昔、宅地整理や道路拡張のために 墓地でさえ平気に掘り起こしていた時期があった。
俺の親父は左官だったが、バブルの時代はどんな仕事もやっていたらしく、墓を掘り起こして更地に変えていたそうだ。
ある日、いつものように墓石を撤去して地面を重機で均していたときだった。
掘り出した土から黒い紐のような物が出てきたらしい。
それは人間の髪の毛。
しかし、そんなことは日常茶飯事だった為に、その時は誰も驚きはしなかったそうだ。
ただ、その髪が付いているはずの頭が問題だった。
頭蓋骨ではなく、生首。
もちろん墓場だからといって、生首がそのまま残っているわけがない。
そのまま警察沙汰となったが、首以外の部分はそこでは発見できなかったそうだ。
身元は近所の寺の住職の娘で、墓を暴くことに反対していたらしい。
その事件は意外なところで終結を迎えた。
死んだ娘の彼氏の証言だ。
「あの日は喧嘩をしてしまい、ついエキサイトして彼女を墓の中に入れてしまった」
この事件は事故として処理されたそうだ。