「 月別アーカイブ:2013年02月 」 一覧
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母親
俺、物心つく前に親父が死んじゃってて、お袋が女手一つで俺とアネキの事、育ててくれてたのよ。
実際すげー優しかったし、本当に愛情込めて育ててくれたと思う。
そんなお袋も10年前、俺が二十歳の時に死んじまったんだなこれが。
そりゃーショックだったよ。
アネキも俺も放心状態。
でも親類関係って一切かかわった事ないし、連絡先も知らないから自分たちで全てやるしかなかったのね。
まぁ近所のおばさんなんかが手伝ってくれたし、アドバイスくれたりで淡々と葬式の準備は進んでったわけよ。
その時、アネキが近所のおばさんと区役所に死亡届を出しに行ってたんだけど、2人して真っ青な顔して帰ってくるのよ。
もうね、本当の青って感じw
アネキなんか、今更おお泣きするしw
んで、そのおばさんに何があったのか聞いてみたら、お袋18年前に死んでますってwwwwwww
確かに、保険証にお袋の名前無かったのはおかしいと思ってたんだけど・・・
俺の事、20年間育ててくれたのはいったい誰だったんだ?
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オオカミ様
俺が宮大工見習いをしてた時の話。
だいぶ仕事を覚えてきた時分、普段は誰も居ない山奥の古神社の修繕をする仕事が入った。
だが、親方や兄弟子は同時期に入ってきた地元の大神社の修繕で手が回らない。
「おめぇ、一人でやってみろや」
親方に言われ、俺は勇んで古神社に出掛けた。
そこは神社とはいえ、小屋提程度のお堂しかなく、年に数回ほど管理している麓の神社の神主さんが来て掃除するくらい。
未舗装路を20km程も入り込んで、更に結構長い階段を上って行かねばならない。
俺は兄弟子に手伝ってもらい、道具と材料を運ぶのに数回往復する羽目になった。
そのお堂は、酷く雨漏りしており、また床も腐りかけで酷い状態だった。
予算と照らし合わせても中々難しい仕事である。
しかし俺は初めて任せられた仕事に気合入りまくりで、まずは決められた挨拶の儀式をし、親方から預かった図面を元に作業に掛かった。
この神社はオオカミ様の神社で、鳥居の前には狛犬ではなくオオカミ様の燈篭が置いてある。
俺は鳥居を潜る度に両脇のオオカミ様に一礼する様にしていた。
約一ヶ月経過し、お堂がほぼカタチになってきた。
我ながらかなり良い出来栄えで、様子を見に来た親方にも
「なかなかの仕事が出来ているな」
と褒めてもらった。
それで更に気合が入り、俺は早朝から暗くなるまで必死で頑張った。
ある日、内部の施工に夢中になりハッと気付くと夜の10時を過ぎていて帰るのも面倒になってしまった。
腹が減ってはいるが、まあいいかと思い、
「オオカミ様、一晩ご厄介になります。」
と、お辞儀をしてお堂の隅に緩衝材で包まって寝てしまった。
どれくらい眠っただろうか。
妙に明るい光に、
「ん…もう朝か?」
と思って目を開けると目の前に誰か座っている。
あれ?と思い、身体を起こすと日の光でも投降機の光でもなく、大きな松明がお堂の中にあり、その炎の明るさだった。
そして、明るさに目が慣れた頃に、目の前に座っていたのは艶やかな長い髪の巫女さんだった。
「○○様、日々のご普請ご苦労様です」
鈴の鳴るような澄んだ声が聞こえると共に、彼女は深々とお辞儀をした。
「ホウエ?」
俺は状況が飲み込めず間抜けな声を返しながら、お辞儀でさらっと流れた黒髪に見惚れてしまった。
「我が主から、○○様がお堂にお泊りなのでお世話をする様にと申し付けられ、ささやかでは有りますが酒肴をご用意して参りました」
