怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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「 月別アーカイブ:2015年09月 」 一覧

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頭の長い赤ん坊

頭の長い赤ん坊 

私が、高校二年生の夏休みのことですから、もう、かなり前になります。

そのころ、私と母親とは、交代で知り合いに家にベビーシッターに行っていました。
堂本さんというお宅でした。
母ひとり娘ひとりという家庭で、母親は駅近くのスナックに勤めていて、毎日零時を過ぎるまで店に出ていなければならず、当然、ベビーシッターも夜遅くまでかかりました。

娘さんは小学生で、ほんとうに屈託のない明るい子でした。
私の自宅とベビーシッター先のマンションとは、自転車で五分ぐらいの距離だったでしょうか、さほど、遠いというわけではありませんでした。
けれど、深夜、誰も通らなくなった、真っ暗な道を帰ってゆくのは、想像する以上に怖さがつのるものです。
母は、私の順番の日には、必ず迎えに来てくれました。
ですが、いつもいつもというわけにはいきません。
風邪を引いたりなどして体調が悪いときなどは、やはり、ひとりで家路につかなければなりますせんでした。
その日も、そうだったのです。

前日から、母は、なんとなく吐き気がするといって床についてました。
でも、ベビーシッターを断るわけにもいきません。
母は私に、「あちらのお宅に泊まって朝になってから帰ってきなさい」と言いました。
けれど、私はどうしても帰りたかったのです。

いまから思えば、これもまったく不思議なのですが、その日はどうしても家に帰りたくてたまりませんでした。
結局、ベビーシッターが終わった後、心配そうに見送ってくれた堂本さんに手をふりながら、夜道を急ぎました。

自宅とそのマンションのあいだには、ずーっと畑がつづいていて、畑中の道を自転車で帰るしかありません。
灯など、ほとんどないに等しいような道です。
かなたの畑の端あたりに傾いた電灯は灯っていたのですが、それがまたいっそううらさびしさをつのらせるようで、なんとなく好きではありませんでした。
どこかで、蛙が鳴いていました。
ほのかな月明かりの中、たったひとりで蛙の鳴き声を聞くというのは、なんとなくいやなものです。
気味が悪くてなりません。
とくに鳴き声が徐々に大きくなってくると、なにやら、目に見えないものが徐々に近づいてくるような気がして、たまらなくなります。

「なんだかいやだなぁ・・・」

独り言を呟きながら、いつも曲がる三叉炉の手前に来たときでした。

「え・・・」

どういうわけなのでしょう。
ハンドルをとられて、家とは別の方向の道に入ってしまったんです。
意識するとかしないとか、そんな感じではありませんでした。
そう、ほんとうにハンドルをとられるというか、誰かに無理矢理引っ張られたような、そんな感覚だったんです。
ただ、奇妙な事に、私自身、変だなとは思ったものの、あわてて自転車をとめようとか、ひきかえそうとか、そういう意思は働かなかったのです。

今から思えば、この時すでに、私は『何か』に魅入られていたのかもしれません。
しばらくペダルをこぐともなく走っていると、道のかたわらにひとりの女の人が立っていました。

その人の前を通り過ぎようとした瞬間です。
急にペダルを漕いでいる足が動かなくなってしまったんです。
決して見るつもりなんか、ありませんでした。
こちらは一刻とも早く家までかえりたいのです。
わけもわからないままに家から遠ざかりかけているとき、いくら時間が不自然だからって、すれちがうだけの人の顔など、覗き込むつもりなんかありませんでした。
なのに。
私の意志とはうらはらに、目だけが、女の人のほうに吸い寄せられていってしまうです。
その時になって、ようやく気づいたのですが、彼女は赤ん坊をおぶっていて、マントのようなものを羽織っていました。
なんといって説明したらいいんでしょう。
コートでもなく、ケープでもなく、これまでに見たこともないような足元まで隠してしまうようなものを羽織っていたんです。
<夏なのに・・・・・>

