「 謎 」 一覧
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空き家の女
小学校低学年の頃。
両親の用事で、俺は知り合いのおばちゃんちに一晩預けられた。
そこの家は柴犬飼ってて、俺は一日目の暇つぶしにそいつを連れて散歩に出かけた。
土地感のないところをやたらめったら歩き回ったんで、迷子になってしまった。
シャイボーイだった俺は、他人に話し掛けることもできないし、連れてる犬は役に立たないしで、ウロウロしてるうちに夕暮れ近くになってしまった。
しかも、ある場所を通りかかったとき、急に犬が足を踏ん張って動かなくなってしまい、俺はそいつ抱えて歩き出したんだけど、異様にクソ重たい犬だったような気がする。
そうやって立ち往生してた場所の右手に、2軒つながりのような形の空家があった。
当時、昆虫集めに凝ってた俺は、いい虫(カマキリとか)でもいないかと、犬をひきずってそこんちの草ぼーぼーの庭に入り込んだ。
んで、しばらく草をかき分けてるうちにいいかげん暗くなってきて、こりゃやばいと顔を上げた。
空家のほとんどの窓は雨戸閉まってたんだけど、俺と玄関をはさんで向こう側の窓の雨戸だけが少しだけ開いてて、そこから女の人が顔を突き出してるのが見えた。
顔つきとか覚えてないけど、確か女で、両目閉じたまま顔を左右に振ってたと思う。
とにかくキショイ動きだった。
俺は「ギョエェェェーー!!」と、思ったわりに声も出ないまま腰ぬかしたけど、一目散に空家から飛び出した。
それからどうやっておばちゃんちまでたどり着いたのか忘れたけど、おばちゃんに半泣きで空家の女のこと言ったら、おばちゃん怒り出して、なんでか分からんけど、すぐさま頭をバリカンで丸坊主にされた。
その後、知らないおっちゃん連れてきて、呪文みたいなの聴かされた。
それに、出かけてたはずの両親も急遽呼び出されたり、結構大事になった。
以来、おばちゃんちには一度も行ってないけど、犬は結局帰ってこなかったと思う。
すんません、おばちゃん。
つか、これ最近思い出したことなんだけど、あれは一体なんだったんだろう。
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小窓から見えるもの
前に住んでたマンションの話なんだけど、俺は2階の角部屋に住んでた。
そこは3DKのマンションで、学生の俺には広すぎる状態ではあった。
でも、都内ではないから家賃は80000円。
バイトもしてたし、仕送りもあるし、5万くらいで1ルームに住むより全然いいわってことで、そのマンションに住んでたんだけど、住んでから気付いた。(しかも3ヵ月後くらいにwwwww)
道路挟んではす向かいがセレモニーホールだって事に。
その時はマジで「うわぁ・・・。」って思った。
しかも、リビングに小さな小さな出窓がついてて、そこからセレモニーホールが丸見え。
だから夜通し明かりがついてる時なんかは、あぁ、今ここに死体あるのか・・・とか、何かちょっと怖い想像もしてしまったりしてた。
まぁ一応カーテンつけてるし、別に害はないしってことで、逆に、その小さな出窓を開けて外を眺めながらタバコを吸うってのが俺の日課みたいになってたんだよね。
そんなある夜。
いつもの様に部屋の電気を落として、出窓開けてタバコ吸ってたんだ。
そしたら、ふと視界の隅で何かが動いてるのを捉えた。
何の気なしにそっちを見ると、セレモニーホールの屋上を誰かが歩いてる。
ちょうどその時、セレモニーホールは色の塗り替えをやってたから建物の横に足場もあったし、作業員かな?と思ったんだよね。
その時は不思議と怖いとかはまったく思わなかった。
でも、夜中も3時近いのに塗り替えやらないよな・・・と思って、メガネを取ってきてもう一度よく見てみた。
その瞬間、めちゃめちゃ怖くなった。
屋上を歩いてると思ったのはまず間違いで、どう考えても屋上のフェンスを乗り越えてフェンスの外を歩いてるんだ。
そこにどれ程のスペースがあるか知らないけど、普通の精神のヤツだったらそんなとこ歩くわけない。
次に、それはワンピースというか、白衣というか・・・何か青白っぽいスカートの様な服を着た女だった。
俺はマジでその瞬間、こいつ精神病患者で自殺する気だ!!って本気で思った。
