怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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忌箱

忌箱

これは高校3年の時の話。

俺の住んでた地方は田舎で、遊び場がなかったんで近所の廃神社が遊び場というか、溜まり場になってたんだよね。

そこへはいつも多い時は7人、少ない時は3人くらいで集まって煙草を吸ったり酒飲んだり、たまにギター持って唄ったりしてた。

その廃神社は人がまったく来ないし、民家や商店がある場所からはけっこう離れていたから、高校生の俺達には、もってこいの溜まり場だった。

ある日学校が終わって、まあその日も自然と廃神社に溜るかぁみたいな流れで、俺と他の3人の計4人で自転車で廃神社に行ったんだ。時間は4時過ぎくらい。そこで煙草吸ったりジュース飲んでたりしてた。

11月頃で、ちょっと寒いなぁなんて言いながらくだらない話に花を咲かせて溜ってたんだよね。そしたら、ザッザッザッザッって神社の入り口から足音が聞こえてきたんだ。

最初は他の連れが溜まりに来たのかなぁと思ってたんだけど、神社の境内に入ってきたのは、70代位のおばあさんだった。俺を含めた4人とも会話がピタッと止まってね。

その廃神社に溜まり始めたのが高校1年の頃からで、約2年間溜まり場にしてたけど、これまで一度も人が来た事がなかったんでビックリしたというか、人が来る事自
体が意外だったんだよね。

俺たちは神社内の端側にある段差のある場所に溜まってたんで、おばあさんは俺たちの存在に気づいてない。

俺や俺以外の連れも、なんとなくバレたらいけない気がしてたのか、みんな黙ったままジッとおばあさんを見てた。

おばあさんは神社の賽銭箱(賽銭箱には落ち葉やゴミしかないのは2年前にリーサチ済みです)の前に立って拝んでた。拝んでた時に聞き慣れない言葉で何かを呟いてた。

1分くらい拝んだあとに、賽銭箱の後ろのほうに、片手に持っていた鞄を置いて帰っていった。

「おぉビックリした!」
「まさか人が来るとはww」
「ちょっと怖かった~」

とか話してたんだけど、当然気になるのは、おばあさんが放置した鞄。俺はなんとなく嫌な予感がしてたんだけど、連れのAが賽銭箱のとこまで走って鞄を持ってきた。

「札束が入ってたりしてw」とか言ってるんだけど、俺はわざわざ神社に置き去ったものだからロクでもないモンなんだろうなぁと思って「そんなもんあそこに置いとけよぉ~」とか言ったんだけど、他の3人は興味しんしん。

仕方なくA達が鞄を開けるのを見てた。

「なんだコレ」と言うBの手には古新聞。相当古そうなのは新聞の黄ばみ方で分かったんだけど、

記事はよく覚えてないけど「なんたら座礁」「○○が逮捕」みたいな文字が書いてあったのは覚えてる。

新聞の日付は1972年って書いてあった。

「なんで24年前の新聞が…」ってみんな不思議がってた。

Cもちょっと気持ち悪くなったのか「やめとくか?」と言い始めたんだけど、AとBは更にガサゴソと鞄を物色しはじめた。

今度は財布。Aは「おぉ金入ってたら○○ストアで酒買って宴会するかw」と言いながら財布を開けた。

見た事もない札が一枚(昔のお札じゃなくて外国の札?)とお守りとレシートと紙切れが入ってた。AとBはすぐに興味なくして「なんだよ~金入ってねぇよ」と言ったんだけど、俺は中身に興味があったんでCと一緒に見てみた。

お札はたぶん中国か韓国のかなり昔の札。レシートはボロボロでよく読めない。
お守りには梵字みたいな、たぶん梵字ではないけど、中国語か韓国語で書かれたお守りかなぁって感じの物。

俺とCが財布をくまなく調べてると、Aが中から小さな木製の箱を取り出した。

「なんだよコレ!お宝っぽくないか!?」と言ってAは開けようとするんだけど開かない。俺は「やめとけよ。どうせロクなもん入ってないって」って止めて、Cも「気持ち悪くなってきた…」って言うのに、AとBは必死に開けようとしてる。

最初はコイツら馬鹿だなぁwって思ってたんだけど、AとBはその箱を地面に叩きつけたり、二人が引っ張り合いをし始めたりして、開けようとする行為がだんだん激しくなり始めた。

「ちくしょぉぉ開けよコノヤロ~」
「なんで開かないんだよぉぉぉ」
AとBはそう叫びながら必死に木箱を開けようとしてるんだけど、その姿が尋常じゃないって感じになってきて、