そう思ったときです。
いきなり、女の人が、

「赤ちゃんが、ふふふって笑ってるの」

そう言ったのです。

私に向っていったのか、それとも独り言なのか、わかりません。
だって、女の人の顔は、隠れていてまったく見えなかったからです。
ただ、彼女の低くおしころしたような声だけが、私の鼓膜にとどいてきました。

<赤ちゃんがわらってる?・・・>

反射的に目をやってしまいました。
その時、私は見たのです。

おぶさっていた赤ちゃんの頭が異様にとんがっているのを・・・・・。
どういったらいいのかわかりませんが、ちょうど、イカのような形でとがっているのです。
そして、私のほうを見て、彼女のいうとおり、笑っていました。
いいえ、笑うなどという穏やかなものではありませんでした。
ゆがめていたのです。

それも、赤ちゃんなどではなく、見るからに年老いたシワだらけの・・・・いいえ、顔のすべてがシワに埋もれてしまっているような女性の・・・・老婆の顔でした。
それが、いびつな笑いを浮かべているのです。

「きゃあっ・・・」

そう、叫んだ事は覚えています。

でも、それからあと、どうやって自宅まで帰ったのかまったくわかりません。
ほんとうに覚えていないのです。
気が付いた時には私は自宅の居間にいて、母に背をさすられながら、コップの水をごくごくと飲んでいたのです。
ただ、たしかなことがひとつだけあります。
家に帰ったとき、着ていた半袖の制服は、そこらじゅうが破れていて血だらけになっていまし。
いったい、私はどんなふうにして家まで帰ってきたのでしょう。

それからあとも一生懸命に思い出そうとしたのですが、どうにも思い出せずにいます。

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慎ちゃんの前

慎ちゃんの前  

おとといの晩のことです。
深夜、3歳になったばかりの娘がうなされている声で目がさめました。
「うぅ~ん…いやだぁ~!……うぅん…」
首をイヤイヤするように左右に振り、苦しそうに顔をゆがませています。

ここ最近でも寝苦しい夜も続いていましたが、今夜はやけに苦しそうです。
妻も気づいたらしく目を覚ましました。
「麻衣、なんか悪い夢でも見てるんじゃないの?」
「ああ、そうかもな。どれ起こすか…麻衣ちゃん。麻衣ちゃん起きなさい。」

しばらくゆすっていると、娘がパチッと目をあけました。
そして、見る見る目から涙を溢れさせ「うわぁ~ん!」と泣き出しました。
抱き上げ、背中をさすりながら「どしたの?怖い夢でも見たか?」と聞きますが、なかなか泣き止みません。

すぐ隣には麻衣の下の1歳になる弟の慎二も眠っている。
『こいつが起きてしまっては大変。』とちと焦りながら
「大丈夫。大丈夫。」ととんとんと背中を叩きながら数分、ようやく落ち着いてきた娘が少し話し始めました。

「あのね。なんか白いお姉ちゃんがいたの。」
「何処にいたの?」
「うーんとね。ベランダ。」
「それで?」
「慎ちゃんの前がって言ってた。」
「?…慎ちゃんの前がなんだって?」
「慎ちゃんの前って言ってたの!すごい怖かったの!」

慎ちゃんというのは麻衣の弟の事であろう。
それと家はマンションの3階に住んでいるのでもちろんベランダもある。
にしても、このぐらいの年の子の言葉は理解が難しい。

多少寝ぼけているとはいえその後、いろいろ聞いてみたが要領は得なかった。要約すると
『家のベランダから白い(格好をした)女の人が、娘の麻衣に向かって「慎ちゃんの前が…」と言っていた。それがとても怖い声だった。』
と言うことらしい。とにかくそんな人はベランダに居ないし夢を見たんだろうから安心してお休み、と娘を寝かしつけました。

昨晩。やはり同じでした。
うなされ泣き喚く娘。
起こすと同じ話の繰り返し。

「慎ちゃんの前。慎ちゃんの前なんだよう!」と言う娘。
今日は部屋の中、娘の枕もとでその白い女性が話し掛けていたようです。
その後何とか娘を落ち着かせ寝かしつけましたが、2日続くと何かやはり気持ちが悪いものです。
すっかり目がさえてしまい、夜中キッチンで妻と話しあいました。

「まあ、何かの前触れってことではないけど慎二のことは注意して見ててくれよな。」
「うん、分かったわ。」
「しかし、慎二の前がなんだってんだろうな?」
「慎二の前ねえ…あっ!!!!!」
「ん?どうした?」
「あなた、もしかして…その白い女の人が言ってたことって…」
「なんだ?」

「『しんじまえ』じゃないの………?」
「………………」

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おばちゃんのお家はどこ?

