怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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「 月別アーカイブ:2012年11月 」 一覧

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無人の世界

この話を友達にしたら、米国の有名人の体験談を思い出したと言われました。

賑わっているはずの空港に行くと、自分以外、誰も居なかったという話らしいのですが…

それで私の体験談ですが、2年前の出来事で、当時は看護師をしていました。

今は派遣事務の仕事に就いていますが、我ながら、よくあの殺人的なシフトをこなしていたなと感心します。

17、8時間の拘束は、当たり前の世界ですから。

その日は、二交代勤務の日勤でした。

朝7時半頃、いつもの通用口を通ったのですが、院内が不気味な程、閑散としていました。

人の気配がまったく無いのです。

いつもなら朝食などで、バタバタしているはずなのに…

私は更衣室に向かいましたが、同じシフトの同僚すら居ません。

携帯で連絡をしてみると、電源が入っていないか電波が届かないというメッセージが流れます。

とりあえず、引き継ぎの為、ステーションへ行こうと思いました。

が、その途中、職員どころか患者さんまで見当たらないのです。

それまで、こんな異常事態に遭遇した試しがなかったので、怖くなりました。

とにかく、誰でもいいから探そうと思い立ちましたが、むやみに歩き回るのも恐ろしく感じて、内線電話の受話器を取りました。

しかし、あの「ツー」という発信前のダイヤル音さえ聞こえないんです。

軽くパニクっていた私は、もう一度、自分の携帯で片っ端から掛けようとして、携帯を取り落としてしまいました。

慌てて拾い、携帯の待ち受け画面を見ると、実家の番号が出ており、迷わずダイヤルしました。

いつも聞いている、あの発信音が聞こえた時には涙が出ました。

「ガチャ」という音と共に、私はまくしたてました。

「もしもしお母さん?私!」

「あんた今どこにいるの?△△さん(同僚)から連絡あったわよ、病院から。時間になっても来ないから、もしかして事故にでも遭ったんじゃないかって」

それを聞いて、私は力が抜けたというか、腰が抜け、その場に座り込みました。

そして、ぞっとするような物に気付きました。

それは、さっき携帯を落とした場所に、バッテリーが外れて落ちていたのです。

バッテリーも無いのに、母と会話をしたのです。

携帯を投げ出して、どこに向かうでもなく、私は逃げ出しました。

どこをどう走ったのか覚えてませんが、通用口近くまで来て、一歩も前に進めないほど疲れ果て、中腰の姿勢のまま息を整えようとしました。

あと、もう少しで外に出られるのに、どうしてそこで休もうとしたのか未だにわかりません。

私はふと、顔を上げました。

目の前には、壁に設置された姿見がありました。

しかし、よくよく見ると、鏡に映っていなければならない私の姿が無かったのです。

そこで意識を失いました。

目覚めた時、私はステーション内のソファの上にいました。

周りは、いつもの活気ある職場です。

私が最初に連絡し、自宅に電話をくれた同僚が言うには、通用口近くで私は倒れていたらしいのです。

不思議なのは、それを彼女に教えてくれた方がいたのですが、どうしても思い出せないと言います。

実際、彼女はその人を見たのに、どんな顔だったのか、どれくらいの身長だったのか、性別さえも「思い出せない」のです。

その同僚に、私も色々質問されましたが、私の身に起きた事を裏付ける、確たる証拠が挙げられませんでした。

投げ捨てた携帯電話や、更衣室のロッカーに入れた所持品が、何もかも無くなっているからです。

それに私の見た大きな鏡さえ、元々無かったのですから。

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チャイムが鳴る

ある蒸し暑い夏の夕暮れ時、俺は2階で昼寝をしていた。

「ピンポ~ン、ピンポ~ン」

誰か来たようだ。

俺以外、家には誰もいないし、面倒くさいので無視して寝ていた。

「ピンポ~ン、ピンポ~ン」

「ピンポ~ン、ピンポ~ン」

それから、しばらく一定のリズムをつけつつ、鳴り続けるチャイム。

なんだよ、しつこいなあ。

一体誰が来たんだ?