その女は、両手を上に上げたり、横に広げたりしながらその屋上のスペースを右へ左へ行ったり来たりしてた。
横にスペースなんてないんだろうから、この時点でおかしかったんだろうけど全然気付かなかった。
俺は通報しなきゃ…って考えはまったく浮かばずに、何故かその光景に見入っちゃったんだよね。
ボケーっと。。。
そして、タバコの2本目を付けて、もう一度そっちを見た時に女が止まってて、明らかにこっちを見てるのに気付いた。
げぇっ!バレた最悪…って思うと同時くらいに女が両手を前へならえの感じで、俺の方にゆっくり下から上へ上げるように突き出して地面と平行に上がりきるくらいのところで、前のめりに倒れて行った。
マジで声も出なかった。
超ゆっくり女が倒れていくのが見えてた。
…と思ったのもつかの間。
女がこっちに向かって両手を伸ばしたまま、大きな口を開けてぶわ~って飛んで来た。
この時の俺のとっさの行動は今思っても奇跡。
すごい速さで出窓ガラスを閉めて、カーテンを引いた。
んで、後からカーテンの上からカギをかけた。
その行動が終わって、2秒後くらいだったと思う。
息をつく間もなく、その窓が、ドンドンドン!!!!!!!って三回叩かれた。
しかも、音の大きさや激しさからするに両手で。
マジで半分くらい腰を抜かしながら、手探りでリモコンスイッチで電気つけて神経ピリピリさせながらしばらく震えてた。
絶対にあの女入ってくる!って思って。
でも、結局、10分経っても20分経っても何もなくて気分的に落ち着いてきたから、今のは何だった??って思いだしてもう一度見てみようかな…って事になった。
それで何もなければ、何か安心して眠れるって思ったんだよね。
でも、カーテンを開けちゃうのは怖かったら、代わりにカーテンの隙間を片側押さえつつ、ほんのちょっとだけ親指分くらい開いてみた。
そしたら、そこに窓に思い切りギューッってされて、白くなってる指の一部が見えた。
後はもう、そのまま一睡もしないで朝を迎えたよ。
次の朝は思い切ってその窓を開けたけど、別に窓に何か手形が残ってるとかはなかった。
でも、俺はその時以来、一年以上、夜にそのカーテンは開けなかったし、出掛ける時もそのカーテンとリビングのメインのカーテンだけは閉めて出掛ける様になった。
夜に帰った時にそいつが張り付いてたりしたら怖かったから。
結局、その後は家では一度もそういう事に出くわした事はなかったけど、あの時のあの女が何なのか、何の目的で窓にへばりついていたのかは永遠の謎だろうね。
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廃校の靴
この前、兄貴に聞いた話。
兄貴が学〇院大学に通ってるんだが、そこにサークルとかが合宿する時に使うための寮みたいなんがあるんだと。
その近くに、めっちゃ古い廃校になった校舎があるらしいんだが、兄貴のサークルの二個上の先輩が、合宿でその廃校に肝試ししに行った時、何故かそこにあった子供靴を家にもって帰って枕の後ろにはさんで寝たんだって。
そんで次の日、枕をめくったらそこには何もない。
昨日確かに持って帰って来たはずの子供靴が無くなってたらしい。
その後、その先輩は右足怪我しまくって、大会とかも出場できなくなってしまったらしい。
その一年後。
大学サークルで合宿行った時に、皆でまたその廃校に肝試しに行ったらしいんだが、兄貴の一個上の先輩がその靴の話を聞いて、興味本位でその靴を持って帰って、同じようにその靴を枕の裏に入れて一晩寝たんだと。
そしたら次の日の朝、案の定その靴は枕の裏から消えている。
その先輩はグッスリ寝てて気づかなかったらしいんだが、合宿所の同じ部屋に泊まってた友人が言うには、夜中に誰かが部屋に入ってきたらしい。
その後、一個上の先輩も右半身怪我しまくりで大会出場断念。
あまりにも怪我が多いので、二人して御祓いに行ったら怪我がピッタリ止んだそうな。
来年あたり俺もその廃校行ってみる予定。
もし靴があったら持って帰りはしないが、写真くらいは撮ってくるつもりです。
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妙なもの
今はもうあまりないんだが、10代の頃は時折、妙なものが見えることがあった。
なかでも複数回見ているモノが以下に書く奇妙なもの。
最初に見たのは学生時代の友人Mのアパート。