おばちゃんのお家はどこ?

二十代の主婦である私は、一年前まで、東京都下のある公団住宅に住んでいました。

ある夕方、私は近くの棟に住む三田さんという顔見知りの主婦と一緒に、敷地内の児童公園の中を歩いていました。
すると夕暮れの園内に、ひとりぽつんとブランコに乗っている小学生ぐらいの女の子がいたのです。

このあたりの子供なら、たいていは見知っているのですが、初めて見かける顔で、おかっぱ頭でクリクリとした瞳の、可愛らしい子でした。
私たちがその横を通りすぎようとすると、女の子は私たちに声をかけてきました。

「おばちゃんたちのおうちはどこ?」

三田さんの家はちょうどその公園から見える場所にあったので、「あそこよ」と、窓を指さして教えたのです。
すると女の子は「ありがとう」と、礼儀正しくお礼を言って頭を下げると、走って公園を出て行ってしまいました。

何が「ありがとう」なのかわからなかったのですが、子供のいうことだから、と思い、私たちはとくに気にもせず、それぞれの家へ戻りました。

その翌日、ゴミ出しにいった私は、ゴミの集積場に集まっていた人たちから、三田さんが昨夜、階段から落ちて大怪我をしたのだという話を聞きました。

『気の毒に。お見舞いに行かなければ』と思いましたが、私はそのときにはそれ以上、何も考えなかったのです。
私が『おかしい』と思い始めたのは、その次にあの女の子の姿を見かけてからでした。
三田さんの怪我から数日後のことです。
やはり夕方に敷地内を歩いていた私は、どこかから『おばちゃんのおうちはどこ?』という子供の声がきこえてきたのにギクリとして立ち止まりました。
振り向くと、私の隣の部屋に住む主婦が、おかっぱの女の子と立ち話をしています。
それは、あの日ブランコに乗っていた女の子でした。
私は妙な胸騒ぎを感じました。
なぜ、あんなあどけない子供の言動に、こんなに不安を感じているのか自分でもよくわかりませんでしたが、私はそそくさとその場を立ち去りました。

その夜、私は自分のカンが正しかったことを知りました。
隣家の主婦が料理中に熱い天ぷら油を自分の足にこぼして、救急車を呼ぶ大騒ぎになったのです。
あの少女と不幸な事故のあいだに何かの関係があるのでは、と思う一方、そんなことはありえない、とも思いました。
それでも私はやはり、夕暮れには、できるだけ家から出ないようにすることにしたのです。

そんなある日の夕方、緊急の回覧板が、まわってきました。
数日後に控えた住民集会についてのお知らせで、なるべく早くまわすようにという指示でした。
私は、建物内の廊下を通って上の階に行くぐらいなら、まさかあの女の子に会うこともあるまい、と思い、思い切ってドアから外に出ました。
途中、誰に会うこともなく上の階の部屋へ回覧板をまわした私は、すぐに自分の部屋へ戻ろうとしました。
階段を下り、角を曲がればもう自宅の部屋のドアです。
私はホッとしながら角を曲がり、そこで危うく悲鳴をあげそうになりました。
そこには、あのおかっぱの女の子が、ニコニコと笑顔を浮かべて立っていたのです。

私は血の気が引くような思いで、その場に立ちすくんでしまいました。
女の子は『おばちゃんのおうちはどこ?』と、あどけない様子で尋ねてきます。
私は何も答えずに、問いかけを無視して小走りに女の子の脇をすり抜け、あわてて自分の部屋に駆け込みました。
ドアを閉ざした直後に、小さくドアをノックする音とともに『おばちゃんのおうちはどこ?』という声が聞こえました。
私は鍵をかけ、チェーンまでしっかりとかけて、決してドアを開けませんでした。

