怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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「 月別アーカイブ:2013年01月 」 一覧

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飛び降り

大学時代の経験を一つ。

神奈川の、敷地だけは広い某大学でのこと。

講義を受けてる時に、遠方の校舎の屋上から飛び降りる男を見た。

俺は窓からその光景を見ていたんで、驚いて立ち上がったんだけど、声を上げようとしておかしなことに気づいた。

男が落ちた場所に死体が無い。

おかしいな、と思ってもう一度屋上を見ると、また同じ男が屋上からダイブしていた。

そして地面に墜落する寸前に消えた。

んで、また屋上から飛び降りる。

後はもうエンドレスだった。

飛び降りては消え、飛び降りては消え、動画をループ再生してるみたいに延々それの繰り返し。

俺は、『よく死者は死んだ時の状況を繰り返す』って話を思い出して、その男がこの世のモノじゃないんだってわかった。

毎日毎日、朝も昼も夕方も、延々その自殺風景はループしていた。

さすがに何度も見てると慣れてしまうもので、俺はだんだん気にしなくなっていった。

もはや、その自殺風景が日常になってしまったんだ。

でも、ある日俺が食堂に向かうために友人と外を歩いてると、ふと真上から震えたような声がした。

「誰か止めて」

びっくりして上を見上げると、頭上数メートルくらいのところに、飛び降りてきた男の顔があったんだ。

一瞬で思い出したよ。

俺が立ってる場所が、男が墜落した場所だってこと。

気づいた時には遅かった。

左肩に凄まじい衝撃を感じて、俺は気を失った。

起きた時には病院のベットで寝てた。

幸い、肩の脱臼と肘を骨折した程度で済んだ。

友人に聞いたところ、何もないのにいきなり俺が肩を沈ませて倒れたらしい。

頭から垂直に落ちてくる男の引き攣った半笑いみたいな顔と、肩に感じた髪の毛が擦れるような感触と衝撃を今も覚えてる。

去年、サークルの飲み会で久々に大学に行ったんだけど、男はまだ飛び降りを繰り返してたよ。

それ以来、自殺だけはしねぇと誓った。

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新幹線の運転手

僕の従兄弟は新幹線の運転手をやってんだけど、その先輩から聞いた元同僚の話。

その元同僚が運転してる新幹線に、飛び込みをした女がいた。

線路にすっと走りこんできたらしく、ブレーキもかける暇なく女は即死。

死体もバラバラに砕け散ったんだって。

その事故がショックで彼は職場に来なくなった。

先輩は何とか励まそうと、電話したりとか家にも行ってみたけど、彼の怯え方が尋常じゃなかった。

詳しく理由を聞き出してみると、その女を轢いた時、そのぶっとんだ首が、ずっと運転席のガラスに張り付いてたんだって。

ブレーキがかかって新幹線が止まって、ずり落ちていくまでうつろな目で運転手を見てたらしい。

結局、その運転手は辞めたそうな。

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浮かぶ2つの鳥居

ちょっと前の仕事が休みだった日、原付で家の裏山を走ってたんだよ。

そしたら空にぽっかりと、赤い鳥居が2つ並んだ状態で浮いてるんだよ。

赤い鳥居が浮いてるっていうより、宙にぼやけてるって感じかな。