俺もCも唖然として見てた。力づくで止めさせようとも思えないくらい、目が血走ってて必死なんだよ。

「お、落ち着けよ」と言ったんだけどAとBには、俺やCの存在すら目に入ってないみたいな感じで木箱をガンガン地面に叩きつけたり踏んづけたり、引っ張り合いしてる。

ヤバイなコレと思ってさすがに止めに入ったんだけど、Aはガグガッと口からわけのわかんない声というか音を出して俺を突き飛ばした。

俺とCだけじゃどうしようもないから他の連れを呼ぼうにも、当時まだ誰も携帯電話を持ってなかったから、誰かを呼ぶにもその場を立ち去らないといけない。

俺もCも一人になりたくないけど、仕方ないからCとジャンケンして俺が勝って、俺が他の連れ達を呼んで来る事になった。

もう五時過ぎくらいで、少しずつ夕陽が落ちかけて暗くなり始めたんで、Aたちの行動とか周りの雰囲気がすごく気味悪く感じた。

2年間溜まり場にしてた場所がまるで別の空間に思えたんだよね。AとBがコンビプレーしながら木箱を必死に開けようとしてる異常な姿を見ながら

「じゃすぐ戻る!」と走り去る俺に
「頼むから早めに帰ってきてくれよ~」とCは泣きそうな感じで返事した。

神社の階段をダッシュで降りて、自転車を置いてる場所まで走って自転車に跨いで走り出そうとした時にギョッとした。

さっきのおばあさんが神社の向かい側の道でニタニタ笑ってた。俺の方じゃなく神社方向を見て笑ってた。

俺は神社に戻るわけにもいかず、おばあさんに話かけようなんて事も怖くて出来ず、必死に自転車をこいで、神社から一番近いDの家に向かった。

家から出てきたDは最初「は?なにそれw」と言っていたが俺が必死に説明してたら、ようやくヤバイ状況に気づいたみたいで、

「早く行こう!いや、Eも呼ぼう」とDの自宅からEに電話して「早く家に来てくれ」と頼んでEの到着を待ってたんだけど、

Eは20分以上待っても来ないし、外がかなり暗くなり始めた事に焦って、Dの弟にEが来たら神社に来るように伝言を頼んで、俺とDだけで神社に戻る事にした。

二人で自転車こいで、神社に到着した時は、さっきいた場所におばあさんはいなかった。

俺とDは神社の階段を駆け上がった。

以下、記憶はここまで。

次の瞬間俺は病院にいた。

エッと思って起き上がろうとしても起きあがれない。一生懸命起き上がろうとしたら、足にギプスがはめてあって、腕には手首に包帯。急に全身に鈍い痛みが走って「うぉぉ」って小さい声が自然に出て、寝たまま苦しんでたら、しばらくして病室に看護婦か入ってきてそこからもよく覚えてないけど、とりあえず家族が来たり先生が来たりして慌ただしい感じになった。

どうやら交通事故に遭って4日間目を覚まさなかったらしい。
「Aは?Bは?神社は?Dは?」とまくしたてて聞く俺に、

母さんは最初は「今はいいの。今はゆっくり休みなさい」とか言ってはぐらかしてたんだけど、

何度もしつこく聞いたら、「A君もB君も亡くなって…D君は重体で…」と言われた。意味が分からずポカーンとしていると、

ABD俺の4人が自転車に乗って歩道を帰っていたら、トラックが突っ込んできて、AとBは即死。Dは意識不明の重体。
(後日、図書館で地元新聞読んだらたしかにそう書いてあった)

駆けつけた担任の先生はボロボロ泣きながら「よかったなぁよかったなぁ」って言ってくれてるんだけど、

「おかしい…俺は神社に向かってたんだけど。AとBは箱を開けようとしててDに助けを呼んで神社に行ったんだけど」と説明した。支離滅裂だったのか親や先生は理解してくれなかった。

その日の夜は寝たり起きたりを繰り返しながら、連れが死んだショックより(もちろん悲しかったけど)「おかしい…」という感情が強かった。

翌朝一番でCとEが見舞いにきた。Cは泣きながら「すまん!俺、30分待ってもお前が帰って来ないからAとBを置いて逃げた」と言った。

俺は「あ~そうなのかぁ」としか返事が出てこなかった。せめて神社付近で待っておけよと思ったけど言えなかった。

Cは「あの後、Aが「もう少しで開く!開く!」って叫び出したんだよ。Bも「開く!開く!」って…それが怖くて逃げたんだ」と言った。

Eは「よく分かんないけど、Dの家に行ったら、Dの弟から神社に行くから来てくれってお前らが言ってたって聞いて、すぐに神社に行ったんだけど、お前らいなくて、別のがいたから仕方なく帰ったら、次の日事故ったって聞いて驚いたよ」

「別のって?」

「いつも溜ってる場所に何人かいて、暗くてよく見えなかったけど、お前らの自
転車はないし、雰囲気がなんかおかしかったからすぐ帰ってきたんだよ」

CとEと神妙な顔をしたまま、20分くらい話して帰っていった。

その後は、刑事が来ていろいろ聞かれたから正直に全部話したけど、神社の話より事故の瞬間の話しか興味がないみたいで、

「事故前後はまったく覚えてないです」って言ったら、残念そうに帰っていった。

後日、何度かまた刑事や相手の保険屋や弁護士が来て、話を聞かれたけど、神社のくだりより、事故の時の話しか興味ない感じだった。

事故を起こしたトラック運転手は精神的な疾患を持ってたらしくて、事故後に逃走して自殺を図ったらしい。

でも死にきれずに病院にいて、会話にならない状態だって聞いた。重体だったDは結局あの後亡くなった。Dの弟は俺を恨んでいるみたいで、退院後にDの家に線香あげにいった時も無視された。

