「 後味の悪い話 」 一覧
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狐
私は、両親と兄から虐められて育ち、中卒で働きに出ていた。
ある日、大学受験を控えた兄が、私とは一緒に食事をしたくないと言い出して、両親から玄関で食べるように言われて辛くなり家出した。
自転車で湖まで走り、奥の森で首を吊る事にした。
途中で荷造り紐と、からあげくん一個を買った。
森の奥の真っ暗な中でからあげ食べていたら、小さな狐がカサカサ音を立てながらやって来た。
残りの1つをあげると狐はこっくりと頷いた。
首を吊る瞬間まで、狐がじっと私を見上げていた。
しかし気が付いたら朝で、病院にいた。
足に少し火傷をしていたが生きている。
離れて暮らす祖母が病室にきて、家が火事になったと教えてくれた。
両親と兄は亡くなったが、数ヶ所を刃物で刺されていた。
父が無理心中を計ったとされているけど、私が家を出る時、3人は楽しそうに兄が合格したらハワイ旅行に行こうと話していたから無理心中とは思えない。
確かに首を吊ったのに、私は自宅の前に倒れていたらしい。
そして、服に狐と思われる動物の毛がたくさんついていた。
今は大学に進学して祖母と二人で暮らしている。
今考えると狐にしては大きかった気がする。
でも、頷いたのは私が死ぬ事を了承するって意味じゃなかったんだろうか。
今は幸せに生活しているから、死ななくて良かったけど。
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深夜の電話
もう4年くらい経つのかな・・・
当時、親友(以下A)には、大学で知り合った○恵ちゃんという彼女がいました。
私達と2人はよくつるんでいて、どこに行くにもほとんど4人で1セットという関係でした。
その日、Aは深夜までのレンタルビデオ(某ウ○アハウス)のバイトを終え、自宅に戻ったのは夜中の2時頃だったと言います。
週末のせいか、いつも以上に忙しかったので、帰宅するとそのまま寝入ってしまったそうです。
暫くしてから、不意に着メロが流れたそうです。
携帯を取ると○恵ちゃんからでした。
「なんだよ こんな時間に」
と、時間も時間だけに不機嫌そうにAが言うと、いつもは明るく答えるはずの○恵ちゃんが、その時は明らかに何かが違う様子だったそうです。
『まだ、起きてたんだ。ごめんね』
彼女の最初の返事はこれだったのですが、何か電波状態の悪いところにいるみたいで、時折『ジー』とか『シャー』とかいう音が、語尾に混ざっていたそうです。
「どこにいるんだ?」
とAが尋ねると、
『前に言ってあったけど、今日は田舎から友達が出てきてるから、みんなで深夜のドライブ中』
と、彼女は答えたそうです。
Aは「そういえば、そんな事いっていたなぁ」と、その事を思い出したので、
「あんまり、夜遊びしないで帰ってこいよ。電波悪いなぁ、高速からか?」
と、眠気もあったので、早めに電話を切ろうとしたそうです。
だけど、なぜかその日は彼女がなかなか電話を切ろうとせずに、しまいには
『就職するならここがいい』
とか、
『○○くんは胃が弱いんだから食べ過ぎるな』
とか、どうでもいいことをひたすらしゃべっていたそうです。
Aが
「どうした?なんかあったのか?」
と聞くと、最初は○恵ちゃん黙っていたのですが、なぜか涙声で
『ごめんね。ごめんね。なんでもないの。ごめんね』
と繰り返したそうです。
Aも気になったそうですが眠気には勝てず、明日会う約束だけをして電話を切ったそうです。
次の早朝でした。
Aが○恵ちゃんのお母さんからの電話で起こされたのは・・・
首○高速湾岸線から四○木方面に向かう分離帯で、○恵ちゃんの乗った車がハンドル操作を誤って、分離帯に激突するという事故を起したのでした。
高速隊の人の話では、乗っていた4人は全員車外に放り出され、ほぼ即死状態だったそうです。
○恵ちゃんも近くの病院に搬送されたそうですが、途中で亡くなったそうです。