道なりにその鳥居があったから、走り抜けたんだよね。

だからちょうど、くぐった感じ。

2つとも。

家に帰って、その日は普通に過ごした。

問題は次の日からで、高熱が出て、薬を飲んでも病院に行っても熱が下がらないんだよ。

母親に、

「何か最近変わったことはなかったか」

と聞かれて、息も絶え絶えで鳥居の事を話したんだよ。

そしたら母親が血相を変えて、

「Aさんに連絡しないと!!!!」

って電話してた。

Aさんってのはユタ(うちの地方じゃ呪い師みたいなもの)だ。

ほどなくしてAさんがやってきて、

俺を見るなり、

「あぁ、これは相当やられてるね・・・」

って、言ってきたんだよ。

何にやられてるのか、何をやられてるのか、全く聞けなかった。

身体が動かなくて、声も出なかったんだよ。

それなのに家の仏壇の前に寝かされて、Aさんがもってきた酒やら米やらを仏壇に並べ始めた。

「鳥居を2つくぐったんだね?」

と聞いてきたから、かすかに頷いた。

「あんたの先祖に守ってもらうように今から頼むけど、それが出来なかったら、あんたは悪いけど、ここで命が切れてしまうよ」

と、物騒な事を言うんだよ。

Aさんは何やら呪文みたいな言葉を唱え始めた。

俺が聞き取れたのは、

『マジムン』『グソー』『ニライ』

の3つだけで、呪文みたいなものが書かれた紙で体を叩かれておしまい。

Aさんが、

「どうにか切り抜けた。あんたよかったね、毎年墓参りにちゃんと行ってて」

て言ってきた。

俺、何となくなんだけど、墓参りだけは親と一緒に行くのを欠かさなかったんだよ。

それが幸いしてたらしい。

で、Aさんが、

「次に鳥居を見たらすぐに離れること。絶対くぐってはいけないこと」

と、言い残して去って行った。

次の日、嘘みたいに熱が下がっていた。

母親にどういう事か聞いてみたら、

「世の中知らない方がいい事もある」

と、最初取り合ってくれなかったが、しつこく聞いてみたら、

・俺の家系に関係している。

・鳥居をくぐったら8割の確率で死ぬ。

・鳥居の数はその人が生きた年数に応じて違う。

・雨の日は鳥居は出ない。

としか教えてくれなかった。

これが今まで平和に暮らしてきた、俺の唯一の洒落にならなかった話。

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ガラス

小学生の時、夕方ランドセルを忘れたので学校に取りに戻ったら、廊下の突き当たりの戸のガラスの部分に、自分が映ってなかった。

廊下のかわりに、小さい部屋と男の子が映っていた。

その男の子は、顔だけは隣のクラスのタムラ君だったけど、絶対違う。

野球帽も違ったし、体型も違ったし、何より目つきが違う。

体育座りで膝と帽子の隙間から、もの凄く暗い目でジーッと見ている。

すっとんで逃げた。

幻覚だったかもしれない。

なので小学生以来、ガラスが怖い。

それから去年、バイト先の大きい棚のガラスに、女の人の目だけが映っていて目が合った。

自分の目じゃなかった。

もっとちゃんと化粧した、大きくてきれいな無表情な目だった。

ドキッとした。

その2時間後、営業で来た人が、

「すぐそこの交差点で死亡事故があって酷い渋滞ですよ」

と話してた。

死んだのは老人だった。

でも死亡時刻が、私が女の目を見た時間と同じ10時半だった。

数ヵ月後、バイトの子が、

「この店に霊がいる気がする」

と言い出した。

まさかと思って聞くと、やはり若い女で、棚の中に居るらしい。

(建物ができる前から居て、居場所に棚を置いた為に重なっているらしい)

