「 月別アーカイブ:2013年04月 」 一覧
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井戸の中
小3の時だから、もう10年以上前の話。
片田舎に住んでたこともあって、ゲームとかよりも外で遊ぶことの方が多かった。
特に小1から仲の良かった俺、A、B、Cの四人は、リーダー格だったCの家に隣接してる結構深い林で、ほぼ毎日太陽が沈むまで遊んでた。
何年も遊んでたお陰で、林の構造は熟知してたつもりだった。
ある日、いつものごとく林に入って遊んでいると、急にAが居なくなった。
もしかしたら迷子かな?と、よくあることだったので来た道を戻りながら探した。
五分もしない内に、Cの家から500mくらいの所でAの横顔を見つけた。
俺「何しよーと?はよ行くばい」
A「んー、あんさ、こんな所に井戸やらあった?」
Aが指差した所に、確かに今まではなかったはずの井戸があった。
蓋が被せてあって、屋根?みたいなものから桶がぶら下がって、蓋の上に置いてあった。
A「な?なかったやろ?」
Aの言葉に少し恐怖を覚えたけど、さすがは子供、恐怖はすぐに興味に変わって蓋を開けてみることにした。
井戸はたぶん直径1mくらい。
底が辛うじて見えるから、そんなに深くはなかった。
C「なぁ、懐中電灯もあるし、誰か降りてみらんや?」
Cの提案に賛成して、一番小柄だった俺が降りることになった。
桶の縄にぶら下がって降りていくと、意外と井戸が深いことに気付いた。
上から三人が覗いてるのが見えるけど、すごく小さく感じた。
井戸の底には落ち葉がいっぱい貯まっていて、何故かどれも乾燥してなくて真新しかった。
B「なんかあるー?」
手渡された懐中電灯の光で辺りを照らすけど、大したものは見つからなかった。
俺「んー、なんもないよ」
そう答えようと上を見上げた瞬間、只でさえ暗かった井戸の中が真っ暗になった。
数秒何が起こったか理解できなかったけど、すぐに蓋を閉められたと気付いた。
俺「ふざけんなよ!開けんや!」
下から一生懸命叫んでも、一向に開く気配がなかった。
加えて運悪く、唯一の光源の懐中電灯の光が明滅し始めた。
泣きそうになりながら叫んでも、蓋は開かなかった。
そして遂に、懐中電灯の光が消えて真っ暗になった。
どうすることもできない状況で、狭い空間に真っ暗にされて閉じ込められ頭が変になりそうになりながらも叫び続けた。
すると、今まで消えていた懐中電灯が、ふと光を再び灯した。
真っ暗だった空間に光が点いたことで一気に安堵して、三人が蓋を開けるのをゆっくり待つことにした。
静かにしてれば、きっと三人は開けてくれるだろうと考えた。
壁に背を預けて座ると、目の前の壁が照らされた。
さっきは気付かなかったけど、取っ手みたいなものが少し上の方にあった。
縄を少し登って取っ手を引っ張ると、隠し扉?みたいに井戸の壁が開いた。
恐怖というより、忍者みたいですげー!という興奮の方が大きかった。
すぐに縄を降りて穴を覗くと、一気に冷や汗が沸いた。
四畳くらいの大きさの穴の壁一面人形、人形、人形。
種類も大きさもバラバラで、全部俺の方を向いていた。
恐怖で動けずにいると、一番奥に何やら大きなモノがあった。
少しずつ光を当てて行くと、徐々にそれは姿を現し始めた。
ぼろぼろになったズボンを履いた足、真っ暗な手とシャツ、胸まである髪、そして顔を照らそうとした瞬間、髪の毛をいきなり捕まれて転けた。
心臓が飛び出るかと思うくらい跳ねて、泣き喚いた。
手当たり次第に手足をぶん回すと、何かにうつ伏せに押さえ付けられた。
手から離れた懐中電灯が、俺の胸に乗った人形を映したところで俺の記憶はなくなった。
次に目を覚ましたのはCの家だった。
目を覚まして一番に俺はCを殴った。
俺「バカ!くそ!死ね!」
文句言いながら殴っていると、Cのお父さんに止められた。