2階の俺の部屋から、玄関をそっと見ると、白っぽい服を着た40歳位のおばさんが、麦藁帽子を被ったお揃いの白い服を着た女の子を連れて、チャイムを押しているようだ。

最近流行りの子連れ宗教勧誘か?

全く面倒くさいなあ、とりあえず出てやるかと思い、下に下りて玄関を開けると誰もいない。

なんだよ、もう行ったのか。

せっかく出てやったのに。

もう1回寝ようと、再び2階の自分の部屋で横になった。

すると、

「ピンポ~ン、ピンポ~ン」

また鳴った。

窓から見ると、またあの親子だ。

なんなんだ一体!

俺は半分キレぎみで下へ駆け下りた。

その間も、ず~と一定のリズムで鳴り続けるチャイム。

玄関のドアをバ―ンと開けて、怒鳴りつけようとして・・・・誰もいない。

ドアを開ける直前まで、確かに鳴っていたのに。

隠れる場所なんてどこにもないし、どんなに足が速くても、一本道の突き当たりにある家から見えなくなるはずがない。

しばらくポカ~ンとその場で立っていると・・・

「ピンポ~ン、ピンポ~ン」

目の前のインターホンには誰もいないのに、チャイムが鳴り響いた・・・

俺はダッシュで家に入り、鍵を閉め、部屋にカーテンをして、布団に入って震え続けた。

それからしばらくチャイムは鳴り続けた。

もう1回窓から玄関を見下ろす事は、どうしても出来なかった。

次の日の朝、親に叩き起こされた。

「あんたに手紙。女の人からみたいよ」

にやにやしている。

新聞を取りに行って、見つけたらしい。

白い封筒に名前は書いていない。

なんで、これで女だって分かるんだよ!

とりあえず開けて見ると、綺麗な文字で

「なにかがあなたの家へ入ろうとしています」

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後女

中1の夏でした。

私の祖母の一番上の兄、Tさんが亡くなりました。

といっても、私はTさんとは殆ど面識がなかったのですが、夏休みという事もあり、両親と共にお葬式に出掛ける事になり、私はその時初めてTさんの屋敷を訪れたのでした。

そこは某県の山奥、大自然に囲まれた、まさしく田舎といった場所で、屋敷と呼ぶにふさわしい、古いながらも、とても大きな家構えでした。

敷地内には鶏小屋があり、たくさんの鶏が飼育されていました。

Tさんの娘にあたるおばさんが、売りには出せない小さな卵を私や親戚の子供達にくれたので、大人達が集まるまでの時間、私は子供達と一緒に、その卵を使って、おままごとなどをして過ごしました。

そのうち、お葬式が始まり、私は足の痺れと眠気と闘いながら、あまり面識のないTさんの遺影を見つめていました。

そしてお葬式も滞りなく終わり、両親や親戚のおじさんおばさん達は、ビールや寿司を囲みながら、Tさんの思い出話や子供たちの話、世間話などで盛り上がり、私もおじさん達にビールを注いだりと愛想をふりまきながら、やがて田舎の涼しく心地よい風を感じる夕暮れ時となっていました。

