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慰霊の森2

うちの父ちゃんは筋金入りのバカだったので、大学のサークルも『オカルト研究会』とかいうのに入って、毎シーズン心霊スポットに凸ばっかりしていた。

2年の夏休み、その年はちょっと遠出をして、岩手の『慰霊の森』に行こうという話になった。

メンバーは父ちゃん、同期、先輩×2で、4人を乗せた灰色のバンは、夜の1時頃に目的地に到着した。

車を停めて、一行は懐中電灯片手に慰霊碑へ。

途中、足場が悪くて何度か転んだが、それ以外は特に何事もなく、線香をあげて下山。

「何も起こらなかったな」

と談笑しながら、4人は乗ってきたバンのもとへ。

乗り込んでエンジンを掛けたところで、父ちゃんはションベンがしたくなったという。

ひとりの先輩と共に、立ちションをしに降りた。

ややしてションベンを済ませ、車の方に向き直ると車の上に何かいた。

そいつは車の上に仰向けに寝そべり、手や足をめちゃくちゃに振り回して、激しいブレイクダンスを踊っているように見えた。

ただ、体中にやたらと多い関節が、ありえない方向に曲がりまくっていた。

しばらく呆然としてその光景を眺めていた父ちゃんだが、そいつが勢いのあまり車から落ちたところで、はっと我にかえった。

いつの間にか、ションベンが終わった先輩が横に居た。

父ちゃんが興奮気味に、

「ヤバイっすね!見ました!?今の!すげえ踊り!」

と横を向くと、先輩は

「ちげえよ、ありゃ千切れかけの手足振り回してただけだ」

と言って泣きそうな顔。

車の下では、まだ何かがバタバタともがいているようだったが、父ちゃんたちはそれを見ないようにして車に乗った。

因みに、あの事故で、手足がちぎれそうになりながらも、僅かの間生きながらえたような犠牲者はいない。

きっとあそこには、事故犠牲者以外の何かが居る。

【 でじほん! 】

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