私の叔母さんは、お寺の跡取りさんと結婚して、離島に一軒しかないお寺に住んでいた。
今は旦那さんに先立たれて、子供もいなかったので、最近私たちの家の近くに引っ越してきた。
お寺といえば、よく怖い話とかじゃ心霊写真だの、いわくつきのものを預かったりとかいうから、伯母さんのところはどうだったの?と聞いた。
「そりゃ、預かったことあるわよ」
と軽く言われ、
「怖くないの?」
と聞いたら、
「慣れるよ」と。
「でもどんどんたまってくでしょ?」
「おたきあげするから」
なるほど~って感じだった。
そんな伯母さんが、一度だけ怖いと感じたことがあって、それは一本の日本刀を預かった時だったそうな。
その刀は抜くと不幸なことがあるという刀で、持ち主は捨てるに捨てれないし、預かってほしいと言ってきたそうだ。
その頃は結婚してお寺に住んでいたが、亡くなった伯父さんではなく、伯父さんのお父さんが住職だった時で、その方が預かったんだそうだ。
住職さんが、預かった後どんな刀だろうと面白がって、止めたけど抜いてしまったそうだ。
そうしたら、その後すぐ喀血して亡くなった。
で、こっからが私が一番怖いと思ったことだけど、
「その後、刀どうしたの?」
って聞いたら、
「なんか知らないけど無くなった」
確かにそうなってもおかしくない。
田舎のお寺で、地域の人が無断でどんどん入ってくるんだよ。
しかも、お寺と自宅がつながってるから、家にまで入ってきちゃう。
私は仕事で行けなかったけど、学生だった妹がお葬式とか整理を手伝いに行ったとき、ドア開けたら廊下に知らない人が立ってて、マジでびっくりしたって。
そんなんだから、よく物がなくなるんだよ。
うちの母は
「まあ結局必要なところに行くのよ」
とか訳の分からんことを言ってたけど、必要なところってどこよ・・・