「 ホテル 」 一覧
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アンティークドール
アンティークドール
子供の頃、夏休みに泊まったホテルの地下(レストランの入り口)に、すごい綺麗なアンティークドールあった。
あまりに綺麗で、ヒマあれば見に行って、しまいには夜中に目が覚めた時に部屋を抜け出して見に行った。
夜中にアンティークドールの入ってるケースに張りついてて、警備員さんにみつかり、フロントのおにいさんに部屋まで連れていかれた。
「人形に呼ばれても、来たらあかんで」
って言われた。
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廃墟でサバゲーやったときの事
リアル工房の頃、十数人でサバゲをやったときの話。
場所は良くある荒れはてたホテル跡で、人家からかなり離れているので誰も来ないし、出るという噂からヤンキーすらあまり来ない。
それに、ゲームに興奮するあまり嫌な気分は吹き飛んでいたし、怖いと言うと馬鹿にされる風潮が仲間内にあった。
さんざ遊んだ後、五階の大部屋でみんな集まって装備の手入れをしていると、誰ともなしに
「遊んでいる最中に気配を感じる」
と言い出した。
狙い狙われる遊びだから気配がするのは当然なんだけど、それとはちょっと違うと言う奴が殆どだった。
かくいう俺もそうだった。
そんな話をしていると、下階から誰かが上がってくる足音が響いた。
車やバイクが来た音がしないので、肝試しにきた集団ではないようだった。
みんな強力なライトをもっているので窓から下を照らしたけど、自分達が乗ってきたバイク以外は何も無かった。
付近に民家はないし、数十分の山道を歩いて登ってきたとは思えない。
頭の片隅に噂話が渦巻いていたけど、強がりたい年頃だったし気分だけは兵士なので、足音の存在を確かめようとした。
部屋から顔を出して階段の方をライトを照らしながら、
「警察の方ですか?僕達遊んでいるだけですけど」
とか、
「肝試しですか」
と呼びかけても返事無かった。
その間も足音は段々と近づいてくる。
「何か用ですか?」
「お邪魔だったら帰りますけど」
と、幾ら話し掛けても一向に返事が無い。
このころになると本気で怖くなってきた。
ヤバイ帰ろうという事になり、荷物を手早くまとめ、「大声を出すな」とか「走り出すの禁止」と言い合って廊下に出た。
そして足音のする階段とは別の階段から降りることになり、下る前にもう一度足音のする方をみんなで見た。
嫌なことに、足音はこの階まで達して廊下にまで響いているけど、ライトの光の輪に中に誰も居ない。
そして足音がだんだんと早くなって早足になると、先の取り決めを忘れてみんな走りだした。
階段を駆け下りでいると上で物凄い音がしたけど、もしかしたら足音が反響しただけかも知れない。
でも十分怖かった。
「ヤバイヤバイ本気でヤバイ」
と言いながら駆け下り、バイクに乗って、エンジンのかかりの悪い奴を罵倒しつつ、誰もがホテルから目が離せないでいる。
そして全員のエンジンがかかると、我先にと走り出した。
麓のコンビニまで行くと、これで安心と言う気がしてきた。
そして店の前で話していると、俺は気が付かなかったけど、数人が走り去りながら窓から顔が見えたと言った。
さらに真っ先に走り出した奴が、廊下で男女ともわからない青白い顔がとつぜん見え、体が透けていたと語った。
コンビニの駐車場から山の上を見つつ、もう行かないと決めた。
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廃墟の撮影
俺がフリーの調査業をやってた頃で、まだそれだけじゃなかなか食えない頃に経験した、いくつかのお話の1つです。
そのときに受けた仕事は、とある出版社の心霊関係の特集の調査で、俗に言う心霊スポットを調査して、それらは事実なのか調べる仕事でした。
そのときの調査で行った場所は、関東のとある山の中の廃墟になったホテル。
まず心霊スポットだと言うとよくあるのが、だれだれがそこで殺されたや、自殺したという話で、そのスポットもご多分にもれず、とある若い女の人が彼氏に殺されて、その廃墟の壁に埋められていて、その女が霊となって出る、というものでした。
さっそく、殺人が実際にあったのかを調査しようと、まずその地域の図書館で、事件がおきたとされる年代の新聞などをチェックしたり、地元警察やそのスポットの地主、地元の人に聞き込みなどを行ったのですが、そのような事件がおきた痕跡や記録はありませんでした。
そして最後に、現調と調査報告に使う写真の撮影のため、一緒に組んで仕事をしているもう一人の仲間の女性と、夜中に現場に撮影をしにいったときのこと。
さすがに人気のない山中ということもあり、かなり不気味。
建物の中はかなりカビ臭い。
撮影は昼間でもいいのですが、やはり夜の写真がいいというのが依頼の内容に入っていたために、夜中に現場へ向かいました。