ふと尿意を感じた私は席を立ち、ひとり便所へと向かいました。

かなりの田舎という事もあり、便所は少し変わった作りをしていました。

扉を開くと裸電球の下、まず男用の小便器があり、そこにまた扉があります。

それを開くといわゆる、ぼっとん便所が奥にあるのです。

ですが、電気は始めの個室の裸電球しかなく、私はふたつめの扉を開けたまま、薄暗いぼっとん便所で用を足す事になりました。

田舎の夏の夕暮れの独特な雰囲気と、慣れない木造の便所で少し気味が悪かったのですが、鼻歌を歌い、気を紛らわしながら用を足し、服を整えて振り返りました。

それはいました。

ひとつめの個室の裸電球の下、白い服を着て、真っ黒な長い髪を無造作に束ねた女のうしろ姿。

私は恐怖で体が痺れたようになり、厭な汗が体中から噴き出しているのを感じました。

どれぐらいの時間でしょう。

長いような短いような。

女の頭から目を離せずにいた私の耳に

「コォォーーーーー……」

という、かすれた音のような、声のようなものが聞こえてきました。

それと同時に、私は少しずつ視線を下へと落としていきました。

私の目に飛び込んできたものは、異様に爪の長い女の手の甲…そして足の…指…?

こっちを向いてる……!!

うしろ姿だとおもっていた女は、まぎれもなく正面を向いていました。

髪をすべて前へ下ろし、あごのあたりでひとつに束ねていたのです。

女の顔は全く見えない…見えないけれど見える…見えない…。

「ひぃぃ…ひぃぃ…」

私はガタガタ震えながら、泣いていました。

そして女はゆっくりと両手をあげ、髪を束ねている紐に手をかけようとしました…。

そのとき「ガタッ」と扉の開く音と同時に、父の姿が見えました。

グルッ

女が扉の方へ振り返り、そこで私は気を失いました。

目を覚ますと、私は布団に寝かされていました。

両親が、心配そうに私の顔を覗き込んでいました。

「変な女がおったんよ!!怖かった…怖かった…。」

また泣きそうになる私を見て、二人はうんうんと頷いていました。

父は、あの女の姿を見てはいないようでした。

少し落ち着きを取り戻した私に、おばさんが一冊の古びた冊子を持ってきました。

それは、亡くなったTさんの覚え書きのようなものでした。

そのうちの、黄ばんだ1ページに墨で描かれていた絵は、私が便所で見た女そのものでした。

「うちのお父さんな、こんなおそろしいもん、よう見とったみたいなんよ。」

「この覚え書きは、お父さんが死んでしもてから見つけたんやけど、なんやいつもえらい怯えとったんやわ。」

「それやのに、全然気付いてあげれんかった…。」

そう言っておばさんは涙ぐんでいました。

その覚え書きを見せてもらうと、Tさんはあの女のことを後女(うしろ女?)と呼んでいたようでした。

鶏の飼育についてや、森での狩りなどの覚え書きの合間合間に、後女について記してありました。

今となっては、あまり覚えていませんが、最後のページにはこう書いてあったと思います。

「後女の真の面、真の背、目にしたとき我は死すか」

私は後女が振り返ったあの時、女の後頭部を見たような気もするし、見なかったような気もします。

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適当に選んだだけ

家で普通に寝てたのよ。

んで、10時くらいに起きて、飯食おうと1階に行った。

そしたら薬缶に火が着いてて、お茶が沸かしてあった。

まず、ここで有り得ないんだ。

一人暮らしだから。

幸い、階段から火が着いてたのに気付いたから、パッと火消して速攻二階に逃げた。

聞き耳立てながら、ガクブルしてたら物音が。

こっそり見に行ったら、また火が着いてた。

もう訳が分からなくなって、警察に電話したのさ。

間もなく警察来て、不審者は捕まった。

顔も忘れかけたくらいの、高校の頃の担任だった。

普通に、飯食おうとしてたらしい。

何故、俺だったかと理由を聞いたら、卒業名簿見て適当に選んだらしい。

怖くない?

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子供に見えるモノ

父が自殺しました。

5歳の息子にどう伝えようか悩み、結局ストレートに、

「じいじがね、死んじゃったの」

と、言いました。

すると息子が、

「違うよ、死んだんじゃないの」

と、言います。

子供にしか見えないモノがあるとは聞いていたので、父の霊でも見えるのかと思い、

「え、違うの?じいじ死んでないの?」

と、尋ねると、

「うん、じいじはね、死に続けてるの」

ゾッとしました。

息子は何を見たのでしょうか。