「 月別アーカイブ:2013年09月 」 一覧
-
-
漫画のアシスタント
4年ほど前、売れない漫画家をしていたときに、某マイナー系の雑誌でそこそこに人気のあった漫画家さんのところに、3日間という約束でアシスタントをしに行ったときの話です。
引っ越したばかりの、狭いながらも新築で綺麗で清潔そうなマンションで、その漫画家先生も修羅場の割には穏やかだし、先輩のアシスタントも気さくで良い人たちで、とても気持ち良く仕事が出来ました。
…2日目の夜までは。
2日目の夜。
皆で眠い目と脳を熱い日本茶で覚ましつつ、少し休憩していた時のことです。
誰かがその部屋に元からついているという有線をつけ、ちょっと懐かしめの歌が聞こえるチャンネルに合わせました。
皆疲れているので、無言でそれを聞いていました。
すると、音が大きくなったり、雑音混じりに小さくなったり…。
「かえって気になって仕事にならないね」
と漫画家先生が消しに立ち上がった瞬間、
「てすと」
と、滑舌の良いはっきりした子供の声がしたんです。
全員「?」と漫画家先生の方を見ましたが、先生は首を振るだけ。
「聞こえたよね?」
と誰かが言うと、
「混線したんじゃない?」
と誰かが答え、先生は有線を消して、皆で仕事に戻りました。
それから緊張の続く中、1時間ほど作業をしていると、今度は天井の方から
「てすと」
というさっきと同じ声がして、続けざまに、隣に座っていた先輩アシスタントの後ろの壁、私の足元に同じ声が…。
それでも手は離せない私達アシは、震える手を無理に押さえて、叫びたいのを我慢して仕事をしていました。
しばらく間があいて、またあの声が聞こえました。
それと同時に、先生が悲鳴をあげて飛び上がりました。
「肩に抱きついてる!」
先生は懸命に背中のモノを振り払おうとしましたが、それでもその最中に
「てすと」
という滑舌のいい子供の声が、本当に先生の方から何度も聞こえました。
生まれて初めてそういうモノを見た私は、恥ずかしながら気絶をしてしまったようで、その後の騒動は覚えていません。
目が覚めたら、他のアシスタント達はなにもなかったように、電話の応対をしていたり、朝食を作ったりしていましたが、先生は寝室から出てきませんでした。
ちなみに私のギャラは、ちゃんと日払いでいただきました(笑)
ただ、その先生は、その号の原稿を落としただけじゃなく、そのまま連載も休載から打ち切りになり、最近では見かけなくなりました。
『消えた漫画家』なんてサイトで時々見かける人ですが、どうか誰かは詮索しないでください。
これがここ数年の一番のしこりでした。
やっと人目に晒せて、いくらか浄化されたような気がします。
あの先生もアシスタントの皆も、無事に過ごしていますように。
-
-
猫ばあちゃん
子供の頃、近所に『猫ばあちゃん』って呼ばれている優しいお婆さんがいたんだ。
当時80才くらいかな?
なぜ猫ばあちゃんなのかと言うと長くなるが、まず、実はこのお婆さん全く言葉が喋れない。
ただ猫みたいにニャーニャーと奇声を発する。
いつもニコニコして俺たちと公園で遊んでくれた。
言葉が喋れない代わりに、まるで猫のように喉をゴロゴロ鳴らしていた。
んでヨボヨボのくせに、メチャクチャ木登りが早かった!(今考えるとありえないスピード)
…だが、やがてファミコンブームが来てあまり外で遊ばなくなってからは、猫ばあさんとも会わなくなった。
そして数年が経ち、ふと懐かしくなって猫ばあちゃん元気かな~?ってなにげなく親に聞いてみた。
しかし!親は不思議そうに、
「そんな人は知らない」
と言うのだ。
友人の親達も全員、やはりそんな人は知らないし存在しないと言う。
…じゃあ一体、俺たちと遊んでくれたあのばあちゃんは何なの!?
