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死んだはずの男

1990年2月。

バミューダ海域で一隻の漁船が漁をしていると、白い布で出来た袋のようなものが流れてきた。

船の上へ引き上げて中を開けてみると、中から60過ぎくらいのやつれた男性が入っていた。

船員たちは皆びっくりしたが、放置しておくわけにもいかない。

詳しい事情を聞いてみると驚くようなことを語り始めた。

男の名前はミッシェル・ガヤンといい、フランスからバミューダの方に移住してきたのだが、自分は1926年に死んだはずだと言い張るのだ。

死んだはずだと本人は言っているが、現にこうして生きている。

袋詰めで海を漂っていたために、精神に異常をきたしたのか、船員たちはそう思いながらもとりあえずバミューダ島の病院に連れていくことにした。

病院についてカルテを調べてみると、確かに男の言うように1926年にミッシェル・ガヤンという男がガンで死んでいたことが判明した。

63歳だった。

さらに調べてみると、彼の遺言で死体は焼かれずに布でくるんで水葬として海に流されたということまで分かった。

死亡証明書に押してある指紋を照合した結果、本人に間違いはない。

となると、実際生きていた状態であるのに水葬にされて息を吹き返したということも考えられるが、問題はその年月である。

彼が死んだのが1926年、そして発見した今は1990年。

彼が死んでから実に64年の歳月が経っている。

ずっと生きていたなら本来ならば127歳になっているはずだ。

なのに、当のミッシェル・ガヤンは死んだときの年齢そのままの状態で64年間も死体として海を漂い、そして今再び生き返ったことになる。

彼に何が起こったのか、結局謎は解明されないままだった。

【テクノ】

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