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みゆき

みゆき 

僕の初恋は幼稚園の年少さんの頃。相手は「みゆきちゃん」という女の子でした。苗字は全く覚えていません。遊んだ記憶もあまりありません。
小学校が別々だったために、幼稚園卒園以来会ってもいません。
ただ、その頃撮った集合写真を眺めるたびに、その子のことを想います。
小学校低学年の頃、中島みゆきが『わかれうた』というヒット曲を出し、僕の認識するところとなります。中島みゆきの第一印象は、初恋の「みゆきちゃん」と同じ名前で、とても暗い歌を艶めかしく歌う人だなあという感じでした。
そして時は流れ、僕が中学に上がる頃中島みゆきは『誘惑』というヒット曲を出します。その曲は思春期を迎えた僕の心に突き刺さりました。
「あなた 鍵を 置いて
 私 髪を 解いて
 さみしかった さみしかった
 夢のつづきを 始めましょう」

というサビの部分の歌詞が何を意味するのか、中学一年生の僕にも理解できました。
当時30歳の中島みゆきは、テレビには全く出演していなかったのですが、ラジオから流れる歌を聴いたり、レコードのジャケットの写真を目にしたりして、小学生の頃に抱いた第一印象の艶めかしさはさらに増幅しました。
まさに僕の性の萌芽と時を同じくして、中島みゆきは理想の大人の女性として僕の脳に大きなインパクトを残したのです。
同じ年の秋に中島みゆきは『横恋慕』という曲をヒットさせます。この曲もまた女と男の恋愛の機微を歌った妖艶な歌でした。
この曲で、中島みゆきは思春期の僕にさらなる大きな衝撃を残し、少し成長した僕のリビドー(性衝動)の対象というか憧れ的存在として確固たるものになったのです。
そこで僕は考えました。もしも、初恋の女の子の名前が「みゆき」じゃなかったとしたら、または、中島みゆきの名前がみゆきではなかったとしたら、僕はこんなに影響を受けることはなかったのではないかと……。
初恋の女性の名前とその後に恋する女性の名前との因果関係を密かにじっくりと考察してみました。
その結果は……、単なる偶然だと思われます(笑)

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