俺は、もともと東京の大学に進学が決まってたから、一月から学校に登校して3月に卒業した。周りは妙に優しくしてくれたけど、俺は気まずくてCやEとは距離を置いた。

Cは4年前に自殺したらしいけど、俺は長い間地元に戻ってないから疎遠になってて詳しい話はしらない。

いろいろあったから地元とは距離を置いてきたけど、昨年11月に親父が亡くなったから12年ぶりに地元に帰った。

大学卒業の時に一度帰ったけど日帰りで一時間位しかいなかったから、じっくり帰るのは12年ぶり。葬式など全部終わって、すぐ東京に帰ろうと思ったけど、母さんがなんか不憫でギリギリまで実家にいる事にした。

昼間やる事もないんで、12年ぶりに徒歩で田舎町をウロウロしてたら、急にあの廃神社が気になった。

本当は思い出したくもないんだけど、その気持ちに反して神社が気になる!行きたい!と強く思った。

あの時の関係者といえばEだけど12年間疎遠になっていたし、連絡しにくい。仕方なく一人で行った。

歩いてみると、神社は家や学校からかなり遠かったんだなぁと思った。

神社に比較的近かった行きつけのスーパーは潰れてビルになってたり、近くにコンビニや大きなショッピングモールやマンションが出来てたり、12年前とは景観がかなり変わってた。

神社はまだあった。あの日以来の神社だった。俺は急に怖くなった。心臓が高鳴り、手のひらは汗でジトッとしてきた。

引き返そうと思ったけど、わざわざここまで歩いて来て今さら引き返すのも抵抗があって

思いきって恐る恐る階段を昇った。変わらない風景のはずだった。でも変わっていた。

神社は綺麗になっていた。賽銭箱や社や石造りの道も綺麗になっていた。

近くに若い女の子が箒を持って掃除していた。可愛い娘だった。俺は人見知りするタイプだから、普段は絶対に声をかけたりしないんだけど、神社のこの変貌っぷりを目の当たりにして、迷わず声をかけれた。

「すみません。あの…あのですね。10年以上前に神社に来てた者なんですが」

すると女の子は「はい?」と答えた。

関係ない話だけど顔はアッキーナにソックリだった。髪のとても長いアッキーナだった。

「10年くらい前に神社によく来ていたんですよ、実は」
と言ったら

「少しお待ち下さい」と箒を置いて誰かを呼びに行った。

俺は周囲を見渡した。12年前にはなかった神社の横のアパートのバルコニーで洗濯物を干している主婦が見えた。

「どうされましたか?」神主さんなんだろうけど、私服を着た上品な顔立ちの年輩の白髪のじいさんが近寄ってきた。

アッキーナは箒を持ってお辞儀して別の場所を掃除し始めた。

「すみません。12年前に…」と説明をしたら、神主さんは驚いた表情をしながら聞いていた。

一通り話をした。二年間溜り場にしていた事や、おばあさんの話、事故の話。

「あ~なるほど…。実はこの神社は3年前に○○神社(よくわかんない)から分祀されて復興したんです。」

俺は「はぁ…そうですか…」と答えた。

「まさかそんな話を聞けるなんて思いもしていませんでした。その箱はその時におそらく開いたんでしょうなぁ…。アレは冥界の門みたいなもんで、私も実際に手にとった事はないんですが…」

「なんですか?冥界の門って?あの箱どこに行ったんですか?」

「いやぁアレにはいろいろな呼び方があって私どもは忌箱(キバコ)と呼んでます。私がここに来たのが半年前で前任の者が失踪したんですよ。詳しい事は私も聞かされていないんですが、前任者が忌箱に取り込まれたという話を聞きましたが…」

「ええ~!!忌箱ってなんなんですか?Aたちが死んだのも何か原因があるんですか?!」

「分かりません。う~ん…命をとる事もあるのかもしれませんね…申し訳ないですが…」

それから神主さんはお祓いをしてくれた。神主さんは神主衣装に着替えて、30分くらい物々しい雰囲気の中でお祓いの儀式をしてくれた。

アッキーナはたまに様子を覗きにきた。俺は正座してお祓いをしてもらいながらアッキーナにさりげなく微笑んだ。

アッキーナはたぶん微笑み返してくれて、出て行った。

「忘れなさい。アレはあなたの人生にたまたま通りかかった通り魔のようなもの
ですから」

と言われた。俺は話せて良かった事と、お祓いのお礼を言って帰った。

その後は東京に戻って普通に生活している。

東京に戻ってしばらく経った頃から夢をよく見るようになった。3日に一回は見る。

あの日、Dと神社に到着した後の光景だった。

神社に到着した後から事故に遭うまでの内容が断片的に夢に出てきた。

この前は、トラックにひかれたのは運転手の責任じゃなく、俺とDがAとBと車道で揉み合いになっていたところに衝突してきた内容だった。他にも神社の境内でのおぞましい内容の夢を見た。内容は誰にも言っていない。

