結婚相談所
結婚相談所
結婚相談所に登録していたある男のもとへ相談所の職員から電話があった。
相性が100%の相手をコンピュータが弾き出したとの連絡だ。相性が100%
だと言う事は滅多に無いそうで、これこそ赤い糸で結ばれた2人だと職員も
興奮気味に伝えてくる。そして、相手の女性も既に相談所へ着ており男性と
会ってみたいと言っている貴方も来ないかと誘ってきた。男も待ちに待った
結婚相手である。受話器を持ちながら小躍りに喜ぶ位だから二つ返事で
行くと言いたい。しかし、この相談所の相手を探す時の条件で不問になって
いたある事が男にとって気掛かりだった。
「あの、大変尋ね難い事なんですが、一つ確認したい事がありまして…」
『はい何でしょう?』「実は相手の女性が処女かどうか知りたいのですが」『えぇ?』
「いえ、あの、くだらない事だと思われでしょうが、私にとってはそのどっちかで
あると言う事がとても重要な事でして…」『はぁ?』
興奮気味だった相談員も気の無い返事である。それもそうだ、現在は男尊
女卑の時代ではない。男はそう思いながらも後には引けず更に続けた。
「それがハッキリしない間は会ってもしょうが無いと思いますから、是非にも
確認して下さい、返事はそれからです」
『判りますた、そのどちらかなのかがハッキリすれば良いのですね?
それでは暫くお待ちください』
そう言うと受話器からは待ち受けのメロディーが流れてきた。男は待った。
何分待たされたのだろうか、もう20分はメロディーを聞かされたままだと男は
不安になった。相手の女性とトラブルになったのだろうか?そう思っていたら
受話器からメロディーが消え、息を荒げた相談員の声が聞こえてきた。
その陰から更に女性と思われるピンクの吐息も男の耳に聞こえてくる。
『フー、今しがた彼女は処女ではなくなりました…、で、貴方はここに来る
のですか、来ないのですか?』
男は受話器を落とした。