怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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「 月別アーカイブ:2015年08月 」 一覧

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後ろの正面だーあれ

後ろの正面だーあれ

某大学病院に勤めている研修一年目の小児科医のSさんの体験談。

その日、症例報告の準備などで深夜まで居残っていた僕は、いつものように当直室に泊まろうと思いました。

病院の当直室には簡易ベッドが何台か設置されていて、当番以外の者が泊まる余裕はあるはずでした。
しかし、その日は当番医師のほかにも、重体の受け持ち患者を抱えている先輩医師たちが泊まり込んでいて、ベッドは満員という状態でした。
空いてる病室のベッドで眠ろうにも、その日はすべて入院患者で埋まっていました。

最終的に、僕は気が進まないながらも、小児病棟内の『ベビールーム』で眠る事にしたのです。
『ベビールーム』というのは小児病棟ならではの設備で、長期入院の子供達のための遊戯室です。
転んでも怪我をしないように床はジュウタン張りになっており、子供用の滑り台やさまざまなオモチャなどが備えつてあります。
子供のお昼寝用の毛布や布団もあるので、仮眠をとるにはうってつけの場所でした。
それなのに、なぜ、僕が最後までこの部屋で寝ることを避けようとしたのか。
それには、ある理由がありました。
以前、この部屋で仮眠をとった医師たちが、何かいやな目に遭い、それ以来、夜間にここで眠ろうとする者はいない、という噂が、この部屋にはあったのです。

具体的に何があったのか、この話を教えてくれた先輩は言葉を濁して教えてくれませんでしたが、
「とにかく、あの部屋には泊まるなよ」
と僕は先輩に聞かされていました。
けれども、その日、疲れ果てていた僕は、何が起こったとしても堅い冷たい床に寝るよりはマシだと思いました。

ベビールームのジュウタンの上に毛布をかぶって横になった僕は、すぐに眠りに落ちました。

どれくらいの時間が過ぎたでしょうか。
僕は微かな物音に、眠りを破られました。
まだ半分夢の中のような気持ちで、目を閉じたまま聞いていると、その物音は何かのメロディでした。
誰かが細い声で歌っています。
そっと目だけであたりをうかがうと、暗い部屋の中で、子供たちが歌をうたいながら手をつないで輪を作り、僕の周りをまわっていました。
まだ半分寝ぼけていた僕は、事態がうまく飲み込めず、ぼんやりと子供たちを見ていました。
幼稚園ぐらいから小学校ぐらいまでの子供たちのようでした。
みんな楽しそうに、僕のほうを見ながら歌をうたっています。
やがて、ひとりの子供が僕に声をかけてきました。

「お兄ちゃん、一緒に遊ぼう。お兄ちゃんが鬼だよ」

小児科医になったぐらいですから、僕はもともと子供が嫌いではありません。
いわれるままに、子供たちの輪の真ん中にしゃがんで、両手で目をふさぎました。
子供たちの歌が始まります。

・・・・・・かーごめかごめ、かーごのなーかのとりは、いついつでやる・・・・・・・。

しかし、子供たちの歌を聞いているうちに、眠気が覚めてだいぶ意識がはっきりしてきた僕は、ジワジワと、得体の知れない恐怖を感じはじめました。

真夜中過ぎのことで、入院している子供たちは、それぞれの病室で眠っているはずでした。
それなのになぜ、こんなにたくさんの子供が電気もついていない部屋で・・・・・・・?

子供たちの歌はつづいています。

・・・・・・夜明けの晩に、鶴と亀が滑った、後ろの正面だーあれ・・・・・・。

最後のフレーズとともに、子供たちの動く気配が止まりました。

「・・・・・・・当ててよ、お兄ちゃん。当ててよ。後ろの正面だーあれ・・・・・・」

背後から、妙に近くでささやきかけてるような、細い声が聞こえました。
同時に、小さな手がペタリと首筋に触れ、何か小さなものが僕の背中に寄りかかってきたのです。
その感触は嫌に冷たく、湿っていました。

「・・・・・・当ててよぉ・・・・・・、お兄ちゃん、当ててよぉ・・・・・・・・」

細い声は、さらに近く、耳元でささやくように聞こえてきます。
ますます僕は怖くなり、じっと身体を固くしてしゃがみこんでいました。
全身にじっとりと冷や汗をかき、声を出す事もできないありさまでした。
そのときです。

「誰かいるんですか?」

声と同時に、パッとあたりが明るくなったのがまぶたを閉じていてもわかりました。
その瞬間、金縛りのようになっていた身体が動き、僕は悲鳴をあげながら立ち上がりました。

「あら、先生、ここで寝てらしたんですか。ここの噂、知らなかったんですか?」

顔見知りの看護婦が、驚いた様子もなく、気の毒そうに僕にそういいました。

あとで聞いたところでは、その部屋で仮眠をとったことのある先生はかならず、あの子供たちの歌声を聞いたのだそうです。
あのとき、看護婦が巡回にまわってこず、後ろにいた子供を『当てて』いたら、いったい僕はどうなっていたでしょう・・・・・・?

