怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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「 呪い 」 一覧

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女子高生 自殺の真相

女子高生 自殺の真相 

私は茨城県立 ○○高校の2年生です。
実際に体験した恐ろしい出来事をお話します。

去年の夏、大親友だった山室美香さんを失いました。
新聞には彼女が自殺したと書いてありましたが絶対に違います。
私は知っています。
彼女は妖術で殺されたんです。

彼女が自殺する2ヶ月前に、彼女の恋人がオートバイの事故で亡くなりました。
恋人は瀕死の重傷を負い、病院のICUに担ぎ込まれて程なくして息を引き取りました。
恋人は亡くなる間際に、彼女に「俺の分まで必ず生きろ」と言い残して旅立ちました。

恋人を失った彼女はずいぶんと落胆して憔悴していましたが、恋人の遺言を守るべく持ち前の粘りで立ち直りました。
つね日頃から、「私は彼の分まで生きるんだ」と言い、心に誓っていました。
そんな彼女が自殺するなんて絶対に考えられません。

彼女が亡くなる数日前に、私にこんなことを言いました。
「わたし、一度でいいから彼に会いたいなぁ」
もちろん、亡くなった人に会える訳がありません。
たとえ、夢の中でも良いから会ってみたいと思ったんでしょう。

彼女が亡くなる前日の夜、彼女から電話がありました。

「あのさぁ~ 隣のクラスにYって人 いるでしょ。 あの人、妖術出来るんだってさ。
それでねぇ 死んだ恋人に会いたいなぁ って話したら会わせてくれるって言うんだよ。
絶対に会えるかぁ って聞いたら、絶対に会わせてあげるって言うんだよ。
わたし、うれしくてうれしくて、たぶん今夜、夢で会わせてくれるんだと思うよ」

これが彼女との最後の会話になりました。
その時わたしは、なんともいえない嫌な予感がしたんです。

翌朝早く、彼女の住むマンションの駐車場に若い女性の変死体が発見されました。
変死体は山室美香さんでした。
警察の調べで、マンション自室のベランダからの投身自殺と判明されました。
目撃者の証言では、自らベランダの手すりを乗り越えたとの事でした。
でもでも、絶対自殺なんかする人ではありません。

私は翌日、となりのクラスのYに会いました。
山室美香さんの事を尋ねると、驚くべき答えが返ってきました。

「彼女が死んだ恋人に会いたいって言うから、会わせてあげたんだよ」

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憑き物

高校2年のころ、Hという同級生がいた。

そいつは優等生で人当たりも良く、相手が不良だろうがオタクだろうが分け隔てなく接し、大半の生徒から好かれていた。

俺もそんなHが嫌いじゃなかった。

冬休みが明けて3学期が始まったとき、Hに異変が見え始めた。

いつもニコニコしていたのが全く笑わなくなり、休み時間も席から離れず、ずっと机に伏せたままにしている。

冬休み前より確実に頬もこけている。

風邪でもひいたのだろうと、誰もそれほど気にしていなかったのだが、ついには学校に来なくなった。

心配をした友人が、Hの親友であるFに

「Hどうした?入院でもしてるのか?」

と聞いた。

「入院はしていないみたいなんだけど、体調が悪いらしい。今日帰りにお見舞いに行こうと思ってるんだ」

とFが答えた。

すると友人が、俺達もついて行くと言い出し、俺も流れでお見舞いに行くことに。

Hの家はマンションの3階だった。

Fが玄関のインターホーンを押すと、玄関のドアが開き中からHの母親が出てきた。

「あら?F君こんにちは。あとは同級生の方達?わざわざありがとうね。ごめんねあの子今寝てるのよ。病気はたいした事無いんだけどね」

と、明るく答えた。

その様子からして深刻な病気では無いのだろうと俺が思っていると、家の奥からHが出てきた。

一瞬、それがHだとは思えなかった。

顔は痩せ細り青ざめている。

なにより目が違う。

キツネのようにつり上がってるのだ。

そんなHが、部屋の奥から四つん這いでこちらを見て、口をムニャムニャ動かしている。

寒気が全身を走った。

これがあのH??

Hの母親も奥からHが出てきていることに気付き、慌てて俺達3人を玄関から外に押し出しドアを閉めた。

帰り道、さっきの事が理解できないでいた俺と友人は黙って歩いていた。

その沈黙をFが破った。

「・・・Hは猫に呪われてるんだと思う・・・猫が憑いている」

「は?」

俺と友人はFの方を見た。

「Hは空気銃で猫を撃つのが趣味なんだ。野良猫を見つけては・・・クラスメイトの名前をつけて…撃つんだ。俺、可哀想だからやめろよって言ったんけど、Hがやってるとなんか間違ったことやってるように思えなくなってきて・・・」

猫が憑いている!?

