怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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「 異次元 」 一覧

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子供達の声

その日は残業で、終電で最寄り駅に着いた。

駅からの帰り道には地元で一番古い小学校がある。

そこで異変が起きた。

その小学校の脇を通った時に、校庭で子供達がはしゃいでる声?が聞こえてきた。

何を言ってるのかは聞き取れなかったけど、数十人くらいの子供がワーワー騒いでるようだった。

空耳かな?

と思ったけど、妙にハッキリ聞こえたので自転車を止めて様子を伺った。

それでも子供達の騒ぐ声が10秒くらい続いたので空耳とは思えない。

なんで深夜1時に子供達が集団で騒いでるんだろう?

疑問になって、その小学校の裏口から校庭を覗いた。

校庭は真っ暗で、この暗闇の中で子供達が騒いでるのは不自然というかありえない。

校庭じゃなくて校舎か体育館に居るのか?

と思い、薄っすらと街灯で照らされた校舎と体育館を見たが真っ暗で人が居る気配は無い。

その時は恐怖心は全く無く、何故かこの声の方へ行きたくなり裏口の門をよじ登って校庭内に入った。

(今にして思えば、何故校庭内に入ったのか不思議でならない)

校庭内に入り、さらに声の方へ近づくと、その声はさらに大きく鮮明になっていった。

さらに歩いていくと声は前後左右から聞こえてきた。

子供達の集団の真ん中くらいに居るのだろうか?

その時それが、子供達がはしゃいでいる声ではない事に気付いた。

「助けてえぇ、苦しい・・・」

それは、もがき苦しんでいる人達(女性と子供のようだった)の絶叫と悲鳴だった。

その途端、体中が火傷しそうなくらい熱くなり、焦げるような異臭とともに煙で目に激痛が走り、呼吸困難になる。

同時に何人もの人達?が、俺の体にしがみ付いてきたが人の姿は見えない。

(正確には真っ暗闇なので見えなかった)

俺は必死でその人達?を振り払いながら、外の街灯を頼りに裏口を目指した。

なんとか裏口までたどり着くと必死で門をよじ登り、外へ脱出したがその途端悲鳴が止み、熱と煙も消えていた。

翌日、爺ちゃんにこの話をしたら、爺ちゃんからその小学校は戦時中には防空壕があったのだけど、大空襲でその防空壕が爆破されて中に居た数百人がほぼ全員犠牲になった事を教えられた。

俺はタイムスリップしたのだろうか・・・

もしあの時、しがみ付いてきた手を振り払う事が出来なくて校庭から出られなかったらどうなっていたんだろう?

