怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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「 海 」 一覧

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砂風呂

昔ね、友達と海に行った時の話なんだけど。

砂風呂をやろうとして、あんまり人目が多い場所だとちょっと恥ずかしいから、あんまり人気のない所で友達に砂かけて埋めてもらったんだ。

顔には日除けのパラソルが掛かるようにしてもらって快適だったし、すぐにウトウトし始めた。

その時、不意に誰かが近づいてくる気配がして

「オキテタラヤル」

と、若くはない女性の声でしゃべったのよ。

友達の声じゃなかったし、妙に抑揚が無いしゃべり方だった。

かなり眠かったから無視したんだけど、結局それきり声はかけてこなくて気配もすぐ立ち去った。

しばらくして、砂から出て海で遊んでたんだけど、人も少なくなった帰りの時間にパラソルをあの場所に置いてきてしまったことを思い出して取りにいったのね。

言い忘れてたけど、あの時、砂から出る際に人がまだいるかのように砂を盛り上げて、パラソルも顔に当たる部分が見えないように配置していたわけよ。

友達を驚かそうとしていたんだけど、結局待つのがめんどくさくて、すぐに別の場所で合流してしまったんだけどね。

で、パラソルを取りに戻った俺が見たのは、俺のじゃない別のパラソルが砂の盛り上がった部分に何本も突き刺さっていたのね。

俺のパラソルは切り裂かれて、顔があるはずだった場所に垂直に突き刺さっていた。

あと何故かカミソリが頭と胴体の間にめり込んでいた。

正直怖かったし、怖い話のテンプレみたいだなと考える自分もいたけど、とりあえずゴミはまずいから自分の分のパラソルの残骸は持って帰ろうと思って、思いっきり深く刺さってたそれを軽い怒りと共に引き抜いたのね。

そしたらさ、遠くからなんか声が聞こえてきて、視線を向けると結構長い砂浜の向こうからものすごい勢いで走ってくる奴がいるのよ。

で、そいつがなんか叫んでるの。

まだ残っていた人たちが、そいつから後ずさっているのはよく見えた。

俺もすぐに走って車に戻って、よくわかんない顔してる友達を車に乗せてさっさと逃げた。

焦ってはいたが距離はかなりあったから、結構余裕ではあったが、笑いながら

「オキテル」「オキテル」

と走ってくる姿は忘れられない。

【 でじほん! 】

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沖の人型

もう十年以上も前、俺が高校生の時の話。

2年の夏に、男5人で泊りがけで海水浴に行くことになった。

ナンパするほど根性のある奴がいるわけでなし、むしろちょっとオタク臭いメンバーの俺達は、純粋に海水浴を楽しむ計画を立てた。

場所がバレかねんが、透き通ってて綺麗な海だったよ。

地元千葉のそれとは大違いだった。

今考えると、その水の綺麗さが仇になったんだな。

初日、予約していた民宿に荷物を置き、すぐさま海へ。

ゴムボートを借りた俺達は、砂浜で遊ぶ友達二人を残して三人で少し沖の方まで出ていた。

(沖って言っても、注意を受けたりはしなかった。昔のことだから、今より規制もいくらかゆるかったのかも)