とりあえず、建物の外観や内部をカメラで撮影し、あらかた内部の調査も終わったので引き上げようと思い、建物内部にいるはずの彼女に大きな声で、
「そろそろ引き上げようか」
と声をかけた。
すると彼女が、
「あ、まってください。こっちの部屋にきてくれませんか」
と言うのでそちらに向かうと、なんの変哲もない部屋がそこにあった。
さっき通ったときはなかった気がする、と思いながらも部屋に入ると、なんだか魚が腐ったような匂いが、カビ臭い匂いと入り混じって悪臭がすごかった。
そして、俺を呼んだはずの彼女はいなかったが、特に気にもせず(移動したのかなくらいに思ってた)部屋を見ると、壁が一箇所だけ塗り替えたように色が違う。
あぁ、これが噂の元になっているんだな(壁に死体が埋め込まれたという噂)と思い、撮影をしていると、急に持っていた懐中電灯やカメラなどが全て電源がきれてしまって、使用不可になったんです。
暗闇の中で参ったな…と思ってると、部屋に入ってくる足音が聞こえます。
「あのさ。明かりが消えちゃってつかないんだよ。きりがいいから引き上げよう」
と言うと彼女が、
「もう少しだけここに残ろう・・・。ね?」
と引き止めます。
俺が帰ろうと言っても、
「もっと撮影したほうが・・」
とか、
「壁を掘り返しましょう」
とか、やたらと引き止めるんです。
「それならば明日にしよう」
と帰ろうとすると、
「待ちなさい!」
と、俺の手を握ってきたんです。
その手の感触は今でも忘れません。
ぶじゅっ・・・と音がしたと思うと、俺の手をものすごく柔らかくて、筋ばっているのにドロドロしたような、表現しがたいものが握ったんです。
「うわっ!」
と手を離すと彼女が一言。
「もうちょっとだけここに残ろう・・・。ね?もうちょっとだから・・・」
その瞬間に、俺は彼女じゃないと恐怖を感じ、その場から一目散に逃げました。
月明かりだけだったので、あちこち体をぶつけて痛みも感じたけど、それどころじゃなかった。
そして建物の外に出ると、車の前で彼女が待っていました。
彼女の話だと、撮影しはじめてすぐに懐中電灯などが使用不可になったために、ここで待っていたとのこと。
じゃさっきのは?
やっぱり・・・
その場からすぐに立ち去ろうと車に乗ったときに、彼女が
「ひっ!」
と声をあげ、
「あ・・あれ」
と、震える指で車のミラーを指差した。
俺はもう恐怖のためミラーを見たくはなかった。
そのまま車を急発進させて町へ。
そして、全ての経緯をまとめて依頼主に報告。
事務所に戻って撮影したものを見たときには、普通の写真と映像でした。
何も写ってはいなかった。
一緒に行った彼女が見たものを聞くことはありませんでした。
思い出したくないんです・・・ただそう言ってました。
けどきっと、あの映像と写真には何かあったんだと思う。
最初は報告を受けて
「おもしろいじゃないか。使えるよ」
と乗り気だった依頼主が、急にそれらの使用を取りやめ、写真と映像を処分したからです。
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車の下の何か
7~8年前、茨城の下妻に出張した時のこと。
宿泊したのは、下妻の繁華街(?)から車で少し行ったとこ。
地ビールと温泉があって、出来たばかりなのか新しくてきれいだった。
温泉に入り、地ビールでご機嫌になった俺は、ロビーのテレビで野球中継を見てた。
俺の他にもロビーには4、5人いて、それぞれ思い思いのことをしてた。
突然『ギャーッ!』というような、女性の叫び声が聞こえた。
テレビからじゃない。
何だ?と思って辺りを見回すが、特に何もない。
でも、何かおかしい。
あんなでかい声なのに、誰も聞こえてないみたいだ。
不思議に思って、もう一度周りを見る。
すると、一人の女性と目が合った。
『あなたも聞こえたの?』ってな感じでこっちを見てる。
黙って頷くと、その人はこっちに寄って来て小声で話し掛けてくる。
『何なんですか?他の人には聞こえてないみたいだし…』
いや、そんなこと俺にも分からんし…、と思っていると
『あっちの方からでしたね…』
と、外の駐車場の方を指差した。
確かに、叫び声は駐車場の方からだったけど、そのホテルの駐車場はかなりの広さ。
しかも明かりはあるけど、それでもかなり暗い。
ロビーから覗き込んでると
『行って…みます?』
とか、ありえないことを言い出す。
残念なことに、男らしく「無理!」と断言するには、その女性は若くて可愛いかった…
ちょっと下心を持ちつつ、一緒に外へ出る。
駐車場は、ホテルの出入り口を出て、車が対面通行出来るくらい広い道を挟んで向こう側。
おっかなびっくり道を渡り駐車場へ。
その時、女性が駐車場の奥を指差し
『あそこ!』
とか言ってる。
指差してる方を見る。
RV車が止まってた。
「車だよ?」
『…その下の。…何?』
よく見ると、その車の下に何かある。
というより、何か…いる!