それを思うと、いまだに背筋に寒気が走ります。

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何かが聞こえた

何かが聞こえた 

俺がまだ幼稚園の年中の頃の話だ。

ある夜に、俺を真ん中に親父と弟とで寝ていた。
ふと夜中に目が覚めた。小さい頃から俺は音に敏感だったから、何かが聞こえたんだと思う。
いつも豆電球をつけて寝ていたからまわりがよく見えたが、何もいなかった。
それでも何故か電球の辺りが気になって眠れない。

暫くすると、そこからラジオのような音が聞こえてきた。
最初は「?」と思ったが、上の階に中学生のお姉さんがいたので、
その人がラジオを聞いているんだと思って、また眠る事にした。
耳をすまさなければ聞こえない程のとても小さな音だったが、やはり音に敏感だった俺は眠れない。

すると今度は、ラジオに代わりピアノ演奏が聞こえてきた。先程よりも音が大きく聞こえた。
お姉さんの家にピアノがあるのも知っていたので、やはりお姉さんだと思った。
とうとう我慢出来なくなった俺は、隣の親父を起こして「ピアノの音がうるさいよ」と言ったが、
親父は耳をすましたあと、「気にしすぎだ、何も聞こえない」と、全く相手にしてくれなかった。

仕方なくまた寝ようとしたが、音は普通に聞こえるくらいの音量になってきていた。
堪らずもう一度親父を起こしたが、親父は全く取り合ってくれなかった。
弟を見ると、弟も全く聞こえてないらしく、ぐっすりと眠っていた。

何でみんな気にならないんだろうと、少し違和感を覚えた頃、ようやく音がやんだ。
安心して目をつぶると、今度は洋楽っぽい音楽が流れてくる。
「……明日は…♪」
男の声で何かを歌っていたが、音が小さくてよく聞こえない。
もう気にするのをやめようと横になっていると、
段々と音が大きくなり、何と歌っているのかが分かってしまった。
「…お前は明日死ね~♪お前は明日必ず…」
ここで初めて俺に歌っているのだと理解した俺は、怖くなって耳を塞いだが、
歌はどんどんハッキリと聞こえてきて、耳を塞ぎながら震えていた。

いつの間にか泣いていたらしく、父が俺の異変に気付いた。
その頃にはもう夜明けだった記憶がある。
親父は訳の分からない事をいう俺を連れて母の部屋に行った。
どうやら俺は熱があったらしい。
俺の記憶はそこまでだが、その後熱がどんどんあがり、
その日の夜には泡を吹いて意識を失って、救急車で運ばれたそうだ。

その歌は、童謡というか、エンヤが唄ってそうな、すごい綺麗な感じの歌で
男の人が2、3人でハモってたような…。
だから最初は、子守り歌みたいで眠ろうとした。

親は、俺が倒れるまでずっと「今日死ぬんだ」と言うのが不気味だった、と言ってた。
幼すぎて、その歌を純粋に信じてしまったのも悪かったのかも知れない。
最近その話の真相を親に言ったら、また違う話になったんだけど。

つい最近その時の話になって、俺はようやく当時の真相を語れた。
すると両親がかなり驚いて、顔が真っ青になっていた。
両親曰く、病院についてから医者が痙攣を抑える為(だけではないのだろうが)に薬を大量に投与したらしく、
両親はとても不審感を抱いたらしい。
もちろん、しばらく入院という事になってたんだけど、
親父が「息子を殺す気か!」と怒鳴り無理矢理家に連れて帰ったらしい。

「普段おとなしい親父が珍しいな」と母に話すと
「だってあんた、救急車待ってる時に、半目で『今日帰してね、明日なら間に合わないから』って言ったのよ。」と答えた。

母も意味は分からなかったけど、後でその事を言ってるんだって「直感した」らしい。
もちろん、俺は言葉どころか、その後半年程の出来事を覚えていない。
ただ、両親はやはり印象に残っているらしく、とても詳しく説明してくれた。

