「 後味の悪い話 」 一覧
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ボロアパートのシミ
うちのオカンがまだ20代、当時の彼氏と同棲するためにアパートを探していた時の話。
いわゆる『神田川』の時代で、貧乏だった2人は漸くボロい安アパートの一部屋を見つけた。
それでもやっと見つけた2人の愛の巣。
オカンと彼氏はその部屋を借りる事に決めた。
部屋は予想通り汚く、居間と台所の間にはデカいシミまでこびりついている始末。
大家のババアは
「雨漏りがねえ…」
と呟きながら部屋の点検。
浮かれるオカンと彼氏。
夢の同棲生活が始まって数日。
彼氏の仕事も決まりその初日。
体調のすぐれなかったオカンは、布団の中から彼氏の出勤を見送る。
ウトウトしだしてどれぐらい経っただろうか。
突然、オカンの体が強張る。
「…あ、来た」
金縛りだ。
部屋探しの疲れも溜まっていたのだろうが、何にしろ気分の良いモノではない。
暫く大人しくして過ぎ去るのを待っていたが、一向に金縛りが解ける気配が無い。
さすがに焦り始めたオカン。
そして、そのオカンの耳に聞こえてきた声…。
赤ん坊の泣き声だった。
尋常じゃない体験にオカンは金縛り状態のまま気絶。
次に目が覚めたのは、とっぷりと日の暮れた夜中だった。
その金縛り事件の翌日。
オカンは意識不明直前の高熱に襲われた。
風邪をひいた様子もなかったし、取り敢えず慌てて彼氏と病院へ直行。
高熱の原因は不明だったが、ただ一つ、オカンのお腹に宿っていた赤ん坊が流産していた。
医者は高熱の理由をこの流産だとし、数日入院した後、体力の戻り切らぬ体を引きずる様にしてアパートに帰宅した。
やがて体力も回復し、心身ともに回復したオカンは部屋の掃除を始めた。
あの床のシミは拭いても拭いてもなかなか取れなかったが、ふとおかしい事に気付いた。
大家のババアは『雨漏りがねえ』と言っていた。
しかし、この部屋は2階建ての1階だ。
雨漏りなんかする訳がない。
まぁこれだけ古いアパートだ、そう言う事もあるだろうと、部屋の隅にある小さな窓を拭こうとした時、オカンは見つけてしまった。
長い間借り手も付かなかったのだろう。
窓ガラスには埃が積もり、そこに指文字で
『生きたい』
『生きたい』
『生きたい』
翌日、大家のババアを問い質すとババアは漸く白状した。
以前、この部屋には気弱そうな若者が住んでいたと。
ある蒸し暑い夏の日。
その若者は居間と台所の間、その上にある鴨居にロープをかけ、自らの命を断ったと。
結局、流産とその話との関係は解らなかったが、後に聞いた話では、その若者の遺書の中にはその時付き合っていた女性に裏切られた事への恨み言が書かれていたとかいないとか…
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母娘
昨晩、電車内で隣に座った母親と娘(中3くらいかな)の会話。
母親:ナンバーズがあと1番違ったら当たってたんだけどねぇ。あと3500円しかないよ。明日の競艇負けちゃったら○○ちゃん(娘)にお小遣いあげられないね。
娘:うん・・・(虚ろな目)
母親:今からちょっとだけ新海(パチンコの機種)打ってこうか。アンタ、500円玉2枚持ってない?
娘:持ってない(虚ろな目)
母親はギャンプル依存みたいな感じでした。
見た目はDQNではなく、小汚い感じ。
娘が終始虚ろなのが非常に印象的でした。
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峠のお地蔵様
俺が工房だった頃、連れに族(笑)がいて、たまに一緒に峠とか走ってたんだわ。
で、まぁ族とかやってるような奴なんで頭は悪かった。
遠出してあんま土地勘のない山でちょっと一服ってことになった。
ちっちゃい地蔵が三体くらいかな?
