジャイアンが敗れ。
普段貧弱なスネ夫が、健闘虚しく捕まり。
射撃の腕で敵を畏怖させた、のび太もついに倒れ。
捕まったしずかを助け出せるのは、ドラえもんだけだった。
そのドラえもんも、ポセイドンを前にして力尽きてしまう。
「もう駄目か…」
しかしその時、しずかの涙がバギーを呼び起こす!!
バギーは特攻し、その命と引き替えにポセイドンに引導を渡した…
その後、ついに平和を勝ち取った海底市民たちが開いた戦勝パレードで、のび太はしずかが手に持つ、ちいさなネジに気づく。
のび太が尋ねると、しずかは涙を隠さずに答えた。
「バギーちゃんよ」
その時である。
俺は、俺の幼稚さは、見る者の涙を誘う、一番感動的なシーンを完全に破壊してしまった。
「あれ、ポセイドンのじゃね?」
涙を流していた母親の横顔が、凍り付いたのが今でも忘れられない。