「 事故 」 一覧
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峠のお地蔵様
俺が工房だった頃、連れに族(笑)がいて、たまに一緒に峠とか走ってたんだわ。
で、まぁ族とかやってるような奴なんで頭は悪かった。
遠出してあんま土地勘のない山でちょっと一服ってことになった。
ちっちゃい地蔵が三体くらいかな?
並んでんのに気づいてね。
その族の連れが、おもむろに地蔵を蹴ったんだよ。
踏みつけるような感じで。
そしたらさ、地蔵の首とれちゃった。
苔の生えた地蔵だったから相当古かったんだろうね。
連れはテンションあがっちゃって、地蔵の首を崖の下に蹴り落としたんだ。
ひでーことすんなーと思ったが、俺も特に止めなかった。
祟りとか霊って信じてなかったし。
半年くらいたってその連れ、バイクで事故起こして帰らぬ人になった。
普段からラリってバイク乗るような奴だったから、遂に事故ったかくらいにしか思わなかった。
まぁ悲しい気持ちではあったけど、これだけなら別におかしな話ではない。
ただ、事故って崖から落ちた連れの首、とうとう見つからなかった。
もう一つ不思議なのは、地蔵の首が元通りになってたこと。
地蔵の正確な数は覚えてないし、もしかしたら首無しを撤去したのかもしれんが。
普通、撤去とかしないよな。
ちなみに俺には害はなかったですよ。
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風船おじさん
1992年11月23日、琵琶湖湖畔を20個のヘリュウム風船をつけたゴンドラ『ファンタジー号』に乗って大空へ旅立った『風船おじさん』
このゴンドラは横2m縦70cmのヒノキ風呂を改造したもので、携帯電話、酒、酸素ボンベ、食料一週間分などを積んでいた。
当時NHKを除くすべてのマスコミ、新聞もテレビも大騒ぎしたことがあった。
彼の最後の姿が見られたのは2日後の11月25日。
アメリカに向かったはずだが、何故か宮城県上空で海上保安庁の航空機に確認されている。
ということなので、2日間は確実に生きていたことになる。
しかしその後、それっきり風船おじさんは行方不明となった。
手作りの気球(風船をたくさんつけて焼酎のビンを重しにしたというめちゃくちゃなもの)で飛び立って、二日後ぐらいに朝鮮半島近くで気流に巻き込まれて交信を絶ちました。
ただ、残骸も何も発見されておらず、交信を絶った位置からして北朝鮮に不時着した可能性もあると何かのテレビで・・・
この話しに後日談があり、『週刊新潮』によると、残された家族の家に時々『謎の電話』が掛かってくるそうです。
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飛行機接触事故
1960年末に発行された『アメリカ連邦航空局年鑑』には、実に奇妙な報告が記されているので紹介する。
その年の1月25日、アメリカのオハイオ州上空をジョン・ウォールが『セスナー82型』に乗って飛行していた。
しばらく順調な飛行を楽しんでいたが、そのうち目の前に見たこともない淡いピンク色の雲が現れたのだ。
すでにベテランの域にあったウォールは、コースを変える必要を感じることなく、そのままのコースで雲の中に入っていった。
そのとき思わね事件が起きた。
雲に入った瞬間、急に目の前に木製の複葉機が現れたのである。
驚いたウォールは、急いで機体を旋回させたが、正面衝突は避けられたものの、翼の先を相手の複葉機の胴体に接触させてしまった。
にもかかわらず、雲の中にいた複葉機はそのままどこかへ消え去ってしまったのである。
飛行場に降りたウォールは、セスナ機をチェックして、片翼の先がわずかに凹み、塗装が削り落とされているのを確認した。
その後、ニアミスと接触事故の報告をアメリカ連邦航空局に提出した。
その報告を受けてアメリカ連邦航空局は、相手側の複葉機の当て逃げ同然の行為を、航空法から悪質と見て調査を開始することになった。
そして、接触事故が発生した3ヵ月後、ようやく相手の複葉機を発見したのである。
調査委員たちが、オハイオ州の牧場の中に建てられた古い倉庫の中で発見された複葉機の翼の一部からウォールのセスナ機と同じ塗装痕を発見したことで、事件は解決したかに思えた。
しかし、とんでもない展開がそのあとに待ち受けていた。
その複葉機は、長年誰も飛ばしていない状態で放置されていたのである。
驚くべきは、複葉機の中で発見された1932年の飛行記録の中に『見たこともない金属製の飛行機と、空中で接触事故を起こした』と記されてあったことだ。
つまり、ウォールのセスナ機と木製の複葉機は、時間を超えた未知の空域で実際に接触事故を起こしたことになる。
あまりの異様さに、調査委員たちは飛行記録を押収し、そこに使われたインクの成分分析をFBIに依頼。
その結果、時間経過を測る化学テストから、間違いなく30年代に書かれたインク跡という報告が届いた。
この事件は、アメリカではタイム・スリップ事件として有名だが、ウォールが過去に行って事故を起こしたか、複葉機が現在(当時)に来て事故を起こしたかで見解が分かれている。
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山に呼ばれた人の話
熊の湯温泉。
白神山地は熊の湯温泉の主人の話。
ある日の夕方、この熊の湯温泉の主人の元に『山菜採りが滑落遭難した』との一報が入った。