夢の内容を口にしたら、とても恐ろしい事が起こりそうだからだ。

最近になって俺はこれは夢じゃなく記憶なんじゃないかと思い始めている。

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案山子の神様

案山子の神様 

俺が高校の時の話

田舎住まいなので
通学するときにはいつも
田んぼの脇道を通っていた。

その日も家に帰る為、
いつものように田んぼの脇道を
カエルの鳴声を聞きながら歩いていた。

すると田んぼの中に
ピンク色の割烹着のような服を着た人が
立っているのに気が付く

「ああ、田植えか何かしているんだな」

そう思って良く見てみると、
何か動きがおかしい。

片足で腰をクネクネさせながら
白いビニールの紐のようなものを
新体操をしているかのように
体の回りでグルグルさせている。

何と言うか、
フラフープをしているような、
そんな動き。

変な汗が俺の体中からフツフツと湧き出てきた

しかもソレは片足でケンケンしながら
少しずつコチラに近付いて来ている

ゲコゲコと蛙の鳴声が響く夕焼けの田んぼの中で
俺は何故か動けずにソレを見ていた。

腰をクネクネさせて
ピョコピョコとコチラにやって来るソレに
顔は無かった、と言うか見えなかった。

写真でブレた時みたいな、
激しく顔を振っているそんな感じ。

体は普通に見えるのに、
まるで顔の部分だけぼやけていると言うか・・・。

俺は目がかすれたのかな?
と思い何度も目を擦ってみたが
ソレの顔は相変わらず見えない。

しかも、もう目の前まで来ている

「ああ、こらもう俺の人生終わったな」

そう思ったと同時に涙が物凄い勢いで流れた。

目が痛くて開けていられない程に・・

俺はその痛みと恐怖で気絶してしまったらしく、
次に目を開けた時には自宅の布団の中でした。

そこには俺を囲むように親父と祖父、
祖母と近所の坊さんが居て、
なにやら念仏のようなものを声を揃えて唱えている。

なんだかその状況が可笑しくて

「ブフッ!」

と、吹き出すと祖母が

「ジッとしてろ!」

グッっと俺の体を押さえ付けて
低い声でそう言った。

結局それは俺が目覚めてから
1時間程続いたのかな。

その後、祖母に聞いた話しでは
俺が出会ったアレは「案山子の神様」とかなんだけど、
その案山子は寂しかったのか何か知らないが、
俺を自分の仲間にしようとしたらしい

「連れてかれたら一生泥の中で暮さなきゃいけねえんだぞ」

と祖母は最後に言いました

おかげで今でも田んぼに
案山子がポツンと立っていると
恐くてしょうがないです。

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おにいさん

おにいさん 

生まれは都市圏だけど、まだ緑が多かったころなので遊び場には事欠かなかった。
家の近くに大きな空き地があって、毎年盆踊りをそこでやっていたのを覚えてる。
その空き地が潰されて大きな工場が出来たときに、自分の遊び場所がなくなってすごく悲しい思いをした。
そんな頃の話。

小学校の頃はやんちゃだった。
いつも悪戯ばかりして怒られている様な。
そんな俺と同じようにやんちゃなNとY。
3人で遊んでいれば何でも出来そうな気がしたもんだよ。

夏休みのある日、自転車で川を遡って行って水のきれいなところで川遊びをしようってことになったんだ。
朝から自分たちでおにぎり作って、水筒に麦茶詰めて、リュックを担いで、一生懸命自転車を漕いでさ。
そういったちょっとした冒険旅行みたいなことは誰でもするだろ?
俺たちもそう。

それで朝早くから3人集合して川を遡ったんだ。
もちろん川原を遡っていくのは無理だから川に沿った道を延々と。
時には迷いながら2時間ぐらい遡った山のふもとで、ちょっと休憩しようってなったんだ。

もちろんそこは知らない町でさ、電柱には五木町って書いてあった。
面白いのは同じ色の青い屋根、同じ大きさの家がいっぱい並んでたのをよく覚えてる。
おかしいな?とも思ったんだが、それでも3人いれば楽しくって気にならなかったな。

自転車を川沿いの道の端に寄せて止めてから俺たちは川原に降りた。
天気は少し曇ってたけど蒸し暑いうえに自転車漕いでたせいもあって汗でベタベタ。
一刻も早く川の中で体を冷やしたいって思って川の方へ向かったんだけど、そこにはその町の住民らしき人が20人くらい、大人も子供も集まってなんかやってるんだ。
一言も話しをせずに黙々と作業をしてる感じ。
大人も子供も。
老若男女を問わず。
土を掘ってるように見えて、何となく異様な光景に思わず俺たちの足は止まってしまった。

