「 ほのぼの 」 一覧
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忘れ物
前を歩いていた小学生二人。
突然片方が立ち止まり、
「あ!おれ、学校に忘れてきた!」
「え?何を?」
「将来の夢!」(たぶん宿題か何かの題名)
と言って戻って行ったのを見て、ちょうどその後ろを歩いていたおじさん二人が、
「俺も忘れてきた気がするな~」
「気づいても取りに戻れないだろ~」
とか言ってて吹きそうだった。
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幼馴染の旦那さん
数年前、私の幼馴染が(当時:三十路前半♀)アメリカから旦那さん候補を連れて帰国する事になった。
おばさんは毎日のように我が家に来ては、
「外国人のお婿さんなんてどう接すればいいの?英語なんて喋れないわ。主人亡き後、女手一つでやっと育てたのに、こんな事って…私さんはちゃんと日本の御主人と結婚したのに…」
等々、半ベソかきかき愚痴っていた。
で、幼馴染帰国&婿さん来日。
おばさん直前まで
「挨拶はハローでいいのよね?」
小声でハローx∞練習してた。
おばさんに泣きつかれた私も、おばさんと一緒におばさん宅で二人を待ってた。
しばらくして
「ただいまー」
と、幼馴染が帰ってきた。
婿さん(仮名:ジャック)は金髪碧眼&身長190?を超える大男。
頭が天井に届きそう。
見た瞬間、おばさん泣きそう。
どうする私&幼馴染!!!
するとジャック、おばさんの前にキチンと正座して、二パーって感じの笑顔を浮かべ言った。
「わて、ジャック言いますねん。あんじょう可愛がってやってください。よろしゅう…」
そしてペコンと頭を下げた。
あわてて
「あ、ハイこちらこそ…」
と返したが、ジャック…何処で覚えたの?
日本語(特に大阪弁)お上手ね。
え?落語が好き?
偶然ねぇ、私もよ。
(飾り棚にあったジブリグッズを見ながら)え?トトロ好き?
あら、私もよ…。
落ち着いて話してみると共通項が多かったらしく、二人はすっかり仲良しに。
そして最近、何故か幼馴染が我が家で愚痴ってる。
ジャックと夫婦喧嘩すると、ジャックが泣きながら幼馴染の実家へ避難すると。
毎回、おばさんと二人でお茶をしながらジブリDVD鑑賞で盛り上がっているらしい。
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婿入りした猫
ウチから従兄の家に婿入りしていったちょっと暴れっ子のオス猫がいたんだが、この間、従兄の家に行ってみたらすっかり忠犬ならぬ忠猫になってた。
従兄の家から逃げ出して十日ほど外をさ迷い歩いたらしく、それまで箱入りだった猫は外の厳しい現実と自分の待遇の良さを知ったらしい。
特に可愛がってくれる従兄のお父さんにぴったりつき従ってる。
朝、お父さんが仕事に行く時は玄関の外まで出てお座りでお見送り。
帰ってくる時、車の音がするのでその音がしたらすぐに玄関の外まで行ってお出迎え。
お風呂に入っている間は風呂の前で待機。
庭に出ている時は、一緒に出て行って邪魔にならない場所で待ってる。
で、一緒に家の中に入ってくる。
仕事で居ない間は、お父さんの指定席を譲ってもらってそこでしょんぼりして寝てる。
従兄の家にあげるまでの猫を見ている所為か、はじめて見たときはびっくりした。
でも、正直そんな姿を見るたびに凄く和むw
猫は薄情じゃないよ
(*´∀`*)
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地獄の父兄参観日
地獄の父兄参観日
初めて娘の授業参観に行ったときの話。
当日、妻が急用で行けなくなり、急遽ピンチヒッターとして俺が行くことになった。
多少緊張したものの、小学校低学年の授業なので大したことないだろうと、スーツを着て仕度しながら考えていた。
この時は、まさかあんな事件が起きるとは想像もしていなかった。
授業自体はとても微笑ましいものだった。
算数や国語のような堅苦しい授業ではなく、異色の図工だった。
子どもたちが想像力を働かせて生き生きとしている姿を父兄に見せたかったのだろう。
その日のテーマは、『自分だけのキャラクターを考え、それを絵に描いて皆に紹介する』というものだった。
皆、意外と上手でキャラの設定もなかなか面白い物が多く、見ている方もそれなりに楽しめた。
Tちゃんが発表するまでは・・・
Tちゃん「先生~できたよ~」
先生「あら、それでは皆に自己紹介してくれるかな」
Tちゃん「この子はね、お空をとべて、とっても強いの。名前はスーパーマンです。」
先生「あら、その子はスーパーマンという名前なの?でもその子は女の子でしょ?スーパーマンといったら男の子の名前になっちゃうわね。」
Tちゃん「わかった。じゃあ名前変える。ここに新しいお名前を書くね。」
Tちゃん「・・・ハイ!でーきた!!」
先生「じゃあ、もう一度皆に紹介してくれる?」
Tちゃん「はい。みんな、この子の名前はスーパーマンコです。よろしく」
一見してひねりが全くないこのネーミングは、これ以上に無いひねりを加えたコークスクリューパンチとして、無防備だった我々父兄に容赦なく襲い掛かった。
さらにTちゃんは畳み掛ける。
彼女が掲げた画用紙には『すーぱーまんこ』と、よりによって平仮名でデカデカと書かれていた。
そのボディーブローに耐え切れず、父兄の誰かが少し「ぶふぉっ」と噴き出し、それをごまかすための不自然な咳払いをしていた。
隣のおっさんの肩もぷるぷる震え出し、顔は真っ赤になっていた。
隣のおっさんはよほどツボに入ったのか、その後も思い出しぷるぷるを続けていた。
そのうち『すーぱーまんこ』を忘れようと必死で努力しているこちらまで、おっさんの脳内とシンクロしてしまい、俺もぷるぷるし始めた。
少しでも気を抜くと一気に噴き出しそうになるため、その後地獄の数十分を過ごすことになった。
その間のことは何も覚えていない。
せっかくの娘の発表すら記憶にない。
ただただ『すーぱーまんこ』を頭から消し去ろうと必死だったが、必死になればなるほど意識してしまい、死ぬかと思った。
ようやく最後の一人になり、何とか乗り切れそうだと確信した。
隣のおっさんのぷるぷるも止まっていた。
その頃には、一度も目も会わせていないはずのそのおっさんとは、妙な連帯感や仲間意識を感じていた。
そう、何か大きな戦いを乗り越えた戦友同士のように。
しかし、その感傷も大トリのSちゃんによって一気に吹き飛ばされてしまうことになる。
先生「あ、それは何か武器みたいなキャラだね~」
Sちゃん「そうなの、これはヤリなの」
先生「そっかー、お名前は?」
Sちゃん「ヤリマンです」
父兄A「ぶふぉ」
父兄B「ぐふ」
Sちゃん「ヤリマンはねー。悪い男をやっつけるのよ。今まで百人やっつけたのよ。」
父兄C「うぼぉ」
Sちゃん「だからねー、このヤリマンはただのヤリマンじゃないの。世界のヤリマンなの」
俺・おっさん「ぶっふぉん」