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見える人

私の友達に所謂、見える人がいる。

その友達と酒を飲む機会があり、今まで聞きたかった事を質問してみた。

まず、見えるってどんな風に見えるの?と聞くと

「大体その人の背後に見える」

「背後に黙って佇んでいる様なのは、その人の守護霊なので、視界に収まれば、その人にも見えるかも知れない」と言っていた。

「でも、大体視線の反対側に移る様なので見えないと思う」という事だった。

そういえば時々、視界の端に何か見える事があるって言ったら

「それが、背後霊だよ」といわれた。

じゃー、お前は目に入る人全部に霊が見えるのか?と聞いたら

「いや、他人の背後霊は波長が近ければ誰でも見える」とか言っていた。

そしたらお前は、特別見える人でも何でもないじゃないか?って、ふってみたら急にそわそわして

「いや、俺はその他の物もみえるんだ」

「まず一つはその場所にじっと動かずに周りの人を睨んだり、触ろうとしている様な奴」

「んで、もう一つは…」

と言ったきり、友人は周りに視線を泳がせて口を開かなくなった。

どうしたのかと思い、先を聞きたい事もあり、肩を叩いてみたら、ハッとした様な感じで話し出した。

「もう一つは、その人の死期が近づいてきて守護霊が離れ始まった奴」

「これは、今にも消えそうな感じでその人の上の方に浮かんでる」

「存在自体が薄くなっているので普通の人には見えないと思う」

「前に叔母さんが癌で無くなる1日前に見えたのが最初だった」という事を落ち着きなく話した。

聞きたい事を聞けて、上機嫌になった私は友人に酒とツマミを振舞った。

友人はやはり、落ち着き無く飲み食いしながら周りを見ている。

どうかしたのか、と聞いてみると

「いや、気を悪くしないで聞いて欲しいんだけど」

と前置きをした上でこんな話を言った

「店に入った時からおかしいと思ってたんだけど、さっき急に波長が合ってみえちゃったんだ」

「この店にいる人の半分以上の人の守護霊が浮いている」

と言ったきり泣き出した。

それから店を出るまで他のお客さんに冷やかされたり、支えてもらったりで大変だった。

3/10南相馬市の居酒屋での話しです。

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