「 月別アーカイブ:2013年02月 」 一覧
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ショッピングモールの地下1階
その日は仕事帰りに、自宅近くのショッピングモールに買い物の為に寄りました。
時刻は20時すぎだったと思います。
そのショッピングモールは、デパートというには小さすぎる地方の商業施設なのですが、普段着などのちょっとした買い物にはとても便利なので私はちょくちょく利用していました。
建物は6階建てで、5階と6階が駐車場、商業施設は地下1階から地上4階までの5フロアです。
そして地下1階は現在改装中で立ち入り禁止となっていました。
モールは21時に完全閉店なので、20時半くらいだったその頃は、フロアのほとんどの店が閉店準備をしていて、緑色のネットがかけられていました。
私は4階で買い物を済ませた後、店の人にも悪いし急いで帰ろうと、フロアの端にあるエレベーターへと向かいました。
(エスカレーターは既に止められていました。)
エレベーターに乗り込むと、私は1階のボタンを押しました。
そのエレベーターには何度か乗ったことがあるのですが、窓がなくて息苦しいし、照明は暗いし、動きは遅いし音は大きいし、後ろについている鏡がやたらと大きいしで、あまり居心地のいいものではありませんでした。
エレベーターが動き出してから、ふとボタンを見ると押した筈の1階にランプが点いておらず、そのひとつ下の地下1階にランプが点いていました。
押し間違えたんだなと思って、もう一度1階のボタンを押してみましたが、ランプは点きません。
エレベーターは低く稼働音を響かせて、どんどん下降していきます。
そして、そのまま工事中で立ち入り禁止である筈の地下1階に到着し、扉がゆっくりと開きました。
工事中のそこは照明が一切付いておらず真っ暗で、誘導灯の灯りだけが緑色に光っていました。
もちろんテナントは一切なく、がらんとした空間が広がっています。
なんだか気味が悪くなったので、すぐに閉ボタンを押して1階に上がろうと思ったのですが、扉が閉まりかけたそのとき、視界に何かが映りました。
暗闇に慣れていない目で、最初はなんだかよくわからなかったのですが、どうやら閉まりかけのエレベーターに乗ろうと走ってきている人のようでした。
そこで私は、開ボタンを押して待つことにしたのですが、暗闇に慣れてきた目でもう一度その人影をよく見てみると、走ってくるその人影はゆうに2メートルはありそうなほど背丈が高く、異様に頭が小さくて、とても痩せていました。
そんな姿をした人が真暗なフロアを、両手を後ろで組んだような感じで、くねくねと身をよじらせて倒れそうなのをこらえる感じでこちらに向かって移動してきていました。
怖くなった私は急いで閉ボタンを押しました。それを見て急いだのか、それはより一層身をよじらせながらこちらに向かってきました。
私は怖くて怖くて何度も閉ボタンを押しました。
ようやくゆっくりと扉が閉まり始め、そのとき誘導灯の光に照らされてその人影の姿が少し見えたのですが、頭に髪の毛はなく坊主頭のように見えました。
それと、よく見てはいないのですが、裸足だったことを覚えています。
扉が閉まった後も馬鹿みたいに閉ボタンを連打していたのですが、エレベーターは中々動き出しません。
私は1階ボタンを押すのを忘れていました。
慌てて1階ボタンを押したのと同時に、エレベーターの扉からドン!と、ものすごい力で叩いたような音がしました。
私はまたしても1階ボタンを連打しながら、1階に着いたと同時に走って外に飛び出しました。
その後はすぐに友達に連絡して、迎えに来てもらいました。
この話は友達にはしませんでした。
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泣いてる男女
母方の人間が皆見る夢があります。
何時代だか判然とはしないのだが、貴族が着るような服(戦国無双の今川が着ているような服)を身に纏った男女が小さい橋の上で抱き合い泣いている夢。
悲痛な嗚咽を漏らしていて抱き合ってるだけ。
母の弟三人がこの夢を見ています。
近所に住む叔父が酒の席で漏らしたんだが、その女性が枕元に立っていたそうです。
それは叔父がまだ元気で、働き盛りの二十代前半の話し。
夏が終わりかけている時期、暑いのか涼しいのか中途半端な時期の夜に、その女は現れたらしいです。
夜中にふと目が覚めた叔父は、異様な空気に驚き、起きようと思ったが体が動かない。
虫の声も聞こえず、全くの無音。
生暖かく、ねっとりとしてずうんと重い空気。
目だけは動かせたので、嫌な汗をかきながらも、冷静に状況を把握しようと辺りを見渡した。
右 何も無い。
左 何も無い。
下 何も無い。
上 足があった。
この着物、見覚えが有るな…。
あぁ、夢で見た泣いてる男女の女の方が着ていた服だ…貴族?