そして示し合わせたかのように一斉にこっちに向けられる数十の瞳。
今でもハッキリ覚えてる。
その瞳にはこう、なんて言ったらいいのかな?生気的な物が無くって虚ろな感じだった。

そう思ったか思ってないかのところで、その集団の中から小さな女の子の声で「…のおにいさんが来たね」って聞こえた。
その瞬間、ホントに瞬く間に今まで生気が無かったのにすごく優しい顔になって話しかけてきたんだ。

「どっから来たんだ?」とか「3人だけで来たのか?そりゃすごい!」とか。
オレとNはそのギャップが怖くなってあまりしゃべる事が出来なかったんだけど、人見知りをしないYはいつの間にか溶け込んで笑いながら話しをしてる。

周りの住人もニコニコしてるし俺たちに疲れただろ?とか言いながら、紙コップに入れたお茶とかお菓子とか出してくれる。
最初は警戒していた俺もNも段々慣れて来てお茶やお菓子をもらっていろんな話をした。
今日はこの町でお祭りがあるからよかったら参加していきなさいとか言われて喜んでたっけな。

その後、町の子供たちと川遊びをして遊んだ。
魚を捕まえたり水風船もって追いかけっこしたり。
この町のみんな人懐っこくてトイレに行くにも必ず誰かがついてくる。
だから一人ぼっちになる事が無くて楽しく遊べたんだ。

夕方になったのでそろそろ帰らないといけないと3人で相談してたら住人のおじさんが、今日はお祭りがあるから遊んでいきなさい。自転車と君たちは車で送ってあげるからと言われて3人でどうしよう?と悩んだ挙句その提案を受ける事にした。

遊びの途中で帰るなんてその頃考えられなかったし、いつも遅くなって親に怒られていて、慣れていたってのもある。
それを伝えると目をまん丸にして「そうかそうか」って喜んでくれた上に、「他のみんな(この町の子供)は法被に着替えてるから君たちも着替えるといい」と赤い法被を3つ手渡された。

Tシャツの上から法被を羽織るとおじさんは「よく似合ってるよ。やっぱ主役はこうでなきゃ」って褒めてくれたんだ。
その後おじさんに連れられて、町の人でごった返した祭りの会場に連れて行ってもらったんだ。

会場は所狭しと出店が並んでいて、普通であれば真ん中には櫓が組まれているはずなのにそれは無く、ひな壇みたいなものがあってその上で太鼓と笛が小気味良い音を奏でてる。
そのひな壇の近くにお神輿が大小二つあって大きいほうは15人くらいで持つ奴で、小さいほうはその気になれば一人でも担げるようなミニ神輿だった。

なんだあれはと思っていると法被を来た子供たちが、どこからともなくわらわらと俺たちの周りによってきた。
総勢で20人くらいいたのかな?
高学年の子も低学年の子もいてみんなニコニコしてるんだけどみんな法被の色は紺色だった。
「俺達と法被の色が違うね?」というと高学年ポイ子に「おにいさんだからだよ!」と言われた。
俺より高学年ポイけど違うのかなって思ったんだけど、まぁいいやって思って、子供みんなで遊んでた。

出店に行くとお金はいらんからって何でもくれる気前のよさ。
俺たちも他の子供もわたあめ食べたり、射的したりで存分に遊ばしてもらった。

大人はというと遠巻きに子供たちを眺めながら酒を飲んでいる。

しばらく遊んで、頃合いとみたのかさっきのおじさんが中央のひな壇の上で大きな声でしゃべり始めた。
一斉に止む笛の音や太鼓の音。
「それではおにいさん祭りを開催します!!」という声と共に歓喜の声。
大人も子供も。

俺たちも訳も判らずはしゃいでる。

子供たちは全員がそのおじさんに連れられてさっきの神輿があったところに。
町の子供たちはあらかじめ場所が決められていたかのように大きな神輿の回りに順序良く整列した。
この神輿はスゴくキラキラしていて装飾がすごい。
もちろん子供が持てる大きさなので、テレビなんかで大人が担ぐ神輿に比べればたいしたことはないが、一見して豪華だということは子供ながらにも判った。

俺たち三人はどうすればいいのか判らないのでマゴマゴしているとさっきのおじさんがやってきて「ほら、君たち三人はこの小さい方を担いでね」と大きい神輿のすぐ近くにある小さい神輿を指差した。
近寄って見てみると、こまごまとした装飾に屋根の上には、炎のような飾りがついていて昔はきれいだったのだろうが、今はだいぶ汚れている。
泥汚れ?らしきものもあり”おじさん”を振り返ると「この前の祭りで落としちゃって少し汚れてるけど、大丈夫だよ」と笑顔で言われ「なぁんだ」と安心したのを覚えてる。