Aがお昼過ぎに○恵ちゃんの自宅に行くと、憔悴しきった顔のお母さんがいきなりAに泣き付いて、
「ごめんね○○くん。もう○恵とは会えないの。ごめんね」
と、繰り返したそうです。
その時なぜか、昨日の○恵ちゃんの『ごめんね』を繰り返していた電話を思い出したそうです。
そして、落ち着いた頃に、あるものを手渡されたそうです。
それは○恵ちゃんの持っていた壊れた携帯でした。
おかあさんの話では、搬送先の病院で右手にしっかりとストラップが絡まっていたそうです。
ただ、搬送された時間をお母さんに聞いて、Aはふと疑問を感じたそうです。
搬送先の病院に着いた時間が、“午前2時35分”だったそうです。
しかし、その時間は確かにAが電話で話をしていた時間だったので、理由をお母さんに説明し、○恵ちゃんの履歴を調べようということになりました。
・・・確かに履歴は、2時35分を過ぎてからも通話中だったそうです。
Aは今でもこの話を思い出すと、
「あの時、電話を切らなければ・・・」
と、電話を切ったことを悔やむそうです。
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焼死体
10年以上前の話です。
当時学生だった私は、友人とドライブに出かけました。
昼間にもかかわらず『横須賀の心霊スポットを見に行こう』というものでした。
場所は、ご存知の方はマニアと呼ばれる『旧*部倉トンネル』
当時、横浜・横須賀道路は開通していたものの、完全竣工までは至っておりませんでした。
車ではトンネル跡までたどり着けなかったため、車を降りて徒歩で坂を登っていった記憶があります。
トンネル跡まであと少しという所で、私と友人はほぼ同時に、急にある方向を見つめました。
何故って?それは得体の知れない臭いが漂ってきたからです。
何かが腐って強烈な臭いを発している様な・・・
ここで帰ればよかったのですが、余計な好奇心が、後に最悪の事態を招く事を当時のバカ2人組は全く予測しておりませんでした。
さて、無用心にも臭いのする方へ近づいていったバカ2人組。
あまりの臭いに、
「もう止めるか。こりゃ」
と思っていたところ、6~7m先に黒い物がある事に気がついた。
「なんだありゃあ?しっかし、くせーなぁ。何かの死骸か?」
あたりは背の低い草むらで(10~15cm位の草が生えていた)私が事もあろうにズカズカと近づいたところ、
「ブオオオオオオオォォォォォォンンンンン!!」
と、ものすごい音が。
「!」「?」
何と、無数のハエが飛び立ったのであった。
今まで生きてきて『蚊柱』は何度も見たことがあるが、『ハエ柱』にお目にかかったのはこれが初めてで、かつ、これ以後ない。
かなりおっかなびっくりになった2人組に、さらに追い討ちが!!
「おい・・・これ・・・人の形してねぇか」
「なぬ??ンゲェェェェェェェ!!」
皆さん、焼死体なるものを見た事がありますか?
当然、私は初めてでした。
まともに死体と目が合ってしまった。
一目散に逃げようとしたその時、友人が
「四方八方に何か散らばってるが、ありゃ何だ??」
「何、のん気な事言ってんだよ。アホ!」
が、足元を見れば、確かに何かを細かく切り刻んだものが散らばっていた。
紙のような物もあれば、薄いプラスチックのような物もあった。
比較的大きな破片もあったので、適当に拾い、御遺体から離れて並べてみると、何かの絵?女の子みたいな。
その間、友人は近くの公衆電話へ一目散。
当然110番通報。
戻ってきて言うなり、
「(警察が)着くまでここにいてくれってさ」
「・・・マジかよ」
このときは本当に鬱になった。
ふと、白い紙切れが近くにある事に気が付いた。
私達から向かって右数m先の所に。
「現状維持なんじゃねーのか??」
と言う友人の声を無視し、私は紙切れを拾った。
その紙切れにはこう書いてあった。
『ノロウ。ノロウ。コノヨノスベテヲノロウ。ワガウラミ、トワニハツルコトナシ。』
私は寒毛立った。
これ、遺書じゃねーの??