少しすると、女の子はあきらめたようで、ドアの覗き穴から見ると外には誰もいなくなっていました。
そんな日にかぎって、主人は帰りが遅いのです。
私は一人でいるのが怖くて、主人の帰りを今か今かと待ちかねていました。
結局、その日、主人が帰宅したのは十二時近くでした。

玄関まで走って出迎えた私に、ほろ酔いかげんの主人は、『今、下で、小さな女の子に話しかけられたよ。こんな時間にどこの子かな』と言うのです。
ゾッとした私は、あわてて問いただしました。

「何て話しかけられたの!?」

「『おじちゃんのうちはどこ?』って聞くんだよ。俺は、ちょっとからかうつもりで、『おじちゃんのうちは、そこの電話ボックスだよ。お嬢ちゃんはどこに住んでるんだ? もう帰らないと危ないよ』って答えたら、『ありがとう』って頭を下げて、走って行っちゃったんだ。おかしな子だな」

私は主人に、あの女の子と不幸な事故のことを話しました。
主人は笑って取り合おうとはしませんでした。
けれども、翌日、団地内の電話ボックスが不審火で黒焦げになったのです。
それは主人が女の子に示した電話ボックスでした。

私はそれ以来、どうしてもその団地にいることに我慢ができず、無理をいって引っ越すことに決めました。

主人はいまだに私のいうことを本当には信じていないようですが、私は、あの女の子が不幸を運んでいたのだと確信しています。

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テニス合宿の夜

テニス合宿の夜 

僕は都内にある私立大学の三年で、テニス部に入っています。
今から話すのは、去年の夏、部の合宿で軽井沢に行った時の話です。

僕たちはテニスコートが近くにある民宿に泊まっていました。
全員で二十人ぐらいの部員がいたので、その小さな民宿は僕たちの貸切状態でした。
それは十日ばかりの合宿も、なかばにさしかかったころのことでした。

たまには息抜きをしようと、練習の終わった夕方から有志を募って麻雀大会をすることになったのです。
場所は二年の男子が使っていた二階の二部屋を、間仕切りのふすまを開け放ってつなげ、そこに十人ばかりの部員たちが集まりました。
みんな熱中して、夜遅くまで白熱した勝負が続けられました。
午前一時を少し回ったころ、ほかの連中ほどには麻雀が好きではなかった僕は、すっかり眠くなってしまい、先に床につくことにしました。
けれど僕の部屋は、他の連中に占領されています。
仕方なく、僕はジャラジャラとうるさい麻雀卓からなるべく離れた部屋の一角にひとり分の布団を敷いて眠ることにしました。
みんなのほうに背を向けて横になっていても、みんなの話し声やパイをかき混ぜる音が響いてます。
それでも僕は、いつの間にか、うつらうつらと眠りかけていました。

ほとんど眠りに入りかけたころ、ふと、誰かが布団をめくって、横になって寝ていた僕の背中の後ろに滑り込んできたのです。

始めは、誰かが妙ないたずらっ気を起こして入り込んできたのだと思いました。
眠かった僕は相手をせず、目を開けずにいました。
しかし、入り込んできた奴は、べったりと暑苦しく、僕の背中に張り付くように身を寄せてきます。
その感触は妙に熱く湿っていて気持ちのいいものではありませんでした。
眠くて仕方なかった僕はだんだん腹が立ってきました。

「おい、いい加減にしろよ、暑苦しい」

そういいながら寝返りをうち、僕は背中に張り付いてる奴のほうへ向き直って、目を開けました。
次の瞬間、僕は思わず息を飲みました。

そこには真っ赤に充血した目があり、ぎょろりと僕をにらみつけていたのです。
異様なのは目だけではありませんでした。
その相手の顔は一面に焼けただれたように、赤黒く水ぶくれのできた表皮で覆われていたのです。
マツゲも眉毛もなく、どんな顔つきをしているのかさえわからないほどに、その顔面は崩れ果てていました。
僕は驚いて叫びそうになりましたが、金縛りにかかったように声が出ません。
身体もまるっきり動かず、目をつぶることさえできなかったのです。
相手は僕に顔を寄せ、そのただれた顔を僕の頬に押し付けています。
僕は、顔にぺちゃりと湿った感覚を覚えました。
どれくらいのあいだ、その焼けただれた顔と向き合っていたでしょうか。

