「 月別アーカイブ:2013年10月 」 一覧
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連れて行く
知り合いから聞いた話です。
彼女の弟は霊感が強いらしく、小さい頃からよく
「そこで男の人が見てる」
と泣き出すようなことがあったそうです。
そんな話を聞いた叔父さんが、
「そんな奴、叔父さんがみーんな連れていっちゃうから安心しろ!」
と笑いながら言いました。
叔父さんが帰るとき、弟は窓から帰っていく叔父さんをずっと見ていたそうです。
そして後から
「何か見えてたの?」
と聞くと、
「叔父さんが歩いてる先に髪の長い女が立っていて、髪をクシでとかしながらずっと叔父さんを笑いながら見てた。叔父さんがその女の横を通り過ぎても、女は叔父さんの後姿をずっと見てたよ。それと…」
そこで言葉を切って
「叔父さんの後ろにはズラーって行列ができてて、本当にみんな叔父さんの後ろについていってた。」
その叔父さんは、それからすぐに身体を壊し入院したそうです。
その知らせの電話がかかってきた時、弟はうつむいてすぐ部屋に行ってしまい、それから弟はもう自分が見えることを家族にも話さなくなったと言っていました。
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憑き物
高校2年のころ、Hという同級生がいた。
そいつは優等生で人当たりも良く、相手が不良だろうがオタクだろうが分け隔てなく接し、大半の生徒から好かれていた。
俺もそんなHが嫌いじゃなかった。
冬休みが明けて3学期が始まったとき、Hに異変が見え始めた。
いつもニコニコしていたのが全く笑わなくなり、休み時間も席から離れず、ずっと机に伏せたままにしている。
冬休み前より確実に頬もこけている。
風邪でもひいたのだろうと、誰もそれほど気にしていなかったのだが、ついには学校に来なくなった。
心配をした友人が、Hの親友であるFに
「Hどうした?入院でもしてるのか?」
と聞いた。
「入院はしていないみたいなんだけど、体調が悪いらしい。今日帰りにお見舞いに行こうと思ってるんだ」
とFが答えた。
すると友人が、俺達もついて行くと言い出し、俺も流れでお見舞いに行くことに。
Hの家はマンションの3階だった。
Fが玄関のインターホーンを押すと、玄関のドアが開き中からHの母親が出てきた。
「あら?F君こんにちは。あとは同級生の方達?わざわざありがとうね。ごめんねあの子今寝てるのよ。病気はたいした事無いんだけどね」
と、明るく答えた。
その様子からして深刻な病気では無いのだろうと俺が思っていると、家の奥からHが出てきた。
一瞬、それがHだとは思えなかった。
顔は痩せ細り青ざめている。
なにより目が違う。
キツネのようにつり上がってるのだ。
そんなHが、部屋の奥から四つん這いでこちらを見て、口をムニャムニャ動かしている。
寒気が全身を走った。
これがあのH??
Hの母親も奥からHが出てきていることに気付き、慌てて俺達3人を玄関から外に押し出しドアを閉めた。
帰り道、さっきの事が理解できないでいた俺と友人は黙って歩いていた。
その沈黙をFが破った。
「・・・Hは猫に呪われてるんだと思う・・・猫が憑いている」
「は?」
俺と友人はFの方を見た。
「Hは空気銃で猫を撃つのが趣味なんだ。野良猫を見つけては・・・クラスメイトの名前をつけて…撃つんだ。俺、可哀想だからやめろよって言ったんけど、Hがやってるとなんか間違ったことやってるように思えなくなってきて・・・」
猫が憑いている!?
んなバカな!
でも、あのHの変貌ぶりといったら・・・
そんなことが現実に起こりえるのか??
つーか、Hの趣味が猫撃ち?
クラスメイトの名前つけてって・・・
などと混乱してるとFが、もういっかいHの家に戻って、この話をHの母親に説明してくると言い出した。
俺達はもう関わりたくなかったので、そこでFと別れた。
Hはそのまま学校には来ないで転校という形で去っていった。
後日、Fの話によると、あの後Fも交えてH家で家族会議が開かれ、Hの父親の実家近くの寺だか神社だかにHを預けることになったらしい。
「Hが可哀想だから、この話は他のクラスメイトには話さないであげて欲しい」
とFは言った。
ごめんF、クラスメイトには言わなかったけど書いちゃった。
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ドライブ
母から聞いた話。
(若い頃)母は、いつもの仲良しグループ5人で湖にドライブに行く事になったんだって。
その湖はどこにでもあるような普通の湖だったんだけど、いわゆるドライブスポットって言われる所じゃなかった。
地元の人しか知らないような、こじんまりした湖だったのね。
母達はよくドライブしててその湖にも行ってた。
その日も、いつも通りに車を走らせてた。
片道1時間くらいで湖に着いた。
景色を楽しんだり湖畔で談笑したりしているうちに、日がすっかり暮れて夜になった。
5人は帰ることにした。
車を走らせて30分位したら、5人の中のSさんが急に
「ついてきてるよ…」
って言い出したのね。
最初他の4人は「なにが?」って感じだったんだけど、今度はSさんが急に震え出した。
その震え方が尋常じゃなかったんで、母含め他4人は
「大丈夫?!」