俺は次の日には目を覚ましたけど、薬のせいで一週間ほどボーッとしたまま、
だらしなく口を開けていて、首がずっと傾いていたらしい。
「あの時、首が曲がっているお前を見てゾッとした。
 医者はお前にまた薬を投与しようとしていたから、
 このままだと助かっても、植物人間になってしまうと思った。
 連れだして良かった」そうな。
大袈裟だったのかもしれないけど、俺は両親のお陰で助かったんだと思う。

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メリーさん

メリーさん 

あるマンションの13階に住む若い女性が部屋の整理をしていた。
押入れの奥を片付けていた彼女は、そこで古い人形を見つける。
それは彼女がまだ幼かったときに祖母から買ってもらった人形。
「メリーさん」と呼んで大事にしていた人形だ。

しかし、長い間その存在を忘れられていたメリーさんは埃にまみれ、見る影もないほどに薄汚れてしまっている。
この人形をどうしようか・・・しばらく悩んだ彼女は、結局この汚い人形を他のゴミと一緒に捨てることにした。

その翌日のこと。
彼女の家に電話がかかってきた。
相手の声に聞き覚えはないが、声からするとどうやら小さな女の子からのようだ。
「もしもし、私よ。メリーよ。何で私を捨てたの?必ずこの恨みを晴らすために、あなたのもとに帰るから!」
それだけを一方的に告げると電話は切れた。
彼女はゾッとしたが、誰かのいたずらだろうと考えて余り気にしないことにした。

ところが、そのわずか5分後。
またもや彼女の部屋に電話のベルが鳴り響く。
今度の電話もやはりあの“人形”を名乗る少女からであった。

「もしもし、今あなたのマンションの前まで来たわ。もうすぐ会えるわね」
それから5分たつと、また電話がかかってきた。
「もしもし、今あなたのマンションの2階よ。もうすぐ会えるわね」
それからも規則正しく5分おきに電話はかかってくる。
「もしもし、今あなたのマンションの3階よ」
「もしもし、今あなたのマンションの4階よ」

もう彼女は怖くて電話に出ることができなかったのだが。
“人形”はそれでもお構いなしに電話をかけ、留守番電話に一方的にメッセージを残していった。

「もしもし、今あなたのマンションの10階よ」
「もしもし、今あなたのマンションの11階よ」
「もしもし、今あなたのマンションの12階よ」
ついに人形は彼女が住む部屋の、すぐ下の階にまで迫ってきた。
彼女は逃げ出そうかと思った。
だが、もう遅すぎる。

再び電話のベルが鳴り、留守番電話にこんなメッセージが吹きこまれたのだ。
「もしもし、今あなたの家の前よ。居留守を使ったってダメよ。そこにいるのは、ちゃーんとわかっているんだから」
彼女は心臓が止まりそうなほど驚き、何もすることができずにただその場にうずくまり震えていた。
それから、また5分が過ぎる・・・
再び電話が鳴り、あの人形の忌まわしい声が彼女にこう告げた。

「どうして開けてくれなかったの?でも、もういいわ。わかる?わたしは今、あなたの後ろにいるのよ・・・」

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死んだ幼児を抱いて歩く女

死んだ幼児を抱いて歩く女 

<あれ、あの女の人、いったい誰?>

社宅の前の公園で、おなじ社宅に住む主婦仲間と話に夢中になっていた私は、少し離れた場所でしゃがんで土をいじっている三歳のひとり娘・まなみのほうに目をやった時に、心の中でそうつぶやきました。

見知らぬ女性が、まなみを見下ろすように横に立っているのです。
女性は後ろ姿でしたが、なんとなく初めて見る人だと思いました。
また、まなみもその女性のほうに目を向けたまま身動きひとつしないことに気づき、おかしいなと不安をつのらせました。

「ねえ・・・・・あの人、誰かしら?」

私は主婦仲間の友達にそう尋ねてみましたが、誰一人として、その女性のことは知らないようでした。

「ごめん、ちょっと、まなみをつれてくるわ」

私は心配になり、娘を連れにいきました。
まなみのほうに近づくにつれ、ますます不安感は増していきます。
女性を見ているまなみの顔が真っ青に青ざめています。
そして、母親の私が近づいていくにもかかわらず、娘は視線を動かそうとしません。
私は足早にまなみのところに駆け寄り、抱き上げました。
その身体は、まるでプールから出てきたばかりのように冷えきっており、ガタガタと小刻みに震えていました。

「どうしたの、まなみ・・・・・・大丈夫?」
と、まなみの背中をさすりながら、その女性のほうに振り返った時でした。
私は、自分の見ているものがすぐには把握できませんでした。
あまりにも現実と隔たりがあり、それがいったい何を意味するのかわからなかったのです。