配置は俺が進行方向で言えば前で担ぐ事になり、Yが左でNが右だった。

すると”おじさん”がまた大きな声で「それでは神輿を担いでくださ~い」と大きな声で指示を出すと大きな神輿はエイッという掛け声と共に子供たちの肩に担がれた。
それを見た俺たちも掛け声を入れつつ小さな神輿を担ぐ。
いや、担ごうとした。
その瞬間、見た目と違う重さにビックリして神輿を落としそうになった。

あわてて駆け寄る”おじさん”が支えてくれて落とさずに済んだが
尋常でない重さだ。
”おじさん”の方をチラッとみると「ホラホラ頑張って。周りを5周くらいするだけだからね」とやさしく言われたので頑張ってみる事にした。

両肩が神輿の重さで軋むが歩けないほどじゃない。
ソロソロとゆっくりではあるが3人で時計回りに歩き出した。
それと同時に笛と太鼓の楽しそうな音色が始まる。
いつの間にか大人たちが近寄ってきていて「ほらほら、頑張って~!」とか応援してくれる。

最初は重さのあまりおっかなびっくりだったが少し慣れてきたのか歩く速度より少し遅いくらいのスピードになっていた。
このときで半周くらいだったかな。

もう少しで1周というところで突然後ろから「ドン」っと押される感じがあった。
よたよたと千鳥足になったが何とかこらえることができた。

何があったのかと後ろを振り返ると真後ろに大きな神輿を担いだ子供たちがニヤニヤしながら立っていた。
どうも大きな神輿が俺たちの神輿に追突したみたいだった。

一番先頭の子供が「ごめんね~」と謝ってきたので「大丈夫」とだけ返してまた歩き始めた。

ようやく1周。
これをあと4週か、と思い少し息を入れたところでまたもや「ドン」ときた。
同じようによろめく俺達と神輿。
後ろを向くとやっぱり大きな神輿の子供たちがニヤニヤしている。
一番先頭の子供が「ごめんね~」とまた謝ってきた。
あまり口をきく余裕がないほど重いので軽く頷きまた歩き始める。
いつの間にか大人たちは近すぎるほど傍によってきており、手を伸ばせば触れられるほどの距離だ。

みんな口々に「頑張れ」とか「もう少し」とか応援している。

その応援を支えに歩こうと数歩行った所で、今までにはないくらい激しい「ドン」がきた。

思わず神輿から手を離してしまい、地面に手を突く。
神輿が落ちると思い上を見上げると傍まで寄った大人たちが落ちないように支えててくれたようで神輿は宙に浮かんでいる。
別の大人の手が俺を起こし神輿のところに立たせると、神輿を支えていてくれた手が無くなり神輿が両肩に食い込む。
後ろを見る余裕もないが耳には「遅いからさぁ、ぶつかっちゃうんだよねぇ」という声が聞こえてくる。

一瞬ムカついたが今は早くこの神輿を下ろしたい一心だったのでまた歩き始めようとしたその瞬間を狙って「ドン」とやられた。
同じようにつんのめり、両手が地面に付きそうになったところで大人の手に支えられる。

神輿も宙に浮いている。
また起こされて神輿を担ぐ。

またすぐに「ドン」
また転びそうになると大人の手が支え…
また神輿を担ぐ…

明らかに異常だ。
周りの声も「頑張れ」とかいう応援じゃなく「早く立て」とか「早く歩け」などの怒声に変わってきている。
半分泣きそうになりながら神輿を担ぐ3人。

周りの大人の中には竹を縱に裂いた竹刀のようなものでケツのあたりを叩いてくる人までいる。
もう嫌だと思って逃げようとしても周りの大人によって引き摺られて戻される。

おかしい。
何かおかしい。
そう思い、ふと近くにいた大人の顔を見てびっくりした。
すでに笑顔ではなかった。
まるで敵を見るかのような目で俺たち3人を睨みつけていた。
周りの他の大人たちも同じだった。
皆が皆すごい形相で睨んでいる。

子供心にこれはまずいと思い、何とか逃げ出そうと考えるが、それを見越したように後ろから「ドン」とやられてまた転んでしまった。
荒々しい手に立たされ、無理矢理神輿を担がされる。

そのわずかな間で周りを見渡すと俺たち3人の神輿の周りに大人が群がっている。
進行方向の右手にいつもひな壇があるので大人は少なめだ。
大人のほとんどは左手と正面に集まっている。
真後ろには大きな神輿が迫っている。

神輿を担がされる前にYとNの顔を見た。
眼が合った。
軽く頷くと神輿を担がされて大人たちの手が無くなった瞬間に右側に神輿をわざと倒した。

よろけて倒れたと思った大人が手を出して神輿を支えようとする。
俺たち三人はその隙を見てひな壇の方に駆け出した。

後ろからは大人の声で「捕まえろ」という叫び声が上がっていたが、その頃には一心不乱に笛や太鼓の音を鳴らす大人の脇をすり抜けていた。
闇雲に走って川沿いの道まで来るとそのままの勢いで下流に向かって走り出した。
どのくらい走ったか判らないが、息が切れるまで走り続けて、もう走れないところまで走ったところで後ろを振り返ると、懐中電灯の光らしきものが10個以上見える。
その光景に寒気を感じて3人で無理矢理走り出した。