恐る恐る御遺体の方へ目を向けてみると、何と、顔がこっちの方に向いてるじゃあ~りませんか・・・・(T_T)
頭髪は燃え尽き全身黒こげ。
口の一部は腐ったのかハエに食われたのか、一部骨が露出している様にも見えた。
ここまでひどく焼けてるとなると、ガソリンかぶったみたいだな・・・(実は当時、私は科学を専攻していた院生でした)
もともと生物の肉体は、そう簡単には燃えない。
総体重の半分は水分なのだから、全身黒こげとなると、相当量の可燃性物質を浴びてから、自らに火を放ったとしか考え付かなかった。
そうこうしている内に警察が到着。
初めて事情徴収を受けましたです。はい。
担当のおまわりさんが、
「とんだもの見つけちゃったねぇ」
と苦笑いしながら私に言った。
私は「はぁ・・・」としか返答のしようがなかった。
おまわりさんが
「手に持っている紙切れは何?」
と聞いてきたので、
「近くで拾いました。遺書みたいです」
と答え、私は紙切れを渡した。
この時、私は妙に冷静だった事を覚えている。
ちなみに友人はガクガクブルブルで、事情を聞ける状態ではなかったそうな。
そりゃ普通はそうだ。
「その細かい物は何かな?」
と、別のおまわりさんに聞かれたので、
「御遺体の周囲に散らばってます。適当に集めてみたら、何かの絵みたいなんですよねぇ・・・」
私はこの絵に何か見覚えがあった。
実はこの絵が更なる戦慄を私にもたらす事になるとは、その時は夢にも思っていなかった。
友人は車を運転できる状況ではなかったので、私が運転して帰途についた。
家に戻り両親に事情を話した所、見事に沈黙された。
食欲など全くわかなかったので早々に寝ることにしたのだが、その時に私は思い出した。
「あの絵・・・確か、ミンキーモモっていうアニメーションじゃなかったか?」
正直言って私はアニメには興味がない。
が、予備校時代の知り合いに変わった奴がいて、そいつがミンキーモモ好きで、当時いろいろなグッズを予備校内で持ち歩いていたので、思い出したのだ。
真性ロリコンで医学部志望。
「ちっちゃい子が大好きだから、小児科医になりたい」
等とほざく、私が人の親ならば絶対医者にはさせたくない奴であった。
といっても、成績は理学部志望の私より悪かったので、まず医者は無理だろうなぁ・・・とは思っていた。
「そういやあいつ、どうしているんだろう・・・まさかなぁ・・・」
しばらく経って、同じ大学の予備校以来の友人が、私の所属する研究室にやって来た。
「時間ある?」
「ああ、いいけど・・・珍しいなぁ。何?」
「***が横須賀で、焼身自殺したらしいんだよ。1週間ほど行方が分からなくなっていて、親御さん、捜索願出してたらしいよ。それもさぁ・・・自分の周りにミンキーモモグッズ切り刻んで、ばら撒いたらしくてさぁ」
私は自分の血がみるみる引いていくのを覚えた。
「どうしたんだよ??おい!」
「それ・・・見つけたの。俺だ・・・」
絶句する友人。
これ以上、会話の必要はなかった。
4浪の末、受験したすべての大学の入学試験にPASS出来ず・・・という事だった。
覚悟の上の自殺だったのだろう。
奴は私に見つけて欲しかったのだろうか?