その女性は、腕に幼児を抱えていました。
それも死んだ幼児です。
全身が血まみれで、手や足は枯れ枝のように細く、血でべったりと濡れた頭とともに女性の腕から力なくだらりと垂れ下がっていました。
半開きの目には白目しかなく、口からあふれだした血がポタリポタリと地面に落ちています。
私は、この穏やかな晴れた日の午後に、こののんびりした公園に、なぜこんな光景が存在するのか、この女性がどこから現れたのか、混乱と恐怖が入り交じって、どうしていいのかわからなくなりました。
そして、しだいに恐怖心に大きく全身を包み込まれ、ブルブルと身体が震えだしました。
私は、とにかくその場を離れようと、主婦達のいるほうへ逃げるように駆けていきました。

「どうしたの、そんな真っ青な顔して」

と、私の表情を見た主婦達が心配そうに聞いてきました。

「あの女の人・・・・・・あの女の人、へんなの・・・・・抱えてる子供がね・・・・・・」

そういいながら、女性を指さそうと私は振り返りましたが、その女性の姿はどこにもありません。

「あれ?ねえ、さっきまであそこに立ってた女の人・・・・・どこ行っちゃったの?・・・・」

主婦達は、その女がどこに行ったかなど気が付かなかったといいます。
私は、その女性が抱いていた子供のこと詳しく主婦達に話しましたが、みんな、ただ笑うだけで信じてくれる人は誰もいませんでした。
「玲子さん、ちょっと疲れてるんじゃない?」
と、苦笑いされるだけです。
私は娘のまなみに何もなかったことにホッとしましたが、しばらくあいだ、その女性の腕に抱えられた子供の姿が忘れられませんでした。

ところが、それから数日後、私は再び、その女性と出会う事になったのです。
ある日の夕方、娘を部屋に置いたまま近くのクリーニング店まで夫のワイシャツを取りに行き、帰ってきたときのことです。
クリーニング店から十分ほどで戻ってきた私は、まなみが居間にいないのに気づきました。
娘の名前を呼んでみましたが、返事は返ってきません。

「まなみ?・・・・ねえ、どこにいるの? 隠れてないで出てきて」

急に心配になった私は、奥の寝室まで探しに行きました。
そして、寝室のドアを開けたとき・・・・・。
私は冷や水を浴びたかのような恐怖とショックを受けて、その場に立ち尽くしました。

きちんと鍵をかけて外出したはずだったのに、いつのまにか例のあの女性が入り込み、まなみと一緒にそこに立っていたのです。
この前と同じように左手には死んだ幼児を抱えており、そして右手ではまなみの手を握って、窓の外に連れ出そうとしています。
女は私のほうに振りかえりましたが、顔はまったくの無表情でした。
私は、まなみをなんとか奪い返さなければと、ガタガタと震える身体を無我夢中で動かして、その女に体当たりしていきました。
女は思わずまなみの手を放し、壁にもたれかかりました。
私は、放心状態のまなみを素早く抱えあげると、台所のほうに逃げるように出て行きました。

台所からその女性のほうを見ると、無表情なまま、壁の中にスーッと消えていったのです。

私は、その後すぐにその社宅を出て、賃貸マンションに引っ越しましたが、その後、その女性が社宅周辺に現れているのかどうかは知りません。

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お母さんのお守り

お母さんのお守り 

貧しい母子家庭ながらも仲が良く、助け合って生活していた母娘。
母親は娘を育て、大学を卒業するまで一所懸命に働き、娘は家事の手伝いをしながら勉強を。
そして大学受験の時、母親は手作りのお守りを娘にプレゼントしました。

母「頑張ってね。これはお母さんからのお守り」
娘「ありがとう。大事に持っていくね」
母「気をつけて。お守りって中身を空けると効果がなくなるから空けちゃだめよ」

娘は母親を心から感謝しました。そして大学にも合格し、その後も勉強を怠ける事なく大学生活を終え、就職。
やっと社会人になり、初任給で母親へ旅行をプレゼントしました。
ところが何と、その旅行途中で大切な母親は、不慮の事故で突然この世を去ってしまいました。

いきなり一人ぽっちになってしまい、悲しみに暮れた娘には母の形見すらない。
その時、受験の時にもらったお守りを思い出し、娘は母親の「空けるな」という言いつけも忘れ、急いでお守りを開けてみた。
中には紙切れが。そしてその内容は…

「お前がいなければもっと楽な生活が送れるのに。大学なんて…
お前なんか死んでしまえばいいのに。シネシネシネシネシネ」