少し走るともう息は続かない。
もう走れないと思ったときに目の前に自分たちの自転車が見えた。
3人で何も言わずに飛び乗り、ひたすらペダルを漕ぎ続けた。
怖くてもう後ろを振り向く余裕もない。
必死だった。

自分の知ってる道に出てもしゃべる余裕が無くって、ひたすらペダルを漕ぎ続け、一番近い俺の家に3人とも転がり込んだ。
玄関から入るなり安心して泣き出す3人。
怒りまくっていた母親も父親も呆気に取られていたと思う。
そりゃそうだ、やっと帰ってきたと思ったら赤い法被着て、傷だらけで泣き喚く息子を見たらビックリするに決まってる。

一泣きしてようやく事情聴取。
もちろん他の二人の親も呼ばれた。
今日起きたことを包み隠さず話した。

川を遡った事、山のふもとの町で親切にしてもらったけど、重い神輿を担がされたこと。
年上におにいさんと呼ばれたり、町人の態度がおかしくなり、すごい目で睨まれた事・・・

親たちはみんな頭の中が「?」だったに違いない。
でもその中でNのお父さんが聞いてきた。
「その町の家の屋根の色全部青じゃなかったか?」
俺たちはみな「そうそう」と頷いた。

Nのお父さんは
「やっぱりか」といって説明を始めた。

Nのお父さんによると、その地域は昔から差別の強いというよりは仲間意識が強い地域で、みんなが同じ家に住み、同じように暮らしていくという社会主義みたいな考えがある地域らしいんだ。
そんな村の昔話で、鬼の一家が出た話ってのがあるらしい。

近くの山には鬼の一家が住んでいて、それが時々ふもとに下りてきては悪さをして逃げていく。
一番悪いのは父親であろう大鬼で、人を犯し、殺し、食み、これを至上の楽しみとしていた。
あとは4匹の小さな鬼で子供のようだったが父親と同じように悪さをしていたという。
そんな事を繰り返していたらしい。
その町(そのときは村か)も結構な被害が出て、襲われて命を落とすものや、攫われていく事があったらしい。
仲間意識の強い村の中でのこと。
どうにかしようと村の中で思案しあった結果・・・

鬼一家をもてなす事に決めたらしい。
鬼が来たら村人みんなでニコニコしながらお出迎えをして、考えられる全てのもてなしをしたらしい。

そんなことしたら鬼が一家で居つくかもしれないって考えるだろ?
最初は警戒していた鬼も段々慣れていき、結局一家で居ついてしまった。

それでもみんなニコニコ。

ある日いつものようにもてなしていると、大鬼は酔っ払って眠たそうにしている。
それを察したある村民が大きな戸板を持ってきて「この上に横になってください。私どもが寝床まで運びましょう」と言った。

その申し出に大鬼も気を良くし、戸板の上に横になって運んでもらう事にした。
そしてそのまま大きな寝息を立てて眠ってしまった。

ふと、鬼は眼を覚ましたが体が動かない。
見ると体が鎖でグルグル巻きにされ、腕を動かすことすらままならない。

騙されたと気づき子鬼を呼ぶが返事が無い。

大鬼の体は戸板に乗せられていたが、少しずつ動いている。
山を登っているようだった。

動かない体を無理して戸板の下を覗き込むと、大鬼の体を持ち上げているのは4匹の子鬼だった。
その4匹全てが大怪我を負っている。

大鬼の寝ている間に村民にやられたのであろう、片手をなくしている子鬼もいれば足がもげ掛かっている子鬼もいた。
4匹に共通しているのは4匹とも両目を潰されていると言う事だった。