ズル ズル ズルっと音を立て、着物の裾を引きずりながら、その女がゆっくりとした動作で動き出し、叔父を通り過ぎると同時に闇に消えて行き、叔父は金縛りから解放された。
女に遭遇した叔父は翌年ベーチェット病(だったかな?)にかかり、仕事も恋人も無くし、国から金を貰って生活をするようになってしまいました。
叔父の下、次男は事故を起こし逃亡中。
三男は最近腎臓だか膵臓だかに奇形が見付かり、痛みのため働けなくなりました。
で、うちのオカン。
やはり病弱で、月の半分は寝込んでます。
オカンのオカン、俺の祖母は真冬の新潟でパートの帰りに豪雪の中倒れ、死にました。
この泣いてる男女は何なんですか?
何か関係あるんですか?
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嫌な一軒家
もうかれこれ10年前の話。
まだ自分は9歳だった。
諸事情で祖母と二人暮らしをしていたが、小学生半ば、母親とも一緒に暮らすことになった。
祖母とは小さな漁師町に住んでいたけれど、転校するのは嫌だったが、母親が住んでいる町に引っ越す事にした。
母親は団地に住んでいたので三人で暮らすには手狭、ということで一軒家を借りることになった。
少しして、町の不動産さんに紹介され、家族三人で内見に行った。
小学校からも遠くない、道路にも面しているし小さいながらも物置がある。
駐車場もあった。築20年位に感じた。
まだその家には人が住んでいて、契約が決まり次第退去、引っ越しの手筈だった。
しかし、玄関に入ると不気味な仏像が100体以上並べられていた。
「どうぞ自由に見てくださいね…」
中から出てきたおばさんの目は明らかにおかしく澱んでいた。
仏像からして自分は怯えてしまい、内見どころではなかった。
「早くこの家から出なきゃいけない」
何故かそう感じていました。
母は2階を見ると言い、自分もついて行きましたが、後悔をしました。
2階は不思議な作りで、大きな部屋に衝立でかろうじて仕切って部屋らしき物を形造っていました。
そして何より、窓が沢山あり南向きなのに寒い。
そして暗い。
黒いモヤが部屋中に綿ぼこりのようにいて、母にモヤは何なのか聞こうとした瞬間、
「家から出るまで喋ってはいけない。悪い物だから。お前について来たがってる。」
そう小声で言われ、自分はもうパニックでした。
黒いモヤはゆらゆら、ふわふわ浮いたりして、何となく私達に近づいている気がしました。
それに気づいたのか、母は陽気に喋りまくる不動産屋にもう内見は止めて帰る旨を伝え、一階に向かいました。
玄関で靴を履きながら、ちらりと居間を見ると夥しい数の仏像が所狭しとあって…もう駄目だと思いました。
玄関を出て、不動産屋さんはしきりに母に契約を迫っていました。
しかし母は断り続けていました。
ちなみについて来た祖母は、私達の車の中から出ては来ませんでした。
そして母は不動産屋さんに言ったのです。
「あんた知らないって思ってるでしょ?ここで首吊った爺さん二人もいるじゃない。なんて物件紹介してくれてんのよ。」
全く意味が分からない私は、
「何が?!何が?!」
と母に詰め寄ると母は駐車場を指さし、
「ここで吊ってる。元はここ物置でしょ?自殺があったから壊して隣に物置を建てた。そういうこと。契約は無かったことにして。こんな家にいたら住んでる人みたいにおかしくなっちゃうわ。」
そう吐き捨てるように言い、母に手を引かれ車に乗り不動産屋さんを尻目に車を走らせました。
祖母は、
「なんて家だろうね…土地がよくない。首吊り自殺した爺さんぶら下がってあんたたち見下ろしてて、不気味ったらありゃしないわよ。」
その言葉に母も返しました。
「爺さん二人だけじゃないよ。家の中でも少なく見積もっても二人は死んでるよ。2階なんて最悪。***(難しい言葉で聞き取れませんでした)がいっぱいいるのよ?不動産屋なんて普通にしてるの。見えないって得だね。この子は引き寄せ易いから、家帰ったらあれしなきゃね。」