んなバカな!

でも、あのHの変貌ぶりといったら・・・

そんなことが現実に起こりえるのか??

つーか、Hの趣味が猫撃ち?

クラスメイトの名前つけてって・・・

などと混乱してるとFが、もういっかいHの家に戻って、この話をHの母親に説明してくると言い出した。

俺達はもう関わりたくなかったので、そこでFと別れた。

Hはそのまま学校には来ないで転校という形で去っていった。

後日、Fの話によると、あの後Fも交えてH家で家族会議が開かれ、Hの父親の実家近くの寺だか神社だかにHを預けることになったらしい。

「Hが可哀想だから、この話は他のクラスメイトには話さないであげて欲しい」

とFは言った。

ごめんF、クラスメイトには言わなかったけど書いちゃった。

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くだん

もう20年くらい前になるかな。

ある日、実家の父から電話があった。

先日、祖父の法要で田舎(父の実家)に帰ったとき、仏間で面白いものを見つけたから見に来いという。

実家まで車で30分ばかりだし、俺はさっそく行ってみた。

父は、他の家族の目をはばかるように俺を手招きすると奥へ向かった。

そして卓の前に座ると古そうな木の箱をとりだした。

そして顎をしゃくって開けて見ろという動作をした。

俺はよく要領を得ないまま蓋をとった。

正直、それを見た第一印象はウェッなんだこれといった感じだった。

綿の敷かれた箱の中に入っていたのは、体長20㎝程の猿の赤ん坊?のミイラだった。

既に目玉も鼻もなく、ぽっかりと穴が開いてるだけ。

剥き出した口には、ギザギザと小粒な歯が生えているので辛うじて人間とは違うなと思う。

ただ猿とも少し違うような。

何コレ?俺は父に尋ねた。

父はニヤニヤしながらワカランと首を振った。

祖父の部屋には、昔からオカしなものけっこうあったそうで、なんぞ面白いものでも無いかと漁っている内に天袋の中から見つけたそうである。

それを黙って持ち出してきたらしい。

俺も父もこういった珍品は大好きだったが、それにしてもこれは余りに薄気味悪く禍々しかった。

箱の面には何か札のようなものが貼ってあったが、文字はもう掠れていて読めなかった。

その日はそこそこ居て帰ったが、翌日から俺は体調を崩した。

熱があると言うわけでもないのに体が重く、体が火照った。

何をするのも億劫だった。

仕事も休んで部屋でゴロゴロしていた。

翌日も休む。

そこへ実家の父から電話が掛かってきた。

お前体に異変はないか、と尋ねてくる。

ヒドくダルそうな声だった。

俺が状況を説明をすると父も同じ状態らしい。

俺の頭にあのミイラの姿がよぎる。

そんな状態がダラダラと幾日か続いた後、再び父から電話がある。

父の所に叔父(父兄弟の長兄)から電話があったそうだ。

あのミイラを持ち出したことかバレた。

電話口で、鼓膜が破れる程怒鳴られたそうである。

直ぐにあれを持って戻ってこいと言う。

あれを見た俺も一緒に。

俺と父は重い体を引きずって、姉の運転する車で父の郷里にむかった。

到着すると、俺達は再び叔父に散々小言を言われた後、今度は叔父の運転する車で檀家になっている菩提寺へむかった。

叔父はあの箱を脇に抱えていた。

車中、父はあのミイラの事を尋ねた。

アレはいったい何なのですかと。

叔父はぶっきらぼうに、あれは、くだん、だと答えた。

くだんって、あの生まれてすぐ予言をして死んでいく牛の妖怪か?