彼女が料理と酒の載った盆を俺の前に置く。
盆の上には大盛りの飯、山菜の味噌汁、大根や芋の煮物、渓流魚の焼き物、たっぷりの漬物。
そして徳利と杯が置いてある。
「さ、どうぞ」
彼女が徳利をもち、俺に差し出す。
俺は良く解らないまま、杯を持ちお酌をしてもらった。
くっと空けると、人肌ほどの丁度良い燗酒で、甘くて濃厚な米の味がした。
「・・・旨い!」
俺が呟くと、巫女さんは、
「それはようございました」
と涼やかな微笑みで俺を見つめた。
途端に腹がぐうと鳴り、俺は夢中で食事をした。
巫女さんは微笑みながらタイミング良くお酌をしてくれる。
食べ終わり、巫女さんがいつの間にか用意してくれたお茶を飲みつつ
「ご馳走様でした。ところで貴女はココの神主さんの身内の方か何かですか?」
と聞いてみた。
「ふふ、そのような物です。お気になさらず。」
巫女さんは膳を片付けながら答えてくれた。
突然俺は猛烈に眠くなってきて、もう目を開けているのも苦痛なくらいになった。
「お疲れのようですね。どうぞ横におなり下さいませ」
巫女さんはふらつく俺の頭を両手でそっと抱え、彼女の膝の上に乗せてくれた。
彼女の長い黒髪が俺の顔にさらっと掛かる。
彼女の黒髪に似合う髪飾りってどんなのだろう、と柄でもない事を考え、暖かく柔らかな感触を頭に感じつつ俺は深い眠りに落ちていった。
「おい、○○。起きろや」
親方の声で目を覚ました俺はバッと飛び起き時計を見る。
朝の7時。
目の前にはニコニコした親方と神主さんが居る。
「あ、すみません親方。昨夜遅くなったんで泊まっちまいました」
俺は親方にどやしつけられるかとビクビクしながら謝った。
「ふ。お堂の中で一晩過ごすなんざ、おめぇもそろそろ一人前かぁ?」
なぜか嬉しそうな親方。
なんとか怒られずに済んだようだ。
「あ、神主さん、昨夜はありがとうございました。食事届けていただいて。」
「はぁ?なんですかそれは?私は存じませんが?」
「え?だって神主さんのお身内だっていう巫女さんが酒と食事を持ってきてくれて…」
「いやあ、あなたがお堂に泊まってるのに気付いたのは今朝ですよ。朝、様子を見に来たらあなたの軽トラが階段の下に止まっていたので何か有ったのかと思って親方に連絡して、一緒にお堂に来たのですが…」
「え?そんなはずは…?」
戸惑う俺を見て、親方が大笑いしながら言った。
「大方、腹減らしながら寝ちまったからそんな夢を見たんだろうよ。それか、オオカミ様がおめぇの働き振りを気に入ってご馳走してくださったかだ。まあ後でお礼の酒でも納めれば良いんじゃねえか。」
一週間後、無事に竣工した神社を奉納する儀式も終わった。
俺は休日に一人で神社に行き、酒と銀細工の髪飾りを納めた。
帰りに鳥居を潜ろうとしたとき、お堂の前に間違いなく誰かが居る様な濃厚な気配を感じて振り向きそうになったが、そのまま一礼して階段を降り始めた。
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子供達の声
その日は残業で、終電で最寄り駅に着いた。
駅からの帰り道には地元で一番古い小学校がある。
そこで異変が起きた。
その小学校の脇を通った時に、校庭で子供達がはしゃいでる声?が聞こえてきた。
何を言ってるのかは聞き取れなかったけど、数十人くらいの子供がワーワー騒いでるようだった。
空耳かな?
と思ったけど、妙にハッキリ聞こえたので自転車を止めて様子を伺った。
それでも子供達の騒ぐ声が10秒くらい続いたので空耳とは思えない。
なんで深夜1時に子供達が集団で騒いでるんだろう?
疑問になって、その小学校の裏口から校庭を覗いた。
校庭は真っ暗で、この暗闇の中で子供達が騒いでるのは不自然というかありえない。
校庭じゃなくて校舎か体育館に居るのか?