俺はボートに乗ってゆらゆら揺れを楽しみ、友達のAとBはゴーグルつけてプカプカ泳いでいた。

深さは2メートルいかないくらい。

深く潜って海底に手を付けるかどうかとか、くだらない遊びをしていた。

暫くそんな風にしていると、Aが急に慌てた様子でボートへと上がってきた。

続いて、Bが怪訝な顔で海面へと上がってくる。

「どうしたの?」

とB。

「女の死体!中!」

Aは必死の形相で答えた。

水を飲んだのか咳き込んでいる。

俺もBもポカンとした。

「お前、何言ってんだよ」

「そういうのいいから」

「いいから、見てみろよ!」

言われるまま、Bはもう一度潜っていった。

すぐに海面に上がってくるB。

「まじまじ!うわーなんだよあれ!」

「だから言ったろ!」

とA。

「え、ホントなの?」

と俺。

正直、このとき俺はAとBが俺をハメようとしてるんじゃないかと思っていた。

だって、波は穏やかだったしね。

まさか、水死体なんて。

「なに、ダッチワイフとかじゃねーの?」

と笑いながら言うと、

「そんなんじゃねーよ!」

と少しキレ気味に言われた。

そんなに言うならと、俺はBにゴーグルを借りて海の中に入った。

潜って辺りを見回す。

あった。

俺らよりさらに10メートルほど沖に、確かに人型の物体が此方に頭を向けながら、丁度海面と海底の真ん中辺りに浮いている。

正直、かなりビビったがボートに手をかけて逃げる準備をし、目を凝らした。

すると、仰向けのその物体の首が急にダランと下がり、こっちを向いた。

同い年くらいの、青いビキニを着た黒髪の童顔女。

笑ってる!