何でも、数代も前のこの家の当主の嫁が産んだと伝えられているらしい。

病死なのか、もしくは余りに醜いので間引いたのかはわからないと言った。

また、嫁もその子を産んだときに死んだとも伝えられている。

ずいぶんと昔の話らしいが、これから行く寺の記録に数行だか残っているらしい。

その後、箱と俺と父は寺で経を上げてもらった。

つまりあれは人間ということになる。

件としたのは、人と明言するのを避けたかったからではないのか。

そしてアレは絶対に持ち出してはならないもので、毎年決まった日に菩提寺で経を上げてもらうそうだ。

丁度、数日前がその日だったが見つからない。

もしやと思って父に電話したそうだ。

叔父が言うには、オマエ等のお陰で経をあげてもらえず件が祟ったのだと言う。

あのまま放っておけは二人とも死んでいたぞ、とも。

【でじほん!】

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生霊が見える友人

この前、職場の同僚Aと居酒屋で飲んでいたときの話。

偶然、前の職場の飲み会とカチ合った。

俺は特に問題があって辞めたわけじゃないし、前の職場の人とも仲が良かったので、合流はしなかったけれどなんか向こうの人が何人もこっちの席に来て注いでもらったり、唐揚げとか刺身とかをおごってもらったりとかしてた。

そのうち同僚Aが、気分が悪くなったって言い出して俺たちは一足先に店を出ることになった。

店を出て「だいじょうぶか?」なんて言ってたら、同僚Aが

「お前の前に勤めてた会社の課長、ほら、さっき酒注ぎに来てた人。あの人はもう駄目だな」

なんて言い出した。

「なんで?」

って聞いたら、Aは

「あの人、3人の生霊に憑かれてるよ。人間ああなっちゃあもう駄目なんだ。俺、それで気持ち悪くなっちゃったんだよ」だって。

「生霊?マジかよ、そんなのわかるの?」

って聞いたら、どうもAには分かるらしい。

「例えば、おまえでも初対面の人に会って3分話してみて、いや、一目見て嫌悪感を感じる人間っているだろ?見た目がキモイっていうレベルじゃなくってさ」

と、Aはそんなことを言い出した。

「そういう人間ってのは、なにかしら憑かれちゃってるんだよ。あの課長程の凄い憑かれ方のやつは俺も初めて見たけどな」

「そんなに凄く憑かれちゃってるのか?あの課長」

「うん、ああなっちゃうともう駄目だ。何をやってもね」

信じられなかった。

確かに、あの課長は尊敬できない人だったが、そんな強力な生霊が3人分も憑くものなのだろうか?

「生霊って、恨みみたいなもんなの?」

「ああ、恨みっていうより執念、いや、怨念かな?」

「じゃあ藁人形とか、そういうことをどこかの3人がしてるって事?」

「そうじゃないよ。思うだけでいいんだ。」

「相手を恨むには、自分も代償を払わなくちゃいけないってよく言われるけど?」

「そんなのは要らないんだよ。恨みを晴らす代償は、あの課長にされた色々な嫌がらせなり、セクハラなりパワハラなり、とても言葉では言えないような汚いことをされた事で前払いしてるんだから」

「ていうと、頭の中であいつ死ねとか思うだけで生霊が憑くってこと?」

「そうだよ。こわいねー」

まあ、そういうこともあるのかな、と俺は思った。

あの課長なら恨まれても納得だ。

ちょっと気になったので俺はAに聞いてみた。

「なあ、俺には生霊は取り憑いていない?」

「お前には、じーちゃんばーちゃんしかついてねーよ。これからもお年寄りを大切にしろ」

どうせなら、若いねーちゃんに憑いてほしかった。

最後に、一番気になることをAに聞いた。

「それでさ、あの課長に憑いていた3人って、どんな人なの?」

「一人は女の人だね。おとなしそうな感じだけど、よっぽどひどい目にあったみたい」

そうか、確かに前の会社は事務員さんがコロコロ変わっていた。

噂では、あの課長が気に入らなければ即クビになったそうだ。

「あとは男だ。ひとりはなんか思いつめてたなー。ああいうのが一番やばい。恨みに取り付かれると、今の自分の生活なんか関係なく恨みつづけるからね。そのせいで更に状況が悪くなっちまう。恨む事で自分の今の生活を駄目にしてるんだ」

