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いわくつき物件の内見

最近引越しをした私が、賃貸業者の担当者から聞いた話。

内見に向かう車の中は他愛無い世間話で盛り上がっていた。

担当者の新婚生活だとか、正直むかつく客の話とか。

話題も尽きてきた頃に、不動産といえば定番の質問をしてみた。

「いわくつき物件って、やっぱりあります?」

「ありますねぇ。この業界いる限り避けられないっすよ。」

担当者もオカルトやホラーが好きだったので話に乗ってきた。

その賃貸会社(大手)では、過去に自殺や他殺があったりなどいわゆる「いわくつき物件」は隠さず公表するという。

内緒にしておいて後々バレるほうが面倒だから、と言っていた。

以下が担当者の体験した、そして私が聞いた実話。

数年前のある日、自分の担当物件の内見が申し込まれた。

お客はスナックを経営しているという、50代の明るいオバチャン。

その物件は条件が良い割りに、相場よりはるかに家賃が安い。

つい最近自殺があったばかりの「いわくつき物件」だった。

オバチャンに過去に自殺があった部屋ということを伝えると、

「あー大丈夫大丈夫!私ね、霊感あるの。良い霊か悪い霊くらいは分かるからね、平気!」

と、頼もしい返事が返ってきた。

では早速行きましょうか、と車に乗り込んだ。

時間は22時半。

ほどなくして問題の物件に着いた。

大家から預かっている鍵を取り出し、オバチャンの顔色を伺いながら恐る恐る部屋のドアを開ける。

「あら、いいじゃなーい!」

どうやらオバチャンの霊感レーダーには引っ掛からなかったらしい。

ホッと胸を撫で下ろし、部屋の説明を始める担当者。

ベランダ、リビング、収納等、おおむね回って説明し終えた。

「んじゃ最後に水まわりで終わりですねー」

そう言ってトイレを開け、次にユニットバスのドアを開けた。

「え?」

ドアの内側から鍵がかかっていた。

この物件に入ったのは、自殺があってから自分達が初めてのはずだ。

仕方なく小銭とピンで小細工してドアを開けると、バスタブにお湯が張られているのを見てぎょっとした。

鍵は閉まっていたのに、誰が?いつ入った?それとも最初からいたのか…?

「出ましょう!早く!」

逃げるようにその家を後にして、店に戻った。

落ち着いてから、聞きたくはないが、何があったのか聞いてみる。

「何なのあそこ、大丈夫かと思ったらお風呂場にいるじゃない!亡くなったのアジア系の男性?ひどい死相だったよ、ほんと。気絶しても確実に死ねるようにバスタブにお湯張ってたのね」

後に聞くと、自殺したのは韓国人男性。

鍵がかかっていたあのユニットバスで首を吊って死んだらしい。

現在は、関西から上京してきた男性が一人で住んでいる。

【裏ワザ】

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