昔、おばあちゃんから聞いた話。
おばあちゃんの住んでいた地域は、何度も空襲にあったという。
ある夜、警報が鳴り、近所の皆で防空壕に避難する途中、防空壕の付近に爆撃を受け、皆は覚悟した。
すると、いつの間に混じっていたのか、見た事のない子供が先頭に立っており、空を見上げていた。
小さな町内だから、知らない子供など居るはずがないのだが、見覚えのない男の子だった。
すると、空を見上げていた男の子がそのままの姿勢で、ぬーっと体がのびあがり、皆を包むような姿勢で空を塞いだ。
敵機の焼夷弾は男の子の背中に落ち、燃えていたような感じだったとか。
皆、唖然となったが、それよりも燃え盛る炎が、いつ自分達に降りかかってくるかと恐れ、小さく固まって頭を抱えていた。
男の子は、そのまま、おばあちゃん達を包み込み、長く続いた空襲から守ってくれた。
爆撃が終わると元の身長に戻り、ペコッと頭を下げると走ってどこかへ行ってしまった。
幸いなことに、その時その場にいた皆に怪我人は出なかった。
終戦後、おばあちゃんのお母さんや、近所の人が、あの時の子供のお化けにお礼をと、方々に聞いて回ったが、子供の情報は得られなかった。
おばあちゃんは、なんだったのかわかんないけど、お化けが守ってくれたんだねえ。
日本のお化けは、やっぱり日本人の味方なんだねえ、と言っていた。