とか言って、車の中にあった白いタオルとか自分のパーカーをSにかけてやってた。
そしたらSが
「白はダメ!連れてかれる!」
とかいって、頭を抱えてまたガタガタ震えていた。
母達は何がなんだかわからなかったけど、しばらくしてその異変に気付いた。
車の窓ガラスが誰かに叩かれてるのに気付いた。
低い音で何回も何回も。
でも、車は時速50キロはゆうに越えてたし、叩いてる人なんてもちろん誰もいない。
ただ音だけが響いてたんだって。
5人は悲鳴をあげ、Sと同じように震えた。
ドライバーも気を失いそうだったらしいが、なんとかこの状況から抜け出そうと必死で運転してたらしい。
1つトンネルがあったんだけど、トンネルに入ると叩く音はだんだん小さくなっていった。
そしてトンネルを出るころには音が無くなってた。
5人はなんとか戻ってこれたらしい。
母がゾッとしたのは、この体験だけじゃなかった。
翌日、あの湖から死体が上がった。
後でSに話を聴いてみると、車を叩かれてるとき意識は朦朧としてたんだけど、はっきりと
「おいてかないで」
って聞こえてたらしい。
Sはいわゆる霊感体質で、人よりもこういうことに敏感らしかった。
母が言うには、後にも先にもあれほど恐怖を感じたことはないそうです。
私も話を聞いてゾッとしました。
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廃校の靴
この前、兄貴に聞いた話。
兄貴が学〇院大学に通ってるんだが、そこにサークルとかが合宿する時に使うための寮みたいなんがあるんだと。
その近くに、めっちゃ古い廃校になった校舎があるらしいんだが、兄貴のサークルの二個上の先輩が、合宿でその廃校に肝試ししに行った時、何故かそこにあった子供靴を家にもって帰って枕の後ろにはさんで寝たんだって。
そんで次の日、枕をめくったらそこには何もない。
昨日確かに持って帰って来たはずの子供靴が無くなってたらしい。
その後、その先輩は右足怪我しまくって、大会とかも出場できなくなってしまったらしい。
その一年後。
大学サークルで合宿行った時に、皆でまたその廃校に肝試しに行ったらしいんだが、兄貴の一個上の先輩がその靴の話を聞いて、興味本位でその靴を持って帰って、同じようにその靴を枕の裏に入れて一晩寝たんだと。
そしたら次の日の朝、案の定その靴は枕の裏から消えている。
その先輩はグッスリ寝てて気づかなかったらしいんだが、合宿所の同じ部屋に泊まってた友人が言うには、夜中に誰かが部屋に入ってきたらしい。
その後、一個上の先輩も右半身怪我しまくりで大会出場断念。
あまりにも怪我が多いので、二人して御祓いに行ったら怪我がピッタリ止んだそうな。
来年あたり俺もその廃校行ってみる予定。
もし靴があったら持って帰りはしないが、写真くらいは撮ってくるつもりです。
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妙なもの
今はもうあまりないんだが、10代の頃は時折、妙なものが見えることがあった。
なかでも複数回見ているモノが以下に書く奇妙なもの。
最初に見たのは学生時代の友人Mのアパート。
友人が実家から出て引っ越してきたばかりのそのアパートは築何十年とかで、見た目にもいかにもなオンボロアパートだった。
イメージとしては4畳半フォークとか、男おいどんとかそんな感じw
引っ越し祝いで、別の友人Aと初めて部屋に行った時、入った瞬間からひどく暗いし、空気も悪いなあと感じた。
まあ立地的にも物件的にも仕方ないのかと思ったとき、そいつが目に入った。
そいつの見た目は50センチくらいの蛇みたいなもの。
色は紫がかった黒一色。
蛇というよりはウナギとか(巨大な)ドジョウに近いかも知れない。
目とか口とかは何もないが、両端は先細りでどことなく生物めいて見える。
そしてどういう仕組みかは知らないが、宙に浮いて部屋の電灯の周囲を漂ってる。
煙のようなものではなく、明らかに実体がある感じ。
表面の質感としてはゴムのようで光を反射したりは一切してなかった。
時折、体をくねらせる動きもどこか生物っぽい。
もっとも体を二つ折りみたいにしてたし、背骨とかはなさそうだが。
MもAもまったく気づいていない様子だったので、なにも言わなかった。
特にAはは少し前にとある恐怖体験をして以来、俺をその元凶のように思っているのでw
いやな感じがしたので俺は2人を飲みに誘い、そのまま帰った。
数ヵ月後(その間、意識して行くのを避けてたので)、再びMの部屋に行くとそいつはいなくなってた。
心なしか部屋も明るく、空気も淀んではいなくなってた。
その時は別にそんなものもいるのかくらいにしか感じなかった。
まあ、こっちの世界のものとは思わなかったけど。
その後、何回か同様のものを見た。
場所はバイト先の作業場だったり、大きなホールだったりいろいろ。
長さはは30センチくらいのものから4,5メートルくらいのものまで様々だったけど、太さは決まって5センチくらいだった。
そいつは、だいたい何もせずに宙を舞っているだけだったのだが、一匹だけ、バイト先で知り合ったパートのおばちゃんにやたらまとわりついているやつを見た。
やはりおばちゃんは気づいていないようだ。
因果関係はわからないが、そのおばちゃんはしばらくして大病を患ったとかでパートを辞めた。
そして、まもなく亡くなられたと聞いた。