そう思った瞬間に、その女は体を前方にグルンと回転させ、此方に足を向けた。

あっと思うと同時に違和感。

その体は、何時の間にかその顔と分離し、顔をその場に置き去りにしていた。

身体から切り離された逆さまの首は、笑い顏のままプカプカと浮かんでいる。

首無しの体は、分離した首をそのままに沖の方へと泳いで行った。

ここまで、僅か数秒の出来事。

パニック状態で海面へと上がり、二人乗りのゴムボートを俺がバタ足で押して砂浜へと逃げ帰った。

ABは、俺の必死の説明を聞いて震え上がり、砂浜にいたCとDには馬鹿にされた。

警察だかレスキュー隊だかに電話しようと言う話も出たが、これ以上関わりになりたくなかったので悩んだ末にやめた。

大事になるだろうし、そもそもアレは明らかに人間ではないとの俺の主張によるものでもあった。

残りの時間、C、Dを除く俺ら三人が沖へと行かなかったのは言うまでもない。

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人が溺れてる

友達から聞いた話。

真夜中、夏のくそ暑い日に、仲の良い友達数人で、海辺で花火をして遊んでいました。

薄暗い砂浜を、花火を向けあってわーわー言いながら走り回っていると、友達の1人がいきなり、あっと真っ青な顔をして海の方を指差しました。

「人が溺れてる」

指差した先には、暗い海の中、遠く離れたとこで、ばしゃばしゃ苦しそうにもがいている人がいるのが微かに見えました。

楽しい空気も一変、これは大変だとみんな青ざめ、救助を呼ぼうにも携帯は圏外。

泳ぎの得意な奴が2人、助けに行こうと海に入ったその時、

「やめとけっ!」

後方からの突然の大声に、みんなが驚いて振り向くと、そこにはいつからいたのか、さっきまではいなかった見知らぬおっさんが。

その手には双眼鏡を持っていて、助けに行こうとした1人に、

「これで向こう見てみろ」

と手渡されました。

何なんだ、このおっさんと不審に思いつつ双眼鏡を覗くと…

レンズの先には、溺れていた女が笑顔でこっちに手を振っていました。

その笑顔が、あまりに不気味で全身鳥肌、ガタガタ震えていると、おっさんに、

「あの女は、この世のものではないから、助けに行ってたら危なかったよ。今日はもう帰りなさい。」

と言われ、怖くてみな一目散に帰宅しました。

後日、友達にその話を聞いた時には、

「今思えばそのおじさん、何であんな真夜中に1人で双眼鏡持って人気のない海にいたんだろうな。」

ってぼそっと言われ、更にゾッとしました。

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海からやってくるモノ

普段、付き合いの良い同僚が、何故か海へ行くのだけは頑として断る。

訳を聞いたのだが、余り話したくない様子なので飲ませて無理やり聞き出した。

ここからは彼の語り。

ただし、酔って取り留めのない話だったので、俺が整理してる。

まだ学生だった頃、友人と旅に出た。

たしか後期試験の後だったから、真冬だな。

旅とは言っても、友人の愛犬と一緒にバンに乗って当てもなく走っていくだけの気楽なもんだ。

何日目だったか、ある海辺の寒村に差し掛かった頃、既に日は暮れてしまっていた。

山が海に迫って、その合間にかろうじてへばり付いている様な小さな集落だ。

困ったことに、ガソリンの残量が心もとなくなっていた。

海岸沿いの一本道を走りながらGSを探すとすぐに見つかったのだが、店はすでに閉まっている。

とりあえず裏手に回ってみた。

玄関の庇から、大きな笊がぶら下がっている。

出入りに邪魔だな、と思いながらそれを掻き分けて呼び鈴を鳴らしてみた。

「すんませーん。ガソリン入れてもらえませんかー?」

わずかに人の気配がしたが、返事はない。

「シカトされとんのかね」

「なんかムカつくわ。もう一度押してみいや」

「すんませーん!」

しつこく呼びかけると玄関の灯りが点き、ガラス戸の向こうに人影が現れた。

「誰や?」

「ガソリン欲しいん…」

「今日は休みや」

オレが言い終える前に、苛立ったような声が返ってくる。

「いや、まぁそこを何とか…」

「あかん。今日はもう開けられん」

取り付く島もなかった。

諦めて車に戻る。

「これだから田舎はアカン」

「しゃーないな。今日はここで寝よ。当てつけに明日の朝一でガス入れてこうや」

車を止められそうな所を探して集落をウロウロすると、GSだけでなく全ての商店や民家が門を閉ざしていることに気付いた。

よく見ると、どの家も軒先に籠や笊をぶら下げている。

「なんかの祭やろか?」

「それにしちゃ静かやな」

「風が強くてたまらん。お、あそこに止められんで」

そこは、山腹の小さな神社から海に向かって真っ直ぐに伸びる石段の根元だった。

小さな駐車場だが、垣根があって海風がしのげそうだ。

鳥居の陰に車を止めると、辺りはもう真っ暗でやることもない。

オレたちはブツブツ言いながら、運転席で毛布に包まって眠りについた。

何時間経ったのか、犬の唸り声で目を覚ましたオレは、辺りの強烈な生臭さに気付いた。

犬は海の方に向かって牙を剥き出して唸り続けている。

普段は大人しい奴なのだが、いくら宥めても一向に落ち着こうとしない。

友人も起き出して闇の先に目を凝らした。

月明りに照らされた海は、先程までとは違って、気味が悪いくらい凪いでいた。

コンクリートの殺風景な岸壁の縁に蠢くものが見える。

「なんや、アレ」

友人が掠れた声で囁いた。

「わからん」

それは最初、海から這い出してくる太いパイプか丸太のように見えた。

蛇のようにのたうちながら、ゆっくりと陸に上がっているようだったが、不思議なことに音はしなかった。

と言うより、そいつの体はモワモワとした黒い煙の塊のように見えたし、実体があったのかどうかも分からない。

その代わり、ウウ…というか、ウォォ…というか、形容し難い耳鳴りがずっと続いていた。

そして先程からの生臭さは、吐き気を催すほどに酷くなっていた。

そいつの先端は、海岸沿いの道を横切って向かいの家にまで到達しているのだが、もう一方はまだ海の中に消えている。

民家の軒先を覗き込むようにしているその先端には、はっきりとは見えなかったが、明らかに顔のようなものがあった。

オレも友人も、そんなに臆病な方ではなかったつもりだが、そいつの姿はもう何と言うか『禍々しい』という言葉そのもので、一目見たときから体が強張って動かなかった。

心臓を鷲掴みにされるってのは、ああいう感覚なんだろうな。

そいつは、軒に吊るした笊をジッと見つめている風だったが、やがてゆっくりと動き出して次の家へ向かった。

「おい、車出せっ」

友人の震える声で、ハッと我に返った。

動かない腕を何とか上げてキーを回すと、静まり返った周囲にエンジン音が鳴り響いた。

そいつがゆっくりとこちらを振り向きかける。

(ヤバイっ)