と思い、薄っすらと街灯で照らされた校舎と体育館を見たが真っ暗で人が居る気配は無い。
その時は恐怖心は全く無く、何故かこの声の方へ行きたくなり裏口の門をよじ登って校庭内に入った。
(今にして思えば、何故校庭内に入ったのか不思議でならない)
校庭内に入り、さらに声の方へ近づくと、その声はさらに大きく鮮明になっていった。
さらに歩いていくと声は前後左右から聞こえてきた。
子供達の集団の真ん中くらいに居るのだろうか?
その時それが、子供達がはしゃいでいる声ではない事に気付いた。
「助けてえぇ、苦しい・・・」
それは、もがき苦しんでいる人達(女性と子供のようだった)の絶叫と悲鳴だった。
その途端、体中が火傷しそうなくらい熱くなり、焦げるような異臭とともに煙で目に激痛が走り、呼吸困難になる。
同時に何人もの人達?が、俺の体にしがみ付いてきたが人の姿は見えない。
(正確には真っ暗闇なので見えなかった)
俺は必死でその人達?を振り払いながら、外の街灯を頼りに裏口を目指した。
なんとか裏口までたどり着くと必死で門をよじ登り、外へ脱出したがその途端悲鳴が止み、熱と煙も消えていた。
翌日、爺ちゃんにこの話をしたら、爺ちゃんからその小学校は戦時中には防空壕があったのだけど、大空襲でその防空壕が爆破されて中に居た数百人がほぼ全員犠牲になった事を教えられた。
俺はタイムスリップしたのだろうか・・・
もしあの時、しがみ付いてきた手を振り払う事が出来なくて校庭から出られなかったらどうなっていたんだろう?
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覚醒
三年の夏までは俺よりも頭悪いくらいだったのに、秋くらいに何故か覚醒。
気持ち悪いくらい頭良くなった奴がいた。
同じバスケ部だったんだけど、勉強だけじゃなくて、ある日を境に何かが乗り移ったみたいに上達していた。
引退してたから意味は無いんだけど、本人も本気で気持ち悪がってて、
「宇宙人に改造されたんじゃないか」
と自分で言ってた。
それで、何を思ったのか三年の秋に、俺と一緒に行く予定だった県外の私立大学から地元の国立へ進路変更した。
そこは結構な難関なのに一発合格。
しかも特別待遇。
そいつは、
「何か怖いなww」
って言ってた。
で、俺は予定通り県外へ出て、ここ一年ぐらいそいつとは連絡していなかった。
それで先週、そいつの訃報が入った。
一年前までは病気なんて全然しないような奴だったのに、死因は心不全。
殆ど原因不明らしい。
大学へ入ってからも、そいつの覚醒っぷりは凄かったらしくて、何か色んな賞とか取ってたらしい。
その賞金や、貯めてたらしいバイト代とかが全部遺されて、二十歳そこそこの癖に遺産相続やらまで行われた。
何か知らんけど、俺はバットとアンプをいただいた。
そういうのが全部遺書みたいに纏められてて、何だか不気味だった。
自殺じゃないのかって疑われてたようだけど、調べてもやっぱり自然死としか言いようがないみたいなことを言われたらしい。
俺の貯金は妹の学費にとか、二十歳の大学生が書いて遺しておくか?
自然死なのに?
何か凄い怖い。
あいつなんで死んだんだろう。
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別れた女
学生時代の後輩が、4つ上のOLと同棲してたんだけど、強引に別れて他の女と結婚したんだ。
後輩にとっては金づるだったみたいだけど、その後、その女が自殺した。
後輩は自殺したと聞いても、俺には関係ないですよとか言って笑ってたな。
ところが生まれた子供2人とも奇形で、それが原因でカミさんはノイローゼ?になって精神病院に入院。
後輩は、夜毎に自殺した女が俺の部屋に来るとか言い始めて、結局仕事止めてニート状態。
今は、親が後輩と子供の面倒見てるらしい。
まぁ、これが自殺した女の祟りなのかどうかは判らないけどな。