AもBもCも、みんな泣きながら俺に謝ってきた。
事の顛末はこうだ。
俺が降りた後、案の定Cの提案で、ちょっとの間蓋を閉めることに。
すぐに開けるつもりだったけど、いざ開けようとすると、さっきは二人で軽々開いた蓋が持ち上がらない。
三人がかりでもびくともしない。
何かやってしまったのかと思い、急遽Cがお父さんを呼びに戻った。
その間もAとBは、俺の叫び声を聞きながら開けようと必死だったけど開かなかった。
Cがお父さんを連れて来た頃には俺の声も消えて、AもBも疲れ果てていた。
開かないなら壊せ、ということで、大きなハンマーをC父が持って来ていて蓋を叩き割った。
底には俺の姿は見えなかった。
急いでC父が下に降りると、壁の穴の中で人形に取り囲まれて、胸に人形を抱き締めた俺が寝ていたらしい。
引っ張り上げるのに、Bのお父さんも加勢に来たと。
そして今、俺が目を覚ますまで、AもBもCも1日中ついていた。
つまり、俺は丸1日寝ていた。
C父「ずっとここに住んどるけど、あんな所に井戸やらなかったはずやけど」
C父が言ったこの一言に、恐怖が再び沸いた。
そのあと、井戸は埋められた。
お坊さんも来てたから、多分なんかあったんだと思う。
一番奥にあったのは、誰かの死体だったのかも知れない。
今じゃもう分からない。
今でも井戸と人形には近付けない。
マネキンとかでも冷や汗が出る。
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道頓堀、角座
角座と言えば、怪談ライブで松竹芸能中堅芸人から聞いた話を思い出したので書いてみます。
今から22年前、まだ道頓堀に角座があった頃の話。
角座のその日の興行が終わり、若手芸人数人が居残って夕方から打ち合わせや稽古をしていた。
しばらくしたら、大御所ベテラン芸人専用の楽屋から三味線の音が聞こえてきた。
他の先輩芸人はすでに帰り、角座には自分達しかいないはずなのに?と不思議に思い、二人ぐらいで恐々その楽屋を覗いてみた。
だが、三味線はあるけど誰もいない。
でも、確かに皆が三味線の音を聞いた。
皆でおかしいな~と言いつつ、その夜は解散した。
翌日、朝刊を見たら、松竹芸能の某女性音曲漫才三人組のリーダー(三味線担当)が琵琶湖で入水自殺して死亡した記事が。
実は、楽屋にあった三味線は自殺したリーダーが使っていた物だった。
そして、死亡推定時刻が昨夜楽屋から三味線の音が聞こえた時刻とほぼ同じだった。
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男には怖い話
3年間、必死で信じて来たけど、連絡を絶ってフェードアウトしようとした彼が許せなかった。
お決まりの奥さんとは別れるという言葉を信じてきた。
はっきり別れると言ってほしいと何度もメールした。
今までは私が折れて、彼が「やっぱり別れられない。君が必要だ。」と言って戻ってくる彼を受け入れていた。
今回は彼の住所を調べて家に行って来た。
現実を見て思い切り失望してこのまま消えようと思った。
庭に出ていた彼は私を見つけてこそこそ隠れた。
そこで心を決めた。
インターホンをならして、彼と彼の奥さんと話をした。
彼の子供達も在宅していたから察したと思う。
彼が私に言った事、した事、すべてを奥さんのいる前で話した。
奥さんは泣いていた。
奥さんには罪はないけれど、彼が連絡を絶つ事でなにも言わずに逃げようとした事が許せなかった。
今後、彼は多大なる後悔をすると思う。
彼の家を後にした私が思った事は「すっきりした!」でした。
初めて人を故意に傷つけたのに、私に罪悪感はまったく湧いて来ない。
不思議なくらい罪悪感がない。
只、只、もう連絡を待ちこがれなくてもいい事、不安になって泣かなくてもいい事、辛かった思い、すべてをもうしなくていい事が私を嬉しい気持ちにさせています。
自分勝手だけれど、とにかくすっきりした!