何だか分からないが、目を合わせちゃいけない、と直感的に思った。

前だけを見つめ、アクセルを思い切り踏み込んで車を急発進させる。

後部座席で狂ったように吠え始めた犬が、「ヒュッ…」と喘息のような声を上げてドサリと倒れる気配がした。

「太郎っ!」

思わず振り返った友人が、

「ひぃっ」

と息を呑んだまま固まった。

「阿呆っ!振り向くなっ!」

オレはもう無我夢中で、友人の肩を掴んで前方に引き戻した。

向き直った友人の顔はくしゃくしゃに引き攣って、目の焦点が完全に飛んでいた。

恥ずかしい話だが、オレは得体の知れない恐怖に泣き叫びながらアクセルを踏み続けた。

それから、もと来た道をガス欠になるまで走り続けて峠を越えると、まんじりともせずに朝を迎えたのだが、友人は殆ど意識が混濁したまま近くの病院に入院し、一週間ほど高熱で寝込んだ。

回復した後も、その事について触れると激しく情緒不安定になってしまうので、振り返った彼が何を見たのか聞けず終いのまま、卒業してからは疎遠になってしまった。

犬の方は、激しく錯乱して誰彼かまわず咬みつくと思うと泡を吹いて倒れる繰り返しで、可哀そうだが安楽死させたらしい。

結局アレが何だったのかは分からないし、知りたくもないね。

ともかく、オレは海には近づかないよ。

以上が同僚の話。

昔読んだ柳田國男に、笊や目籠を魔除けに使う風習と、海を見ることを忌む日の話があったのを思い出したが、今手元にないので比較できない。

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見える友人

19歳の時、私の兄と兄の友人が海で波にさらわれて行方不明になったんですが…

その時、ニュースで実名で報道され、ニュースを見た私の友人も何人か心配して連絡をくれました。

その中に占いができる友人がいて、私は藁にも縋る思いで

「兄は戻ってくるのかどうか占って欲しい」

と頼んだところ、彼女は

「ごめん。占えない。ホントゴメン」

と言って電話を切られてしまった。

翌日、彼女は家にやってきて私に夕べの非礼を詫び、

「実は私は占いなんてまったくできない。ただ、少し不思議な力があるらしく、人に見えないモノが見える時がある。貴方のお兄さんは既に亡くなっているのが見えた。現在はここらへん(地図を指差す)にいるはず。でも、見つかるのは明日の昼少し過ぎで、ここら辺で見つかるはず」

と教えてくれた。

そして実際、兄は翌日の12時半過ぎ、船で兄を探していた親族に発見された。

ちょうど彼女が指差した位置だった。

そして一昨年、近所でひき逃げ事故があった。

小学二年生の子供が殺されたのだが、犯人は逃走してその位置に看板だけが立っていた。

ある日、その友人が遊びに来た時、隣の家の車を見て一瞬驚いた顔をし、そのまま私を引っ張って

「家に入ろ。急いで」

と、家に引きずり込んだ。

「どうしたの?」

と聞くと、

「あの隣の人の車のタイヤに、小学生の低学年くらいの子供が血まみれでしがみついてる」

と言った。

数日後、その隣の家の息子さんがひき逃げで逮捕された。

余談ですが、兄が海の事故で死ぬ前の年、兄と私は親戚の船に乗せてもらい釣りに出掛けた。

しばらく釣りを楽しんでいたら、突然兄が

「海の中に人がいる」

と言い出した。

私が覗き込んでも何も見えない。

「どんなのが見えたの?」

と聞くと、

「骸骨みたいな手が俺を引っ張ろうとしていた」

と言った。

ビビった親戚は、そのまま船を動かし逃げて帰った。

それが8月某日。

偶然かもしれないけど、兄が亡くなったのも翌年の8月某日。

その時一緒だった親戚は

「あの時の手が○○(兄)を捕まえたんだ」

と、葬式で言っていた。