なるほど、恨んでばかりいたら今の生活もままならないって訳だ。

こいつ、いい事言うじゃん、と俺は思ったね。

「3人めはね、お前だったよ」

俺かーwww

そうかもしれないね。

あの課長には本当に死んで欲しいと思ってるからね。

それにしてもAは凄い。

本物です。

本当に見えてるんだね。

それ以来、なんかそういう力を信じるようになりました。

【愛テク】

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呪われた潜水艦

かつて、怨霊がとりついているとしか思えないような潜水艦がドイツ軍に存在していた。

本来であれば敵艦を沈めるための軍事潜水艦であるはずが、なぜか味方の方に次々と不幸をもたらす。

初めのうちは偶然に事故が続いただけだと思われていたが、そうではない出来事もやがて起こり始める。

1916年、第一次世界大戦の真っただ中のこの年、ベルギーのブルージュの造船所は、24隻の新型の潜水艦を作っていた。

この中に、後に『呪われた潜水艦』と異名をとる『U65』号がいた。

U65は建設段階の時から不慮の事故を巻き起こしていく。

ある日、造船所の中で、U65に取りつけるための大きな鉄骨をクレーンで動かしていたところ、突然チェーンから鉄骨がはずれて下に落下した。

ちょうど下には2人の作業員が雑談をしており、鉄骨は2人を直撃した。

1人は即死、もう1人は両脚が下敷きになり、両脚をつぶされた。

彼の脚から鉄骨を取り除こうにも滑車の装置が壊れており、救出するまでに1時間かかった。

その後、すぐに病院に運びこまれたが結局助からなかった。

そして半月後、U65は完成した。

ある日、進水式を間近に控え、3人の作業員がディーゼルの再点検のために機関室に入っていった。

だがしばらくして、機関室の中から彼らの助けを呼ぶ声が聞こえてきた。

隔壁の扉が動かなくなって閉じ込められてしまったのだ。

周りにいた作業員たちが駆けつけ、扉を必死になってこじ開ける。

その間にも、中から助けを呼ぶ声はどんどんと小さくなっていった。

やっと扉が開いた時、閉じ込められていた3人は有毒ガスで死亡していた。

だいたい扉が動かなくなった原因も不明だったが、どこから有毒ガスが漏れたのかも不明だった。

丹念に整備点検が行われ、ドックからも『完全に大丈夫』という保証つきで、U65は再び出航した。

初の任務は決められたコースをまわるパトロールである。

初の任務はうまくいった。

コースをまわり、U65は無事ブルージュの港へと帰ってきた。

ここで食料と弾薬、魚雷を積み込み、再び出航する。

だが、まさに出航しようとしていたその矢先、今度は積み込んでいた魚雷が突然爆発した。

艦内と甲板で5人の死者が出る事故だった。

「積んでいた魚雷が爆発するなんて、この艦は絶対呪われている。」乗組員たちは口々に噂しあった。

この事故の犠牲者の1人に、二等航海士で『シュワルツ』という男がいた。

シュワルツを含む5人の葬儀が行なわれ、U65はまたもや修理のためにドックへと入った。

次の出航の日も決まり、その数日前、乗組員たちは修理の完了したU65に改めて全員集合させられた。

これより点呼を行う。

前回の事故で死亡した5人に代わって、新たに5人のメンバーが加わった。

総数はこれまで通り31人となる。

全員が次々とタラップを昇っていく姿を指揮官が横で見ながら数を確認する。

「29、30、31、・・・・32?」

1人多い。

最後に昇っていったその男は指揮官にも見覚えがある男だった。

あれはまぎれもなく先日の魚雷事故の時に死んだはずのシュワルツだった。

「そんなバカな!」

指揮官は目を疑った。

「いや、そんなことがあるはずがない。見間違い、数え間違いだ。」

そう思うことで指揮官は自分の心を納得させた。

艦長と新任の乗組員たちが士官室にいた時、士官室のドアが突然開けられて、1人の二等航海士が飛び込んで来た。

「か、艦長!」

ノックもせずにドアを開けたことにムッときた艦長は

「上官への礼儀はどうした!」

と怒鳴り返した。

「す、すいません!今、たった今ですが、この間の事故で死んだシュワルツを見ました。彼がこの艦に乗り込んでいました!」

「そんなバカなことがあるはずがない。誰かをシュワルツと見間違えただけじゃないのか!」

「いや、確かにシュワルツでした。水夫のペーターゼンも見ています。間違いありません!」

「ではペーターゼンにも話を聞こう。彼にここに来るように言ってくれ。」

「それがペーターゼンはショックのあまり、甲板で腰を抜かして震えておりまして・・。」

艦長が甲板に昇って震えているペーターゼンに話を聞くと、

「あのシュワルツが確かに甲板を歩いて、へさきの方まで行ってそこでじっと海を見つめていました。間違いなくシュワルツです。でも瞬(まばた)きした瞬間に消えていたのです。」