その子鬼が大鬼の乗った戸板を担いでいるのである。
子鬼を村民の1人が

「鬼さんこちら、手の鳴る方へ」

と手を叩いて導いてる。
周りには人、人、人。

その全ての人の手にはそれぞれ鍬や鋤、竹で作った鎗などがあり、一番近くにいる村民は、たまに子鬼を後ろから手に持った得物で叩いて喜んでいる。
それが山を登っていく。

子鬼が倒れそうになると村民が得物で叩き、起こし、また担がせて歩かせる。

そのうち一匹の子鬼が歩けなくなった。
足がもげ掛かっていた子鬼だ。
村民は容赦なく得物で打ち据え、殺してしまった。

その死体を戸板の上にいる大鬼に乗せると大鬼は大きな声で吼えたという。
それでも村民は気にしない様子で山を登らせる。

少し進んだところでまた子鬼が一匹殺された。

子鬼2匹では戸板を担ぐ事が出来なかったので村民の若い奴が手伝ってやった。
数時間かけて山頂に上ったところで残りの子鬼2匹が殺された。

それを見た大鬼は怒り狂った声を上げたが村民は黙々と薪を拾っている。
大鬼の上に死んだ子鬼の死体を重ね、その上に薪を山のように積み上げて火をつけた。

大鬼は死ぬまで吼え続け、完全に息絶えるまで数時間かかったという。
その間村民は宴を開いていたとか。

そんな事があり、鬼退治をした村として後世の村人に伝えるため、毎年その時期になるとお祭りをする事にしたらしい。

鬼役が4人ほど(ほとんどは子供)で重い神輿を担ぎ、それを村民全員でからかいながら練り歩くというもので、昔は「鬼祭り」と呼ばれていたらしい。

しかし、村内で鬼役をするのを嫌がる村民が増えたため、たまたまその時期に来た旅人とかに無理矢理させることにしたらしい。
鬼退治のときと同じように、最初はもてなしておいて、祭りがあるといって参加させ、無理矢理神輿を担がせる・・・

近年は「鬼祭り」を「鬼さん祭り」と改めてはいるが余所者が行くと必ず神輿を担がされてひどい目に合うので、知ってる人はこの時期は誰も近づかないようにしてるという。

それを聞いて俺たちは身震いした。
あの時言ってた「おにいさん」は「お兄さん」じゃなくって「鬼さん」・・・?

そう考えていたら、Nのお父さんがぽつりと「ものの本によると山に住んでいたのは「鬼の一家」じゃなく「山賊の一家」らしいんだよな」って。
じゃぁ、殺されたのは5匹の鬼じゃなくて5人の・・・

それからしばらくは外出できず、家の中で少しの物音にも震えてた。

怖いサイト.com

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湖の祠

俺の田舎には、山に湖があるにも関わらず、何故か淡水ではない珍しい湖があるわけよ。

これだけで特定されるかもだが…そんな田舎に住むおばさんの話。

おばさんが寝ていると夢を見た。

夢の中に白い蛇が出て来て、『私が住んでいるところを直して欲しい』と言ったんだそうだ。

目が覚めたおばさんは、白い蛇ってありがちな話なもんだから、冷静に考えて、大きめな地震が来る度に津波が来て、最近も床下浸水したからそんな夢を見たんだろう、と流していた訳。

で、また数日して寝ていると、今度は『此処だ』と、その白蛇に具体的な映像を見せられたそうだ。

んでその映像が、さっき言った湖のなかに石造りの見たことも無い祠。

おばさんは聞いた訳。

『貴方は誰ですか?』って。

そしたらその白蛇が『湖の主だ』って言ったらしい。

朝起きて、伯母さんが伯父さんにその夢の話をしたら、その伯父さんが

「主だなんて言う主がいるのかww」

なんて笑ったもんだから、伯母さんはむきになって、

「湖の中に石の祠があるんだから、あんたもそれ見れば少しは信じるだろうよ!!」なんて食って掛かった訳。

でも、伯父さんはそこに40年も住んでるけど祠なんて知らない。

どうせ夢だろうと言ったんだけど、あまりに伯母さんがしつこいので、伯父さんは持っている手漕ぎボートを車に乗せて湖に向かった。

で、湖に着いてから伯母さんが夢でみた場所を探していると、確かに夢で見た場所があった。

「ここ!!ここ!!」

伯父さんは、伯母さんが指差す崖縁の下までボートを漕いで、へりにボートを着けて水中を覗いてみた。

何かあるが、祠かどうかがはっきり判らないので、伯父さんは潜って見てみたそうだ。

そうしたら、あった。

石の祠が。

伯父さんもパニクって、新しい祠を作らなきゃ!!って事になったんだけど、役場に相談にいってもデムパ扱い。

一緒に役場の人間も連れて確かめさせて、役場の人間も驚いたらしいけど、どう申し立てをしたら良いかの相談から始まった。

イライラした伯母さん夫婦が

「もういい!!自分達で作るから!!」

って話になって、業者に頼んで見てみて貰ったら、業者は

「新しいもの作るよりは、これを綺麗にした方が手っ取り早い」

と言ったので、伯母さん達は業者に任せた。

その後、祠がきちんと綺麗になってからは白蛇は夢に出て来ず、水害も完全ではないが減ったみたい。

【乙女アプリ】

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言い伝え

私が子供の頃、祖母から聞いた祖父の話です。

私の産まれは漁師町で、海にまつわる話を子供の頃よく聞かされました。

『霧の出てる凪のよい日は漁の類はしてはいけない』

祖父が若い頃、こんな日は海坊主が出るからと言われていた。

「子供騙し」だと船を出して海へ出て釣りをしていた。

海には祖父以外誰も船を出しておらず、とても静かだった。

釣りを始めると、面白いくらい魚が釣れる。

「こんなに魚が釣れるのに 船を出さないなんて、もったいない」

そう思いながら2時間もすると船一杯の魚が釣れた。

祖父は早々に引き上げ陸へ戻った。

大漁の魚を持って。

そして、家に帰って魚を料理しようとしてゾッとした。

釣った魚全て、目がなかったそうだ。

さすがに食べることも出来ず、海へお返ししたそうだ。