主人が現場に駆けつけると、既に地元警察や救助隊が駆けつけており、サーチライト点灯の準備をしていた。
そしてその横で、まだ五十手前の男が泣きながら
「早く女房を助けて下さい」
と懇願していたという。
その地点は白神ラインの天狗峠と明石大橋の中間地点で、ガードレール下は急峻な崖であった。
生き残った夫の話によると、夫婦で山菜採りに来ていたが、ふと目を離した隙に妻が悲鳴を上げていなくなったのだという。
白神山地はまだ寒く、サーチライト点灯を待つ救助隊員や警察官たちは焚き火にあたって暖を取っていた。
その横で遭難者の夫が
「火なんかに当たってないで早く妻を助けてくださいよ!」
と恨めしそうに懇願していた。
やがてサーチライト点灯の用意が出来て、強い光が谷底に投射された。
少しずつ光の輪を横にずらしながら、遺体の捜索が始まった。
やがて、「あっ」と誰かが叫び、サーチライトの光が止まった。
(なんてこった、まず生きてはいまい)
主人は内心そう思ったという。
ガードレールの下、はるか二百メートルほどの地点、岩が大きく張り出した谷の途中に女性が倒れていた。
救助隊員が拡声器で呼びかけたが、何の反応もなかったという。
絶命している。
主人だけでなく、救助隊の誰もがそう直感したそうだ。
しかし、発見地点は下手すれば二重遭難しかねない急峻な崖である。
主人と救助隊は谷底に降りる方法を相談し始めると、遭難者の夫が半狂乱になりながら救助隊に詰め寄ってきた。
「早く助けて下さい!!女房が呼んでるじゃないですか!!」
もう少し待ってください、慌てると碌なことがない、と救助隊員は必死になって男をなだめたが、男は聞く耳を持たない。
早く助けてくれと、もう少し待ってくれの押し問答が続いた、その時だった。
男が呻くように言ったという。
「あぁ……なんであんたたちには聞こえないんだ!女房が呼んでるのが聞こえないのか!?」
その瞬間だった。
男がバッと走りだしたかと思うと、あろうことかガードレールを飛び越えてしまった。
悲鳴が救助隊員を凍りつかせた。
男の体が岩に激突しながら落下する音が不気味に響いたという。
慌てて救助隊員たちが崖下を見ると、サーチライトの輪の中に、さっきの男が倒れていた。
不思議なことに、男の遺体は妻のすぐ側に倒れていて、まるで『助けに来たぞ』と言っているように見えたという。
「なんてこった……」
主人がそう呟いた時だった。
一台の車が現場にやってきて、三十代になるかならないかという男が駆け下りてきた。
「うちの親が落ちたって聞いたんですが」
遭難者の息子だった。
誰もが絶句し、
「今引き上げるところだから、下は見るな」
と誰かが言った、次の瞬間だった。
「そんなこと言ったって、うちの親父とおふくろが谷底から呼んでるじゃないですか」
救助隊が絶句していると、息子がガードレールに駆け寄ろうとした。
咄嗟に、それを警官の一人が取り押さえた。
「止めろ止めろ止めろ!でないとコイツまで連れてかれるぞ!」
その警官がそう怒鳴った瞬間、その場にいた警官が一斉に息子に跳びかかり、息子を取り押さえた。
「何するんだ!親父とおふくろが呼んでるのが聞こえないのか!?」
息子は半狂乱になってそう怒鳴るが、そんな声など息子以外の誰にも聞こえていなかった。
あまりにも暴れるので、結局、息子は警官に両脇を抱えられ、パトカーの後部座席に連行された。
まるで山岳救助の現場とは思えない、異様な光景であった。
しかし息子は「親父とおふくろが呼んでる」と唸り続けるわ、隙あらばパトカーの外に飛び出そうとするわで、ほとほと手を焼いた。
しかし数時間後、両親の遺体が谷底から引き上げられた途端、まるで憑き物が落ちたようにおとなしくなった。
息子は両親の遺体に縋って号泣していたが、先程までとあまりに違う息子の態度に、誰もが改めてゾッとしたという。
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足音
中学時代の先生から聞いた話。
先生が大学時代に、友人とW県のとある村にキャンプをしに行った。
河川敷にテントを張って日が落ちるまでの間、テントの中で準備をしていたそうだ。
日没後、先生は友人と話をしていると、外で何かを引きずっているような音がする。
勿論友人はテント内にいるし周りに人影も見えない。
その『何か』はテントの周りをずっと歩いている。
先生が外を見ると何もいない。
しかし中に戻ると足音が聞こえる。
気味が悪くなった先生たちは一度テントから出て、ライトで外をガンガンに照らしながら夕食の準備を始めた。
夕食も終わり片付けをしたあと、先生たちは眠りについた。
ぐっすりと眠っていると、また外で何かを引きずるような音がする。
隣で寝ていた友人も音に気づき起きていたようで、二人ともその音を聞いていた。
またもその足音はテントの周りを何回も何回も歩いている。
怖くなった二人は寝袋に潜り込んでそのまま眠ってしまった。
翌朝起きると音は無くなっていた。
先生たちも起きるなり足早にテントを片付け始めた。
片付けている途中、川下で人だかりが出来ていて警察も来ている。
友人が聞いてくると、どうやら老婆の水死体があがったらしい。
その水死体は片方の草履を履いていなかった。
ますます気味が悪くなった二人は、最後にテントを片付けた。
すると、テントの下から草履が出てきた。
友人は真っ青になって一言。
「これ・・・さっき水死体が履いてた草履や・・・」
先生は「もしかしたら、あの足音は草履を探し回っていたおばあちゃんやったんかもしれんな」って言ってました。