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あんしょ

娘(小2)が夜中突然起きて、ひとり言を言い出した。

一度だけなら寝ぼけたのかなと思うのだが、それが何日か続いたので、ある日聞いてみた。

「毎晩、なんで起きちゃうの?」

「あんしょが来てくれるから」

あんしょってなんだろう?と思い聞いてみると、友達のことらしい。

幼稚園ぐらいのときにも、空中に話しかけてたりしてたので特に不思議とも思わなかったが、絵が描けるぐらいに成長してたので、あんしょの姿を描いてもらうことにした。

ゾッとした。

画用紙いっぱいに一つ目玉の顔があり、その大きな顔の中に無数の小さな顔が埋め尽くされていた。

その顔全てが同じ顔でニヤニヤ笑っている。

驚いて娘に

「こんな怖いのがあんしょなの?」

と聞くと、絵とそっくりなニヤニヤ笑いで娘が

「こわくないよ、ともだちだもん」

と答えた。

その晩、娘が高熱を出して寝込んだ。

うわごとでしきりに謝っている。

結局、次の日には熱が下がったのだが、娘の話を聞いてみると、あんしょが怒っていたのだそうだ。

絵に書いたこと、存在をしゃべったこと、楽しいところに連れていこうとしてたこと、俺に存在を教えたことでそれができなくなったこと。

それ以来、娘が夜中起きることはなくなった。

夢とか想像なんだろうが、当時としては怖かった。

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