そんな会話をしながら母の団地に着き、すぐさま私は日本酒が入ったお風呂に入るように命ぜられました。
あれとは、お清めだったようでした。
その後、祖母により何かお祓いのようなものをされた記憶があります。
私の家系は視えるようです。
払い方なども一通り習いました。
その一件後、知り合いのつてで一軒家を借り、無事引っ越しせました。
その家にも何体かいたのですが、母は、
「歩き回るばあさんと子供だけだから可愛いもんだよ」
と言っていました。
ちなみにその爺さんが首吊ってる家は、本当に爺さんが首を吊ってました。
新しく引っ越した家のお隣りさんから詳しく聞きましたから…
有名な家を紹介されたみたいです。
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母親の顔
昨日起きた話なんだけど、友達の家に泊まって(4人)で夜中だけどめっちゃ騒いでた。
そしたら泊まってた友達の母さんから、
「もう父さんも寝てるし、静かにしなさい」
って言われた。
そしたら友達が、
「じゃあ、布団敷いて部屋暗くしてPS3で怖いやつみるか」
って事になった。
で、結構ヤバイのとかあって盛り上がってた。
そんな感じで3時くらいまで見てて、めっちゃ怖いのを見てすっげー皆でビビって3時なのにうるさいくらい盛り上がってたら、いきなりドアが開いて、
「うるさい、静かにしろ」
って言われた。
で、俺らシーン。
ドアが閉まりもう1人の友人が、
「お前の母さん、ものすげー怖い顔してなかった?暗くてよくわかんなかったけど、めちゃビビったわww」
と言い、俺も、
「俺もあせったわー」
って言ってその友達見たら、なんか怖がってる顔してた。
で、何かの冗談かと思って、なにしてんだよwみたいなノリで話しかけたら、
「あれ、ちがう、俺の母さんじゃない…」
って言ってて、俺ら唖然。
最初は皆信じて無かったけど、もうそいつ涙目。
しかもずっと震えてた。
で、朝になって詳しく聞いてみたら、もう母さんとは別の顔、物凄い形相。
髪型も違かったらしい。
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線路
東京駅と高尾駅の間を往復する中央線は利用者が多く、とても混雑する路線であり、しょっちゅういわゆる『人身事故』で止まります。
私は、その運転をこの半年しているものですが、同僚の間で様々に噂をされている幽霊を見たことは1ヶ月前まではありませんでした。
しかし1ヶ月ほど前から、立川まで後少しの、とある駅の下りホーム手前に毎晩いるんです。
赤黒い色のワンピースを着ていて、長めの髪に少しウェーブがかかったような感じの若い女性で、最初はいつも線路脇からうつむいて線路を眺めていました。
最初に見たときは急ブレーキをかけましたが、すぐにすっと消えてしまいました。
ものすごく驚いて、何故かしびれた指先を眺めながら、しばらく呆然としていましたがすぐに我に返り、遅延に対するいくつかの処置をしながら駅へ電車を入れました。
その後も、夜間にその駅に侵入するときには必ずその人がおり、電車が近づくと消えてしまうというのを繰り返していました。
ただ、一昨日の夜は近づいても消えず、彼女は線路に向かって歩いてきたのです。
どうすることもできず、私はそのままその幽霊を轢きました。
そして昨晩彼女は、線路上から初めてこちらを見上げました。
電車の下に消えていきながら、かすかに笑ったように見えたその顔は、目の辺りがぼうっと暗くなっていて、そこには何も見えませんでした。
今日の休みが終われば、明日はまた勤務します。
私は明後日の朝を迎えることができるのか、よく分かりません。
乗客の皆さんを巻き込むような事故だけは起こさないようにと思っています。