私が子供の頃、祖母から聞いた祖父の話です。
私の産まれは漁師町で、海にまつわる話を子供の頃よく聞かされました。
『霧の出てる凪のよい日は漁の類はしてはいけない』
祖父が若い頃、こんな日は海坊主が出るからと言われていた。
「子供騙し」だと船を出して海へ出て釣りをしていた。
海には祖父以外誰も船を出しておらず、とても静かだった。
釣りを始めると、面白いくらい魚が釣れる。
「こんなに魚が釣れるのに 船を出さないなんて、もったいない」
そう思いながら2時間もすると船一杯の魚が釣れた。
祖父は早々に引き上げ陸へ戻った。
大漁の魚を持って。
そして、家に帰って魚を料理しようとしてゾッとした。
釣った魚全て、目がなかったそうだ。
さすがに食べることも出来ず、海へお返ししたそうだ。