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ここはどこなんだろう

風邪ひいてて寒気がするので、大久保にある病院に行くため西武新宿線のつり革につかまってた。

で、あたまがぐわんぐわんと痛くて、目を閉じて眉間にしわ寄せて耐えてた。

そこで記憶が途絶えて、気がついたら夕方で、あたりは見知らぬ景色。

買ったことない服着てて、髪染めたこともなかったのに茶髪になってた。

パニクって近くのラーメン屋に入って、ここどこと聞いた。

大阪市の福島駅の近くで、時間が一年近く経ってた。

ケータイの種類が変わってた。

アドレス帳には、「ま」とか「ひ」とか、一文字の名前で電話番号が10程度あったけど、知り合いや実家の電話番号がない。

俺はなぜだか知らないがその知らない電話番号が恐ろしくて、川に捨てた。

警察から実家に連絡した。

向こうもパニクってた。

俺に捜索願が出てた。

とにかく帰って、今もまだ月一で精神病院に通ってる。

仕事は元の会社には帰れないみたいだったので、今は派遣やってる。

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トンネルの先の町

私が小学校低学年の頃だから、もう十数年前の話です。

私の実家はド田舎にあるのですが、家の裏手に山があります。

あまり人の手も入っておらず、私はよく犬の散歩で山の麓や少し入った山道を歩いていました。

梅雨が明けて暑くなりだした頃だから、7月頃だったと思います。

いつものように山道に入っていくと、犬が急に走りだそうとするんです。

よし、じゃあ走ってみようか!って、一緒になって走って気が付いたらいつもより険しい山道に入ってしまったようでした。

15時くらいに家を出たので、まだ明るい時間帯のはずなのに山の中は薄暗く不気味に感じました。

元来た道を戻ろうと引き返し始めると、途中で道が途切れてしまいました。

かなり出鱈目に走り回ったから、場所も方角もわからなくなってしまったわけです。

少し涙目になりながら、それでも下に下に降りていけば山からは出られると思い、草だらけの道無き道を犬と一緒に降りていきました。

しばらく山を下りていくと、段々と周囲が明るくなり、夕焼けの色の空が木々の合間から覗きます。

こんなに時間が経っていたのか、早く帰らないとお母さんに怒られる、そんな事を思いながらさらに山の麓を目指しているとトンネルの脇に出ました。

トンネルの向こうからは夕焼け色の光が見えます。

人工物を見つける事が出来て安心した私は、そのトンネルを抜ければどこか知っている道に出られると思い、トンネルの中を犬と一緒に走りました。

トンネルを抜けると、そこには緩やかな盆地に作られた町のよう。

家が沢山あり、夕焼けが屋根を照らしています。

こんな町があったんだなぁ、と少し興奮しながら山の麓に下りる道を聞こうと、私は町へ向かいました。

トンネルから町に入る道の右に民家があって、少し離れた場所から道の左右にズラッと家が並んでいるのがわかります。

町に近付きながら誰かいないかな、と思っていると、トンネルから一番近い民家からおじさんが一人出てきました。

犬を連れた私が近づいてくるのを見て笑顔で挨拶してくれます。

私も挨拶を返した後、麓に下りる道を尋ねました。

おじさんは不思議そうな顔で、

「君が今来たトンネルを抜けて、そこから山道を下れば麓に出られる」

と教えてくれました。

この町を抜ける道を聞きたかったのですが、まぁいいかと思い、礼を言って引き返そうとするとおじさんが私の名前を尋ねてきました。

私は山の近くに住んでいます○○です、と答えるとおじさんは納得したような顔で頷きながら、

「ここら辺は夜になると野良犬がうろつくから早く帰った方がいいよ」

とトンネルを指差します。

私は再度礼を言ってトンネルに引き返しました。

途中で振り返ると、おじさんが私を見ながら手を振ってくれたので、私もお辞儀してから手を振り返しました。

トンネルに入る前に、もう一度振り返るとおじさんはまだ家の前にいたので、また手を振りながらトンネルに入りました。

そこからトンネルを抜けて山道を下っていくと、周囲がさらに明るく開けて山の麓の知っている道に出ました。

今日は歩き回ったね~なんて犬に声を掛けながら家に帰る途中で、まだ夕日が照っていない事に気付きました。

あれ?とか思いつつ家に帰り着いたのは16時半くらいでした。

家に帰ってから母にその日の冒険の事を話すと

「そんな町あったんだねぇ」

と不思議がっていました。

夜になって父親にもその話をしましたが

「山の中にそんな町あるわけない」

の一点張りで、さらにあまり山の中でウロチョロするなと軽く叱られました。

私はもう一度その町に行こうと思ったのですが、トンネルもそのトンネルから麓に下りた道も見つける事が出来ませんでした。

その年のお盆、家族や祖父母と一緒に墓参りに行きました。

それまでに数回訪れたことのあるはずの墓地を見た瞬間、妙な既視感を感じました。

なだらかな丘に道がありその左右に墓が並んでおり、そして墓地の入り口から一番近い墓が私の実家の墓です。

当時の私は、それを理解してから本気で泣きました。

理由を聞いて祖母が、

「そのおじさんにしっかりお礼言わなきゃね」

とお墓を磨かせてくれました。

あの時のおじさんの顔は、ぼんやりとしか覚えていません。

しかし最近歳をとった父親の顔を見ると、こんな感じの顔だったなぁなんて思います。

ただ、もしそのおじさんに出会わなかったらと想像すると、今だに私は怖いです。

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無人の世界

この話を友達にしたら、米国の有名人の体験談を思い出したと言われました。

賑わっているはずの空港に行くと、自分以外、誰も居なかったという話らしいのですが…

それで私の体験談ですが、2年前の出来事で、当時は看護師をしていました。

今は派遣事務の仕事に就いていますが、我ながら、よくあの殺人的なシフトをこなしていたなと感心します。

17、8時間の拘束は、当たり前の世界ですから。

その日は、二交代勤務の日勤でした。

朝7時半頃、いつもの通用口を通ったのですが、院内が不気味な程、閑散としていました。

人の気配がまったく無いのです。

いつもなら朝食などで、バタバタしているはずなのに…

私は更衣室に向かいましたが、同じシフトの同僚すら居ません。

携帯で連絡をしてみると、電源が入っていないか電波が届かないというメッセージが流れます。

とりあえず、引き継ぎの為、ステーションへ行こうと思いました。

が、その途中、職員どころか患者さんまで見当たらないのです。

それまで、こんな異常事態に遭遇した試しがなかったので、怖くなりました。

とにかく、誰でもいいから探そうと思い立ちましたが、むやみに歩き回るのも恐ろしく感じて、内線電話の受話器を取りました。

しかし、あの「ツー」という発信前のダイヤル音さえ聞こえないんです。

軽くパニクっていた私は、もう一度、自分の携帯で片っ端から掛けようとして、携帯を取り落としてしまいました。

慌てて拾い、携帯の待ち受け画面を見ると、実家の番号が出ており、迷わずダイヤルしました。

いつも聞いている、あの発信音が聞こえた時には涙が出ました。

「ガチャ」という音と共に、私はまくしたてました。

「もしもしお母さん?私!」

「あんた今どこにいるの?△△さん(同僚)から連絡あったわよ、病院から。時間になっても来ないから、もしかして事故にでも遭ったんじゃないかって」

それを聞いて、私は力が抜けたというか、腰が抜け、その場に座り込みました。

そして、ぞっとするような物に気付きました。

それは、さっき携帯を落とした場所に、バッテリーが外れて落ちていたのです。

バッテリーも無いのに、母と会話をしたのです。

携帯を投げ出して、どこに向かうでもなく、私は逃げ出しました。

どこをどう走ったのか覚えてませんが、通用口近くまで来て、一歩も前に進めないほど疲れ果て、中腰の姿勢のまま息を整えようとしました。

あと、もう少しで外に出られるのに、どうしてそこで休もうとしたのか未だにわかりません。

私はふと、顔を上げました。

目の前には、壁に設置された姿見がありました。

しかし、よくよく見ると、鏡に映っていなければならない私の姿が無かったのです。

そこで意識を失いました。

目覚めた時、私はステーション内のソファの上にいました。

周りは、いつもの活気ある職場です。

私が最初に連絡し、自宅に電話をくれた同僚が言うには、通用口近くで私は倒れていたらしいのです。

不思議なのは、それを彼女に教えてくれた方がいたのですが、どうしても思い出せないと言います。

実際、彼女はその人を見たのに、どんな顔だったのか、どれくらいの身長だったのか、性別さえも「思い出せない」のです。

その同僚に、私も色々質問されましたが、私の身に起きた事を裏付ける、確たる証拠が挙げられませんでした。

投げ捨てた携帯電話や、更衣室のロッカーに入れた所持品が、何もかも無くなっているからです。

それに私の見た大きな鏡さえ、元々無かったのですから。