だからあの目は映ってたんじゃなく、中から覗いてたのかもしれない。

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遺言ビデオ

会社の同僚が亡くなった。

フリークライミングが趣味のKという奴で、俺とすごく仲がよくて家族ぐるみ(俺の方は独身だが)での付き合いがあった。

Kのフリークライミングへの入れ込み方は本格的で、休みがあればあっちの山、こっちの崖へと常に出かけていた。

亡くなる半年くらい前だったか、急にKが俺に頼みがあるといって話してきた。

「なあ、俺がもし死んだときのために、ビデオを撮っておいてほしいんだ」

趣味が趣味だけに、いつ命を落とすかもしれないので、あらかじめビデオメッセージを撮っておいて、万が一の際にはそれを家族に見せてほしいということだった。

俺は、そんなに危険なら家族もいるんだからやめろといったが、クライミングをやめることだけは絶対に考えられないと、Kはきっぱり言った。

いかにもKらしいなと思った俺は、撮影を引き受けた。

Kの家で撮影したらバレるので、俺の部屋で撮ることになった。

白い壁をバックに、ソファーに座ったKが喋り始める。

「えー、Kです。このビデオを見てるということは、僕は死んでしまったということになります。○○(奥さんの名前)、××(娘の名前)、今まで本当にありがとう。僕の勝手な趣味で、みんなに迷惑をかけて本当に申し訳ないと思っています。僕を育ててくれたお父さん、お母さん、それに友人のみんな、僕が死んで悲しんでるかもしれませんが、どうか悲しまないでください。僕は天国で楽しくやっています。皆さんと会えないことは残念ですが、天国から見守っています。××(娘の名前)、お父さんはずっとお空の上から見ています。だから泣かないで、笑って見送ってください。ではさようなら」

もちろんこれを撮ったとき、Kは生きていたわけだが、それから半年後本当にKは死んでしまった。

クライミング中の滑落による事故死で、クライミング仲間によると、通常もし落ちた場合でも大丈夫なように下には安全マットを敷いて登るのだが、このときは、その落下予想地点から大きく外れて落下したために、事故を防ぎきれなかったのだそうだ。

通夜、告別式ともに悲壮なものだった。

泣き叫ぶKの奥さんと娘。

俺も信じられない思いだった。

まさか、あのKが。

一週間が過ぎたときに、俺は例のビデオをKの家族に見せることにした。

さすがに落ち着きを取り戻していたKの家族は、俺がKのメッセージビデオがあるといったら是非見せて欲しいと言って来たので、ちょうど初七日の法要があるときに親族の前で見せることになった。

俺がDVDを取り出した時点で、すでに泣き始める親族。

「これも供養になりますから、是非見てあげてください」

とDVDをセットし、再生した。

ヴーーーという音とともに、真っ暗な画面が10秒ほど続く。

あれ?撮影に失敗していたのか?と思った瞬間、真っ暗な中に突然Kの姿が浮かび上がり、喋り始めた。

あれ、俺の部屋で撮ったはずなんだが、こんなに暗かったか?

「えー、Kです。このビデオを・・るということは、僕は・・んでしまっ・・いう・・ります。○○(奥さんの名前)、××(娘の名前)、今まで本・・ありが・・・」

Kが喋る声に混ざって、さっきからずっと鳴り続けているヴーーーーーーという雑音がひどくて声が聞き取りにくい。

「僕を育ててくれたお父さん、お母さん、それに友人のみんな、僕が死んで悲しんでるかもしれませんが、どうか悲しまないでください。僕はズヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア××(娘の名前)、お父さん死んじゃっヴァアアアアアアアアアアアアア死にたくない!死にズヴァアアアアアアアにたくないよおおおおヴヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア、ザッ」

背筋が凍った。

最後の方は雑音でほとんど聞き取れなかったが、Kの台詞は明らかに撮影時と違う断末魔の叫びのような言葉に変わり、最後Kが喋り終わるときに暗闇の端から何かがKの腕を掴んで引っ張っていくのがはっきりと見えた。

これを見た親族は泣き叫び、Kの奥さんはなんて物を見せるんだと俺に掴みかかり、Kの父親は俺を殴りつけた。

奥さんの弟が、K兄さんはいたずらでこういうものを撮るような人じゃないと、なだめてくれたおかげでその場は収まったが、俺は土下座をして、すぐにこのDVDは処分しますといってみんなに謝った。

翌日、DVDを近所の寺に持っていったら処分をお願いしますという前に、住職がDVDの入った紙袋を見るや否や、

「あ、それはうちでは無理です」

と。

代わりに、ここなら浄霊してくれるという場所を教えてもらい、行ったがそこでも、

「えらいとんでもないものを持ってきたね」

と言われた。

そこの神主(霊媒師?)によると、Kはビデオを撮った時点で完全に地獄に引っ張り込まれており、何で半年、生き永らえたのかわからない、本来ならあの直後に事故に遭って死んでたはずだと言われた。