僕にはひどく長い時間のように感じられましたが、今になってみれば短いあいだだったのかもしれません。
そのあいだも、何事もないように麻雀を楽しむ仲間たちのたてる物音が僕の耳には聞こえていました。

<誰か、助けてくれ!僕がこんな目にあってることに、どうして同じ部屋にいて気づかないだ・・・・?>

僕は必死でそう思いました。

やがて、僕の願いが通じたのでしょうか。
卓を囲んでいたうちのひとりが、僕のほうへ声をかけてきたのです。
「おい、俺も眠くなったから、そろそろ起きて代わってくれよ」
その瞬間、金縛りがとけ、僕はすごい勢いで飛び起きました。
あまりの勢いに他の連中も驚いて、いっせいに僕のほうを注目しました。

僕はみんなのいるほうへ走り寄り、動揺のあまり言葉につまりながら、今あった出来事を説明しようとしました。
しかし、いくら話しても、みんなニヤニヤ笑いを浮かべるばかりで、僕のいう事を信じていない様子でした。

そのうち、仲間の一人が疑わしそうな表情をしながらも、僕の布団のほうへ歩み寄り、何か調べるように掛け布団をめくりました。
そして、次の瞬間、彼は真っ青で振り向いたのです。

「おい、みんな、これ見ろよ」

彼の指し示していた、僕の寝ていたシーツでした。
そこには血膿のような赤黄色いシミが、べったりとついていたのです。
翌朝、民宿の主人に昨日の出来事を話してみましたが、
『そんなこと、いままでうちではおこったことがない』
の一点張りで何もわかりませんでした。

数日後、僕らは民宿の日程を終えて宿を去りました。
後になって合宿中の写真を整理していたときに気づいたのでが、民宿の庭で撮った写真の隅に、黒くススのこびりついた石組みのようなものが写っていて、それがあの出来事に関係あるようにも思うのですが、今となっては、わざわざ確かめる気はありません。

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トコヨワタリ

トコヨワタリ 

家の近所に青柳タンスと言う廃屋があった。

別にタンス屋だった訳じゃなく、ただの民家だったんだろうが、壁面にそういう看板が掛けてあった。

そこには電話番号も書いてあって、その番号に掛けると霊界につながるという噂があって、ある日、番号をメモして電話を掛けてみた。

電話を掛けてみると呼び出し音が鳴るが、いくら待っても誰も出てこない。

友達数人と面白がって何度か掛けていたが、ある日一人が「多分、実際に青柳タンスに掛かっていると思う。みんなで青柳タンスに行って、その時一人が電話を掛けてみよう」という話になった。

そこで、俺一人が家に残って電話を掛けることになった。

みんなが青柳タンスに着くぐらいの頃に電話してみると、いつもどおりの呼び出し音が鳴ったあと、がちゃ、っと音がして電話が通じた。

友達が電話を取ったと思って「そっちの様子はどう?」と聞いてみたが返事がない。

変わりに低い男の人とおばあさんの声が混ざったような声で、

「ト・コ・ヨ・ワ・タ・リ」

という返事が来て電話が切れた。

恐くて怖くてみんなが帰ってくるのを待ったが、結局その日は帰ってこなかったので、心配してみんなの家に電話を掛けてもらうと「電話が掛かってこなかったのでつまらなくなってみんな自分の家に戻った」と言う。

何も言わずに家に帰ってしまうなんて変に思ったが、その日以来、みんな少し様子が変わってしまってなんとなく俺たちは疎遠になってしまった。

十何年後、同窓会でその友人達の話を聞いたが、みんな学生時代に健康を害して病気で死んでしまったらしい。