とパニック状態になっている。

誰かのイタズラではないかと艦長は全員に問い正したが、誰もそんなことをする理由はない。

元々事故続きの呪われた艦として恐怖心を抱いていたペーターゼンは、このシュワルツを見たことが決定的となり、

「呪われた船に乗るくらいなら逃げる。」

と言い残して行方をくらませてしまった。

U65は1917年の末までに敵艦を何隻も沈め、イギリス海峡のパトロールの任務もきちんと果たしていた。

しかし乗組員たちの恐怖心は一向に収まることはない。

ある航海士が、またもや甲板を歩いてへさきまで行き、そこで消えてしまった人を見た。

仲間に話すとそれは絶対シュワルツだと言われた。

艦長にも報告したが、

「錯覚だ。何かの見間違いだ。怖いと思っているからそんなものが見えるのだ。この小心者が!」

と逆に怒られた。

しかしある日、艦内の航海士が、甲板の上で座り込んで怯えきっている艦長の姿を目撃した。

艦長もシュワルツを見たようだ。

「俺の船は絶対悪霊にとりつかれている・・。」

だが艦長はシュワルツの噂のことを知っていても、それを自分が見ても、絶対認めようとはしなかった。

逆に怯えている人間を「腰抜け」「小心者」と怒り飛ばしていた。

立場上、そうせざるを得なかったのだ。

しかしU65が物資の運搬や船内の整備に港へ寄った際、敵軍機の奇襲で艦長は即死してしまった。

1815年5月、U65はイギリス海峡からビスケー湾に向かって出航した。

新メンバーによる初の出航である。

しかし不慮の事故は相変わらず続いた。

出航して二日目に魚雷砲手がいきなり気が狂って暴れ始めた。

仲間が取り押さえて沈静剤を打ち、いったんはおとなしくなったものの、艦が浮上している時にその魚雷砲手を気分転換にと仲間が甲板へ連れていったところ、魚雷砲手は突然甲板を走り出し、そのまま海へと飛び込んだ。

海がシケて艦が大揺れしている時に機関主任がころんで脚を骨折したり、浮上してイギリスの商船を甲板砲で攻撃している最中には、砲撃手が高波にさらわれて行方不明となったこともあった。

また、敵機と遭遇して、逃げきったと思って浮上したとたん爆撃を浴びせられるというミスもあった。

新艦長も、この艦が呪われた船だということは十分聞いていた。

艦内でも不慮の事故が多いのに、この上、敵と戦闘にでもなったら今度こそは全員が死ぬのではないか。

艦長にも乗組員にも不吉な予感が走る。

U65は、なるべく敵とは会わないように会わないように心掛けながら慎重に帰途についた。

ようやくゼーブルージュの基地に帰りつき、全員がほっとした。

今回の任務はこれで終了し、乗組員のうちでリューマチを患っていた男が艦を降り、入院することになった。

数日後には再びU65は新しい航海へと出ることになる。

そして次の出発を明日に控えたある日、リューマチで入院している仲間を見舞いにU65の乗組員の1人が病院を訪れた。

「明日、またU65で出発する。俺に万が一のことがあったら、これを妻に渡してくれ。」

そう言って入院している仲間に何かの包みを手渡した。

「・・分かった。」

あの艦に乗る以上、いつ死んでもおかしくない。

そのことはお互いに十分分かっていた。

そして二ヶ月後の1918年7月31日、ドイツ海軍本部はU65が消息を絶ったと発表した。

入院していた仲間も、病院でこのニュースを聞いた。

予感はしていたが、ついにそれが現実のものとなってしまった。

U65に関しては最初は何の手がかりもなかったが、後日、敵国であるアメリカの潜水艦の艦長が海上で爆発するU65を目撃したという報告が入った。

その時、アメリカ潜水艦L2号はアイルランド西岸をパトロール中に、偶然海上に浮かぶドイツ軍の潜水艦を発見したという。

潜望鏡で覗いて見てみると、U65という番号が確認出来た。

当時アメリカとドイツは敵国同士である。

すぐに攻撃体制に入った。

後は艦長の魚雷発射の命令を待つだけ、という状態になった瞬間、海上のU65は突然大爆発を起こしてしまった。

攻撃前に標的が自然爆発を起こし、アメリカ側の艦長も訳が分からなかったという。

入院中の仲間もニュースや報告を聞いていたが、その中に一つ、非常に気になる部分があった。

アメリカ側の艦長が最初に潜望鏡でU65を観察した時、甲板に1人の男が立っているのが見えたと言っている。

その立っていた男とはシュワルツではなかったのか。

ついに全員を潜水艦ごと道づれにしたのではないのか。

入院中の仲間はそう考えざるを得なかった。

【 でじほん! 】