3年ぶりにぐっすり安心して眠れそうです。
自分で終わらせたら、きっとびっくりするぐらいすっきりすると思います。
あの人と一緒にいたら、ずっと不安がつきまとうはず。
たとえ結ばれたとしても。
今は、あんな人と家族でいなければならない奥さんが可哀想だな。
でも仕方ないよね、結婚しちゃってるんだもんね。
とにかく、とにかくすっきりした!
自分で決断して不倫止めるとすっきりするよ!
捨てられる前に捨てて良かった!
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あんしょ
娘(小2)が夜中突然起きて、ひとり言を言い出した。
一度だけなら寝ぼけたのかなと思うのだが、それが何日か続いたので、ある日聞いてみた。
「毎晩、なんで起きちゃうの?」
「あんしょが来てくれるから」
あんしょってなんだろう?と思い聞いてみると、友達のことらしい。
幼稚園ぐらいのときにも、空中に話しかけてたりしてたので特に不思議とも思わなかったが、絵が描けるぐらいに成長してたので、あんしょの姿を描いてもらうことにした。
ゾッとした。
画用紙いっぱいに一つ目玉の顔があり、その大きな顔の中に無数の小さな顔が埋め尽くされていた。
その顔全てが同じ顔でニヤニヤ笑っている。
驚いて娘に
「こんな怖いのがあんしょなの?」
と聞くと、絵とそっくりなニヤニヤ笑いで娘が
「こわくないよ、ともだちだもん」
と答えた。
その晩、娘が高熱を出して寝込んだ。
うわごとでしきりに謝っている。
結局、次の日には熱が下がったのだが、娘の話を聞いてみると、あんしょが怒っていたのだそうだ。
絵に書いたこと、存在をしゃべったこと、楽しいところに連れていこうとしてたこと、俺に存在を教えたことでそれができなくなったこと。
それ以来、娘が夜中起きることはなくなった。
夢とか想像なんだろうが、当時としては怖かった。
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地獄やで!
ガキの頃、近所が騒然となった町内事件。
駄菓子屋つく〇し屋の前で交通事故。
K君の弟で、知的障害のあった男の子がバックしてたトラックに踏まれた。
つく〇し屋はコミュニティーみたいになってて、近所の主婦やら子供やらが一杯いたから、ワーワー大騒ぎになった。(俺もいた)
K君の家はすぐ近所なんで、〇井君がK君のお母さんを呼びに走っていった。
大人とかが
「おい!子供はくるな!」
とか言ってたけど、大人も子供も好奇心でトラックの周りにバーッて集まる。(最低や)
運転手は今思うと、20歳くらいの若い奴で、最初は「え??何すか??」って感じで降りてきて、子供を踏んでる事に気がついてワーッて泣き出した。
つく〇屋のおっちゃんが
「ボケカス!!車どけんかい~!!」
って怒鳴って、運転手は車を少し前進させた。
そしたら男の子は、顔の半分くらいと右肩から腕丸ごとを踏み潰されて、左手で何故かお腹をパンパン叩きつづけながら「モーモー!!!」みたいな唸り声を出しつづけてた。
お母さんが、すごい勢いで駆けつけてきて「ウワーーーーー!!!!!!」って叫んで、そのままへたり込んで失神?したみたいになった。
しばらくして、救急車が来る前にお母さんはガバッて起き上がって、
「もういいですから殺してください!!どんなんして生きていくのこの子!!もういいから殺してください!!車でひいてあげて!! どんなんして世話していかなあかんの!!!」
って絶叫して、また「ウワーーーー!!!ウワーーー!!!」って叫びだした。
運転手も「ウワーーー!」って号泣して、つく〇屋のおっちゃんが
「地獄やで!おまえ、何泣いてんねん!!地獄じゃ、ようみとけ!!」
って怒鳴り散らしてた。
こないだ実家帰ったら、まだそこにペットボトル供えててビビッたわ。