数年前、千葉のある堤防に友人達と釣りに行った時の話。
夏なので夜釣りをしたかったのだが、初めて行く堤防だったので、様子見をかねて明るいうちから始めて、夜釣りに入る事にした。
日中は何も釣れず、周りの釣り人もただ竿を出して、常連さん達と話してるだけの状態だった。
しばらくして日が暮れはじめると、常連さん達が
「じゃ、また明日」
などと言いながら次々と帰ってしまい、最後は俺らだけになった。
土曜日で堤防貸し切りなんてラッキー過ぎるわー、なんて話していたら、日暮れ時のゴールデンタイムに突入。
入れ食い状態で、アジやらイワシがかかってくる。
久々のラッシュでテンション上がってたら、チャリに乗った地元のおっさんが話しかけて来た。
オッサン「釣れてる?」
俺ら「昼から粘ってやっと釣れ始めましたよー」
オッサン「そうかぁ。でも真っ暗になる前に帰りなよ。ここ出るから」
俺ら「え?」
オッサン「向こうの角さ、一段下がってる所があるんだけど、そこに花があるんだよ」
俺ら「さっきまで常連さん達がいて見えなかった…」
オッサン「ここ前から事故が多いから、その時も声かけたんだけどね、『やっと釣れ始めたから、もう少しやってから帰る』って言われてね…」
俺ら「マジですか…だから常連さん達、皆帰ったんだ…」
オッサン「地元じゃ割と有名だからねぇw。ま、一人じゃないから大丈夫だと思うけど、念のためね。夜釣りするなら穴場教えてあげるよ」
で、穴場を教えてもらいながら平静を装いつつ、全員竿に仕掛けをつけっ放しで慌てて片付けて移動した。
この時のみんなの慌て様は笑い話になるのだが、何故常連さんがいなくなって、俺ら新参だけになった途端釣れ始めたのかと考えると、今でも少しゾーッとする。