並んでんのに気づいてね。
その族の連れが、おもむろに地蔵を蹴ったんだよ。
踏みつけるような感じで。
そしたらさ、地蔵の首とれちゃった。
苔の生えた地蔵だったから相当古かったんだろうね。
連れはテンションあがっちゃって、地蔵の首を崖の下に蹴り落としたんだ。
ひでーことすんなーと思ったが、俺も特に止めなかった。
祟りとか霊って信じてなかったし。
半年くらいたってその連れ、バイクで事故起こして帰らぬ人になった。
普段からラリってバイク乗るような奴だったから、遂に事故ったかくらいにしか思わなかった。
まぁ悲しい気持ちではあったけど、これだけなら別におかしな話ではない。
ただ、事故って崖から落ちた連れの首、とうとう見つからなかった。
もう一つ不思議なのは、地蔵の首が元通りになってたこと。
地蔵の正確な数は覚えてないし、もしかしたら首無しを撤去したのかもしれんが。
普通、撤去とかしないよな。
ちなみに俺には害はなかったですよ。
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痛い思い出
中学、高校の頃の痛い思い出。
俺の先輩は札付きの悪で、その親父が地元で有名なヤクザの一番偉い人。
先輩の母親は薬物中毒で他界という、痛い家の悪い先輩がいた。
中学から付き合ってた彼女カナ(仮名)は、普通のちょっとだけ裕福な程度の家の次女。
頭は学校で一番優秀で、容姿も激カワイイで俺の自慢だった。
若い頃は俺も結構悪い事をしたもので、その先輩と授業抜け出しては遊びまくった。
中学のあるとき、先輩の家で先輩の彼女と、俺と俺の彼女と、先輩の友達と先輩の5人でプチ宴会みたいなのをやる事になった。
行ってみたら凄いデカイ和風の家で、黒塗りの高そうな車もいっぱいあった。
ガラの悪い明らかに堅気とは思えない人たちが出入りしていた。
5人の予定が、何故か先輩の彼女はこないので4人で遊ぶ事になった。
不良といってもまだ子供で、普通にプレステしたりして遊んでいた。
「負けたヤツは浣腸な」
なんて言って罰ゲームで遊んでたけど、当然俺の彼女もいたので彼女が負けたときは
「先輩、女はちょっと・・・」
と俺は必死に止めようとした。
すると急に不機嫌になって、微妙な雰囲気になってきたんだ。
先輩「じゃ、コーマンみせろや」
俺「・・・それもちょっと、一応、俺の彼女だし」
彼女「あははは・・(苦笑い)」
何話したかはよく覚えてないが、ますます気まずい雰囲気になったので俺は帰りたくなってきた。
そのとき隣の部屋から、先輩の親父さん(ヤクザ)が見にきたんで挨拶した。
先輩の友達はびびってしまったのか、すっかり無口になって途中で用事とか言って帰っていった。
そろそろ暗くなったので、俺も帰ろうとしたとき。
俺「そんじゃあ 失礼しました また明日っす」
先輩「おう」
俺「カナ、帰るべ」
先輩「この子は泊まっていくって、な?」
なんでそうなるんだ?いきなり。
俺は冗談じゃないと思った。
でも先輩には逆らえないし、逆らうと何をされるかわかったもんじゃない。
俺は、ほんの十秒くらいだったが、まるで何時間も考えるように葛藤した。
結果的に彼女を連れて帰ることはできなかった。
そして次の日から彼女は学校にこなくなった。
正確には行方不明になった。
彼女の親が捜索願いを出していたんだ。
俺は事実を知っていたけど言わなかった。
いや言えなかった。
結局、俺が最後に彼女に会ったのを知ってる友人の発言で、俺が警察に呼ばれて全てを話した。
ヤクザの家に置いてきたと・・。
それから半年くらいたったが、彼女は以前行方不明。
ありえないことだが、警察も地元のヤクザの一番強い組の親分には手を出しにくいのだろう。
噂じゃ芸能界や政治にも先輩の親は手を出していると聞いていた。
彼女の両親も、実の娘がヤクザの家に囚われているというのに、びびって何もできないのか。
いや、普通の人間ならそうだろうなと半分あきらめた。
それからさらに半年、俺は高校生になっていた。
悪友の先輩との付き合いもまだあった。
それから、先輩の家に行く事もなんどかあったが、彼女は見なかった。
俺は勇気を出して聞いた。
俺「あの先輩、カナってどうなったんすかね?いやね、あの女とかどうでもよかったんすけどね、一応きになったんすよ(ホントはまだカナが好きだった)」
すると驚くべき回答が帰ってきた。
なんとカナは先輩の親父の女になっているという。
それだけじゃなく、夜の相手もよくしていてヤクザ親父のお気に入りらしい。
今は離れた場所のマンションに住まわされているらしい。
それだけではなく、中学のころから年齢を偽って、マイナーなAVや、ソープやキャバクラで働かせられ、金を稼がされているらしかった。
俺は怒りがこみ上げてきたが、あまりに無力で何もできなかった。
俺はあの夜のこともきいた。
俺がカナを置いてきた夜だ。
実はあのパーティは仕組まれていて、女を先輩のヤクザ親父に差し出すためのオーディションみたいなものだったらしい。
先輩が自分の彼女をドタキャンさせるはずだ。
それでヤクザ親父の目にとまり、俺が帰った後すぐに寝室につれていかれ、次の日の朝までヤクザ親父に抱かれたらしい。
しかも今までヤクザ親父の子を妊娠して中絶させられたのが数回あったらしい。
そのとき中学から高校に入ったばかりで、俺は壮絶なショックを受けた。
でもヤクザの世界では珍しいことではなく、むしろ普通らしく、もしかしたらAV女優やキャバクラ嬢ってそういう子が多いのかもしれない。
俺は彼女の住んでいるマンションに行った。
どうしても見たかった。
会いたかった。
行ってみてびっくりした。
すごく高級なマンションに住んでいたのだ。
俺は何時間も張って、彼女の出てくるのを待った。
出てきた彼女を見て驚いた。
あの真面目そうなカナが、髪を茶髪というか金髪に染めて化粧をしまくって、ド派手な白い毛皮のコートを着ていたのだ。
クビには悪趣味な金のネックレスがしてあった。
ヤクザ親父の趣味でつけさせたらしかった。
ヤクザ親父が通っているらしく、俺はずっと夜中まで張っていた。
先輩の父親、ヤクザ親父がきてすぐに扉の前で濃厚なディープキス。
その後、カナとヤクザは朝まで出てくることはなかった。
俺はむなしさや悲しさより怒りがこみ上げてきた。
あれだけ清純そうな女が、あんな穢れた事を平気でするなんて。
あれだけ俺を好きだといったのに、簡単にヤクザの女になるなんて。
なったらなったで俺には電話一つなしかよ。
一夜で女って心変わりする生き物なんだな。
俺は失望した。
信じていたのに、あんな親父に抱かれるくらいなら舌を噛んで死んで欲しかった。
自分の親を裏切り、俺を裏切ってのうのうと生きてやがって。
第一しばらく暮らしてからならまだしも、最初から毎晩中田氏で抱かれまくっていたのが信じられない。
青春の痛い思い出でした。