俺がトラックの運転手をしていた時の話。
地図見て走っていたんだけど、俺のトラックじゃ潜れない高さのトンネルがあって仕方なしに迂回。
周りは田舎。
地図見る限りじゃ迂回路を走っていくと、大きな県道に出るから大して心配してなかった。
ところが、どこをどう間違えたのか県道へは出れず。
また地図見るも、おかしいな?あってるハズだけど?
外は暗くなり始めて、辺りは廃屋や廃車がまばらに見える。
更にうっそうと草が茂っていて、道を聞こうにも人は居ない。
道の先を見るとアパートが先に見えたんで、そこでUターンか、人が居れば道聞こうと思って行ってみたら人がいた。
なんか白髪のおばあさんがアパートの前で突っ立ってた。
気味悪いなあと思いながらも、トラックの窓越しに道を聞くと、ただ無言で指差すだけ。
「ホントにそっち?」て聞くも、頷くだけで終始下向いたまま。
で、俺は言われるがままトラックを走らせた。
嫌な予感してたんだけど、とりあえず走っていくと何か建物が建っている広場へ出た。
…行き止まりじゃねーかよ。
トラックの向きを変えようとハンドルを切ったらいきなり「ガスッ!」て音がして、「何か踏んだか?」と思って懐中電灯持って降りたが何も踏んでない。
どうも気になって懐中電灯で建物を照らすと…
火事で焼けた廃屋だった。
乗り込むとエンジン止まっていて、ヘッドライトの明かりがついたまま。
おかしいな?
セルまわってもエンジン掛からない。
んで、ふと見るとさっきのおばあさんが明かりの先に突っ立ってた!!
もうパニックで、何回もセル回してエンジン掛かると同時に逃げ帰ったよ。
走ってる途中も「バン!ドゴ!」てボディを叩く音がしていて、気が狂いそうになってスッ飛ばして走った。
途中、さっきのアパートが見えたけど…ガラスが割れて廃屋のように見えた。
チラ見でしか見てないけど。
パニックになりながら走っていると、もと来た明かりがある道へ出た。
行きに通り過ぎた酒屋さんが見えて、営業中だったので道を聞いて何とかなったけど、本当に酒屋さんが「人間」でよかったよ。
酒屋さんにこれまでのことを話すと、どうやら廃村に迷い込んでたらしい。
火事のあった建物は、豪農の家だったようで、継ぐ者がなく、1人暮らしのおばあさんが火事で焼け死んだ家らしい。
「あそこは誰も近寄らない」そうだ。
でも、変なところ曲がった覚えないけどなあ??
気になったのは…トラックのシャーシにいつのか解らない古い手ぬぐいが引っかかってたこと。
その後、俺が仕事中の怪我で入院していた時、近所の家が火事で燃えた。
それと、その時乗っていたトラックが入院中放火されて廃車になった。
オハライ、勿論行きました。