-
-
山の女
知人Tの祖父の話。
T祖父は若い頃、仲間と組んで山仕事をしていた。
新人の頃、山に泊まり込みで入った時、美しい女が薮の間から覗かれたことがあった。
近くに民家はなく不思議だったが、慣れない作業に没頭するうちに消えていたという。
夕飯時、小屋に戻って話すと、年長の職長が嫌な顔をし、皆に釘をさした。
「片手片足の女だろ?絶対に相手にすんな!」
薮から覗く顔しか見てないT祖父だが、職長の勢いに素直に頷いた。
翌日も女は覗いていた。
相手にする気はないが、女の美しい顔を気にしていると、ついに女は姿を現した。
女は腕も脚も一本で、ピョンピョン跳ねて彼の側まで来ると、彼の股間をまさぐり始めたという。
まだ若く女性経験もなかったT祖父は、驚いて突き飛ばしたが、女は器用に体勢を直し、ニヤニヤ笑って薮に消えた。
女が際だって美しい分、不気味だったそうだ。
その夜、Aという男が小屋に戻らず、皆で心配していたが、夜も更けた頃ひょっこり戻り、道に迷ったと頭を掻いた。
皆が笑う中、T祖父の隣の職長だけは深い溜息をついた。
翌日、職長とAが話をしていた。
ニヤニヤ笑うAの顔は、あの女を彷彿させた。
「互いにええ思いをしただけや」
その一言で、Aがあの女と寝たことはT祖父にも解ったという。
それからAやAと懇意なBが、遅く帰ってくるようになった。
「お前は行くな。手足をなくすぞ」
職長はT祖父に信じられないことを言ったが、どちらにせよ、あんな女を抱こうとは思えなかった。
仕事が終了した日、Aは山に残りたいと言った。
さすがにそれは許されなかったが、町に下りるなり踵を返して山に戻るAを、止められる者はいなかった。
その後のAを知る者はない。
次の仕事にはAもBも来なかった。
Aは行方知れず、Bは手足を失う大事故にあったのだという。
-
-
後ろに何かいるのか。。。
今年の夏祭りで変な体験した。
ベンチに座ってたら、いきなり見ず知らずの老人が私の前に来て、眉間に皺を寄せながら私をじっと見て、おもむろに手を合わせて、お経を唱え出したんだ。
後ろ振り返ったけど何もなかった。
そのちょっと前には、図書館のカウンターのおねえさんが私を見た途端に一瞬固まり、慌てて後ろを振り向いて、同僚のリアクションを確認するということもあった。
その同僚さんは目を見開いて、手を口に当てて私をじっと見てた…。
体臭とか顔がありえないほどやばいのかとも思ったけど、私のことを嫌ってる人からも「臭い」という悪口は聞いたこと無いし、夜の仕事の勧誘にはよく遭うから、ありえないほど不細工ってわけでもないだろうし。
何かものすごい悪霊に憑かれてるのか私。
-
-
泊まりがけの行事
自分が小学校4年~中学校2年になるまでに体験した不可解なこと。
自分の学校には、移動教室なる泊まりがけの行事があった。
泊まる所は毎年同じ所だった。
その施設に初めて行った小4の時からそれは始まった。
初日の就寝後のことだった。
ふと気がついたら、自分は電気のついてないトイレで、洗面台の鏡をずっとのぞき込んでいたのだ。
水はジャージャー流れてるし、知らない内に顔を洗っていたのかびしょびしょだし。
一体どの位そこにいたのかわからなくて、慌てて部屋に逃げ帰った。
翌日になって、寝ぼけていたんだろうと自分に言い聞かせてみた。
だけど、次の日も電気のついていないトイレで鏡を見ていた。
自分は怖くなって、泣きながら先生の所に行った。
以来、中2まで、その施設に行くたび同じ経験をした。
本当に謎だった。