人が地面に寝転がって、もがいてるみたい。
さっきの叫び声は、こいつが誰かに襲われて出したのか?
怪我でもしてるのかと思い、急いで近づく。
少し行ったところで
『ちょっと待って』
と女性から。
?と思い、振り返ると女性が震えてるみたい。
『何?あれ何?』
俺は視力が良くないのではっきりは見えないが、人がうつ伏せになってるように見えた。
急がなきゃ、と小走りで駆け寄る。
が4、5歩進んで止まる。
這いずりながら、それは近づいて来ていた。
見た目は人だが、動きが人っぽくない。
「何か…ヤバいぞ…」
そいつは、ゆっくり顔を上げようとした。
直感的に、目があったらヤバい!と思い、ダッシュでホテルへ。
途中、固まってた女性の手を取って、半ば引きずるように中へ。
ホテルの中は、さっきと変わってなかった。
強いて言えば、ゼイゼイ言いながらホテルに飛び込んで来た二人組に奇異の目が向けられたくらい。
「ついてきてるかな?」
『わからない…』
恐る恐る後ろを振り返って、自動ドアのガラスの方を見ると、取りあえずは何も見えない。
ホッとして、二人とも地ベタに座り込む。
その日は、お互いにそのまま各自の部屋へグッタリして戻った。
ただ、とてもじゃないけど怖くて寝れないので、翌朝まで明かりを点け、テレビを見て過ごす。
翌朝8時頃、チェックアウトの為フロントへ行くと、ホテルの従業員らしき人が首を捻りながら自動ドアを拭いている。
どうしたのか聞いてみると、ドアガラスの外側に手の跡がついていて、いくら拭いても落ちないらしい。
見てみるとガラスの真ん中やや下あたりに、ベタベタといくつか手の跡が。
昨晩のことを思い出してうすら寒くなり、速攻でチェックアウトしてホテルを後にした。
後で気付いたんだが、あの女性の連絡先を聞きそびれてた。
もったいないことをしたな…
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引っ掻く手
出張だった時に泊まった郊外のビジネスホテルでの話。
飯は外で済ませてホテルにチェックイン。
深夜の1時を回ったくらいでホテルは静まりかえっていた。
6階の一番奥の部屋。
狭いけど小綺麗なユニットバスで体を流し、疲れていたのでテレビを見るでもなくすぐに寝ようと思い、2時には消灯。
「はぁ、今日は疲れたなぁ。」
と、独り言をつぶやいて目を閉じる。
うとうとしてきた時に、ふと『ザー ザー ザー』っと何かを引っ掻くような音が聞こえてきた。
やたらとハッキリと聞こえる。
真っ暗な部屋。
見える光と言えばドアの下の、廊下の電気のわずかな光。
ドアの下の光に目をやると 人間の手のようなものが床のじゅうたんを爪を立てて引っ掻いている。
『ザー ザー ザー』っと。
しかも、その手はドアの外ではなく、明らかにドアの内側で動いている。
今自分に見えるのは、手の影とドアの下のわずかな光。
電気のスイッチはドアの横にある。
何があるか確かめたいが、怖くて動けない。
我慢できなくなり、とうとう
「誰だ!」
と、叫んだ。
すると手は引っ掻くのをやめ、手も消えた。
幽霊…?と思ったが、取り合えず電気をつけて状況を確かめたかった。
ドアまで走って電気をつける。
振り替えって部屋を見渡す。
窓がいつの間にか開いていて、そこから真っ黒な床まである長髪を引きずりながら何かが飛び降りていった。