俺が小学5年生の時、クラスに貧乏な家の男の子D君がいたんだ。
彼は給食費を払うことができなかったらしい。
なぜなら担任が給食の時間、毎日のように
「D、ただ飯はうまいか?」
と言っていたからだ。
D君は引きつった様な顔でぺこりと頭を下げていた。
たまに給食を残したりしようものなら、
「お前は金を払わないのに食べれるんだから、残す事は許さない。」
と教師に言われ、掃除の時間中、後ろにずらされた机で黙々と食べていた。
これがクラスの悪ガキのいじめならば、誰か止めに入る事ができたのだろうが、担任のいじめとなるとどうしようもなかった。
その担任の教師は、自分のお気に入りの女子の生徒を膝の上に乗せたりしたり、嫌いな子にはビンタするという、ひいきを平気でするような先生だった。
そして事件が起きたんだ。
授業中にD君が飛び降りた。
3階からだったんだけど下が花壇で助かった。
D君の机の上に紙が置いてあった。
俺は隣の席でその紙の内容は知っていた。
『担任の先生に怒られて叩かれる。僕は駄目な人間だから死にます。』みたいな内容だった。
担任は、その遺書のようなものをサッとポケットに入れて、飛び降りた理由も僕を含めた五人の児童になすりつけた。
世の中悪が勝ち、正直者が泣くと思わされた思い出です。