「 月別アーカイブ:2013年09月 」 一覧
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コンビニコピー
先客が終わり、自分のをコピーしようとフタを開けたら忘れ物が。
忘れた先客はまだレジにいたので、忘れ物が見えるよう頭の上にかかげて、
「そこのレジから3番目の方ー、忘れ物ですよー」
と叫んだ。
レジにいた全員がギョッとした顔で、私の頭の上を見つめていた。
すっごい嫌な予感とともに自分が持っていた紙を確認したら、全面的にモザイクが必要そうな猟奇的エロ漫画の原稿が手の中にあった。
持ち主は照れ笑いしながら原稿を受け取ってくれた。
数日後、ご飯食べながらニュースみてたら、忘れ物の人が警官を刺して捕まっていた。
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朝の電話
私の会社に毎朝かかってくる電話がある。
朝8時半ぴったりに鳴る。
入社したてで電話番をしていたころは、毎朝律儀に出ていた。
しかし、出ても何も言わない。
しばらくして切れる。
1週間続いたので気味が悪くなったので先輩に聞いてみたら、前からかかってきているらしく、今では誰も取らなくなってしまった、と。
確かに会社の始業は9時だから、30分も前にかかってくる電話はとらなくても良いだろう。
ある日、仕事の関係でそのくらいの時間に電話がかかってくる予定があったので、8時半の電話に出てしまった。
その電話は仕事の電話ではなく、いつもの無言電話だった。
しかし、その日はちょっとだけ違った。
生活音が聞こえた。
テレビの音だった。
次の日、呼びかけてみることにした。
「もしもし、番号をお間違えではないですか?」
そう言ったら切れた。
次の日、またかかってきた。
しかしいつもと違うのは、いつもは放っておけばいつしか切れてしまうのだが、その日はいつまでたっても切れなかった。
仕方ないので電話に出たら、男性の声で
『こちらはどこの番号ですか?』
と言われた。
警察だった。
聞くと、首吊り自殺をした男性の遺書に、
『あいつに裏切られた。あいつを殺して俺も死ぬ。』
と書いてあったらしい。
警察としても”あいつ”を探しているんだ、と。
彼の部屋の電話帳に唯一載っていた番号がこの番号だったので、確認のためにかけた、とのこと。
しかし、会社の誰もが自殺をした彼のことを知らない。
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倉庫のバイト
数年前、私は某会社の倉庫兼配送センターでバイトしていました。
そこは1Fがトラックの搬入口。
2Fの半分は事務所で後は商品の梱包所。
3F~5Fは倉庫になっています。
私は2Fの事務所で事務の仕事に就いていました。
蒸し暑い夏のある日。
仕事が終わらず残業をしていた時の事です。
残っていたのは私とSさんだけでした。
ここではSさんと呼びますが、どうしても彼女の名前が思い出せません。
Sさんは当時35歳で、化粧もせず地味な感じの女性です。
「死んだ人の霊より生霊の方が怖いわよ」
と急に言い出す事もあり、優しい方でしたが、何か不思議な感じのする人でした。
8:00を過ぎても中々仕事が片付きません。
普段は騒々しい所だったので、妙に事務所内がシーンと感じます。
彼女も黙々と仕事をこなしています。
車の音、虫の鳴き声さえ聞こえません。
私は急に静けさが怖くなって、Sさんに話をしようと口を開いた瞬間、
ガラガラガラガラァァァ――――――――!
突然もの凄い音が響きわたりました。
驚いて立ち上がると、また同じ音が聞こえます。
どうも3Fで誰かが台車を勢い良く走らせている音の様です。
私は咄嗟に泥棒だと思いました。
「警察に電話して早く逃げましょう!」
私はそう叫びました。
女2人では泥棒に太刀打ち出来ません。
Sさんを見ると、目を閉じて何事かを小さな声でブツブツと呟いています。
「何してるんですか!ここを出ましょうよ!」
彼女は押し殺したような有無を言わさない強い口調で、
「静かに、黙りなさい。あれは、人間じゃない」
なにか言い返そうとしましたが、何故か声が出ません。
そして一瞬、静寂が訪れたかと思うと、今度は違う音が聞こえます。
ゴォンゴォンガタン
業務用の大きなエレベーターが動いています。
事務所からもそのエレベーターは見える位置にありました。
私が見たときには3Fに止まっており、▼のマークになりました。
全身が総毛立ち、逃げようとしても体が動きません。
何かがエレベーターに乗っている!ここに来る!
そしてガタァンと音がして2Fで止まり、ガ―ンと扉が開きました。
その瞬間、Sさんは一喝する様な声を出し、金縛りみたいになっていた私は体が動き、咄嗟に耳を塞いでうずくまりました。
彼女は何か必死で叫んでいますが聞き取れません。
物凄い恐怖でした。
私は『助けて!』と、心で叫びながら震えている事しか出来ませんでした。
そんな中突然、髪の毛をグイッと引っ張られ、
「クックックッグッゥゥ……」
泣き声とも笑い声ともつかない男の声を耳元で聞き、失神してしまいました。
気がつくと彼女に
「もう大丈夫だから帰ろう」
と起こされ、私達は逃げるように家に帰りました。
不思議なのは、家に帰った時間が12:00を過ぎていた事です。
気を失っていた時間は、5分ほどだったと彼女に聞いていたし、感覚的に9:00頃に起こった事だと思っていたからです。
3日後(会社を休んだ)彼女に会うと、右半身に真っ赤な湿疹がでていました。
「心配しないで~」
と笑っていましたが、あれは何故でしょうか。
その時の事は私には恐ろしすぎて、その話題を口にする事なく会社を辞めました。
Sさんは御主人の転勤で九州に行かれたそうです。
エレベーターに何が乗っていたのかSさんにしか解りません。
あまり霊感の無い私でも、得体の知れないモノの気配は感じました。
私は音と声だけしか聞いていませんが、あの声は今でも耳に残っています。