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ねぇマスター
友人の御主人が脳溢血で急逝した。
四十九日が明けてから、友人が御主人行きつけのバーに御主人の死を伝えに行くと、バーのマスターは御主人が亡くなったことをすでに知っていた。
週2回ほど、気がつくとカウンター隅の席に御主人の幽霊が座っているのだと言う。
マスターは黙って御主人のボトルと氷と水を出してあげていたが、御主人が消えるたびにボトルのウィスキーは微妙に減り続け、とうとう無くなったので
「今は水割りを出してる」
と、マスターは言ったそうだ。
「悪いから主人の名前でボトルを入れてきた」
と、友人は語った。
ほの怖なのか、ほのぼのなのか、マスターが詐欺野郎なのか、自分にもよくわからない。
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土下座の仕方
1、青ざめます。ともかく顔から笑みを消しましょう。笑って誤魔化す癖は直しましょう。
2、最大で5歩ほど素早く後ずさりしましょう。その時下がるにつれてやや前屈みになり、次の行為を或る程度予想させましょう。
3、スーツ着用だろうとなんだろうと、ともかくその場に足を開いて正座します。裾が伸びるなど気にしてはいけません。
4、相手を一瞬だけ見上げます。じっと見てはなりません。
5、そして一気に渾身の力を込めて頭を振り下ろします。開いた足の間に上半身をめり込ませる形でやります。
6、そして相手に最大の敬意を込めて、本心を伝えましょう。言葉を飾ってはいけません。
7、相手の許しの言葉を待ちます。それでも許しをいただけない場合は、やや上半身をあげ、首を思い切り上げ、今度は少しばかり長く相手を見つめます。
8、そして再び頭ごと上半身を振り下ろします。二度目のこの時は、頭を地面に打ち付けましょう。
9、それでも許しを与えないようなら、相手を殴り倒してその場から去りましょう。他にやることがあるはずです。
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アクロバット長電話
今はもう実家離れたのでできないのだけど。
実家にいる時、友達とか彼氏から家に電話がかかってくると、家族に聞かれたくないが為に、電話機を持って廊下で話していた。
長話になると体が手持ち無沙汰になるので、廊下を横切るようにして足を伸ばして座り、背中と足の裏でつっぱって、壁をのぼってた。
結構、無意識にやってしまうので、はっと我にかえると天井付近まで到達。
くるくるしたコードも伸びきって、電話が中に浮いてる状態。
「どうやって降りるのこれ!?」
といきなり焦って会話は上の空。
一回、夜中に暗い廊下で電話しながらそれをやってたら、親が廊下にやってきて、天井までよじ登っている私を見て幽霊と勘違いしたらしく
「ハワァー!」
と、叫んで固まられた。
私も親の悲鳴にびっくりして転落。
腰をしこたま打って、それから腰痛持ちになりました。