とにかく、未だにミンキーモモの絵を時たま目にしてしまうと、当時の『ハエの羽音』と『焼け焦げた顔』がフラッシュバックする事がある。
私の数少ない恐怖体験でありトラウマでもある。
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ドライブ
母から聞いた話。
(若い頃)母は、いつもの仲良しグループ5人で湖にドライブに行く事になったんだって。
その湖はどこにでもあるような普通の湖だったんだけど、いわゆるドライブスポットって言われる所じゃなかった。
地元の人しか知らないような、こじんまりした湖だったのね。
母達はよくドライブしててその湖にも行ってた。
その日も、いつも通りに車を走らせてた。
片道1時間くらいで湖に着いた。
景色を楽しんだり湖畔で談笑したりしているうちに、日がすっかり暮れて夜になった。
5人は帰ることにした。
車を走らせて30分位したら、5人の中のSさんが急に
「ついてきてるよ…」
って言い出したのね。
最初他の4人は「なにが?」って感じだったんだけど、今度はSさんが急に震え出した。
その震え方が尋常じゃなかったんで、母含め他4人は
「大丈夫?!」
とか言って、車の中にあった白いタオルとか自分のパーカーをSにかけてやってた。
そしたらSが
「白はダメ!連れてかれる!」
とかいって、頭を抱えてまたガタガタ震えていた。
母達は何がなんだかわからなかったけど、しばらくしてその異変に気付いた。
車の窓ガラスが誰かに叩かれてるのに気付いた。
低い音で何回も何回も。
でも、車は時速50キロはゆうに越えてたし、叩いてる人なんてもちろん誰もいない。
ただ音だけが響いてたんだって。
5人は悲鳴をあげ、Sと同じように震えた。
ドライバーも気を失いそうだったらしいが、なんとかこの状況から抜け出そうと必死で運転してたらしい。
1つトンネルがあったんだけど、トンネルに入ると叩く音はだんだん小さくなっていった。
そしてトンネルを出るころには音が無くなってた。
5人はなんとか戻ってこれたらしい。
母がゾッとしたのは、この体験だけじゃなかった。
翌日、あの湖から死体が上がった。
後でSに話を聴いてみると、車を叩かれてるとき意識は朦朧としてたんだけど、はっきりと
「おいてかないで」
って聞こえてたらしい。
Sはいわゆる霊感体質で、人よりもこういうことに敏感らしかった。
母が言うには、後にも先にもあれほど恐怖を感じたことはないそうです。
私も話を聞いてゾッとしました。
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良いバイト
俺の友達Nが、いいバイト見つけたって言ってきたので内容を聞いてみると、夜中に運転手をやるだけで一日で5万貰えるという。
次の土曜日、一日限りのバイトなんだと言っていた。
そして土曜日の夜中2時頃にそいつから電話がかかってきた。
「今、バイトでT山に来てるんだけどさ、このオッサンなんか怪しいんだよな」
何が怪しいのかと聞くと
「荷物を俺に見せないし、この仕事の事誰にも言うなって言うし、今も穴ほってるみたいなんだよ」
俺が
「まさか死体とか・・・」
というと友達Tは
「もし俺が行方不明になったら、坊主頭のオッサンに殺されたと思ってくれ」
と言って切ってしまった。
俺は、びびらせようとしてふざけてるんだろうと思った。
そして一時間後ぐらいに、またNから電話がかってきた。
「バイト終わったか?」
と聞いてみると、無言で切れてしまった。
その日はもう電話は無く、次の日になったのでNに電話をかけてみると電話に出ない。
夜の仕事だったので寝てるんだろうと思い、また次の日にかけてみたが全く電話に出ない。
その後、警察に捜索願が出ていると聞かされた。
まさか本当に殺されたんじゃないか・・・
とすると、2回めの電話は発信履歴からかけてきた犯人・・・?
あの電話の会話を全部警察に言おうかと思ったのだが、話が出来すぎていて俺が疑われるんじゃないだろうかと思って怖かったので、電話があった事とバイトでT山にいると言っていた事だけ警察に話した。
警察はT山を捜索したらしいが、死体は見つからなかった。
Nの行方もわからないままだ。
その後も知らないやつからの着信がたまにあるので、怖くてケータイの番号を変えた。
しかし犯人がNのケータイを見たのなら、名前も知られたという事になる。