友人が実家から出て引っ越してきたばかりのそのアパートは築何十年とかで、見た目にもいかにもなオンボロアパートだった。
イメージとしては4畳半フォークとか、男おいどんとかそんな感じw
引っ越し祝いで、別の友人Aと初めて部屋に行った時、入った瞬間からひどく暗いし、空気も悪いなあと感じた。
まあ立地的にも物件的にも仕方ないのかと思ったとき、そいつが目に入った。
そいつの見た目は50センチくらいの蛇みたいなもの。
色は紫がかった黒一色。
蛇というよりはウナギとか(巨大な)ドジョウに近いかも知れない。
目とか口とかは何もないが、両端は先細りでどことなく生物めいて見える。
そしてどういう仕組みかは知らないが、宙に浮いて部屋の電灯の周囲を漂ってる。
煙のようなものではなく、明らかに実体がある感じ。
表面の質感としてはゴムのようで光を反射したりは一切してなかった。
時折、体をくねらせる動きもどこか生物っぽい。
もっとも体を二つ折りみたいにしてたし、背骨とかはなさそうだが。
MもAもまったく気づいていない様子だったので、なにも言わなかった。
特にAはは少し前にとある恐怖体験をして以来、俺をその元凶のように思っているのでw
いやな感じがしたので俺は2人を飲みに誘い、そのまま帰った。
数ヵ月後(その間、意識して行くのを避けてたので)、再びMの部屋に行くとそいつはいなくなってた。
心なしか部屋も明るく、空気も淀んではいなくなってた。
その時は別にそんなものもいるのかくらいにしか感じなかった。
まあ、こっちの世界のものとは思わなかったけど。
その後、何回か同様のものを見た。
場所はバイト先の作業場だったり、大きなホールだったりいろいろ。
長さはは30センチくらいのものから4,5メートルくらいのものまで様々だったけど、太さは決まって5センチくらいだった。
そいつは、だいたい何もせずに宙を舞っているだけだったのだが、一匹だけ、バイト先で知り合ったパートのおばちゃんにやたらまとわりついているやつを見た。
やはりおばちゃんは気づいていないようだ。
因果関係はわからないが、そのおばちゃんはしばらくして大病を患ったとかでパートを辞めた。
そして、まもなく亡くなられたと聞いた。
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廃屋
俺がトラックの運転手をしていた時の話。
地図見て走っていたんだけど、俺のトラックじゃ潜れない高さのトンネルがあって仕方なしに迂回。
周りは田舎。
地図見る限りじゃ迂回路を走っていくと、大きな県道に出るから大して心配してなかった。
ところが、どこをどう間違えたのか県道へは出れず。
また地図見るも、おかしいな?あってるハズだけど?
外は暗くなり始めて、辺りは廃屋や廃車がまばらに見える。
更にうっそうと草が茂っていて、道を聞こうにも人は居ない。
道の先を見るとアパートが先に見えたんで、そこでUターンか、人が居れば道聞こうと思って行ってみたら人がいた。
なんか白髪のおばあさんがアパートの前で突っ立ってた。
気味悪いなあと思いながらも、トラックの窓越しに道を聞くと、ただ無言で指差すだけ。
「ホントにそっち?」て聞くも、頷くだけで終始下向いたまま。
で、俺は言われるがままトラックを走らせた。
嫌な予感してたんだけど、とりあえず走っていくと何か建物が建っている広場へ出た。
…行き止まりじゃねーかよ。
トラックの向きを変えようとハンドルを切ったらいきなり「ガスッ!」て音がして、「何か踏んだか?」と思って懐中電灯持って降りたが何も踏んでない。
どうも気になって懐中電灯で建物を照らすと…
火事で焼けた廃屋だった。
乗り込むとエンジン止まっていて、ヘッドライトの明かりがついたまま。
おかしいな?
セルまわってもエンジン掛からない。
んで、ふと見るとさっきのおばあさんが明かりの先に突っ立ってた!!
もうパニックで、何回もセル回してエンジン掛かると同時に逃げ帰ったよ。
走ってる途中も「バン!ドゴ!」てボディを叩く音がしていて、気が狂いそうになってスッ飛ばして走った。
途中、さっきのアパートが見えたけど…ガラスが割れて廃屋のように見えた。
チラ見でしか見てないけど。
パニックになりながら走っていると、もと来た明かりがある道へ出た。
行きに通り過ぎた酒屋さんが見えて、営業中だったので道を聞いて何とかなったけど、本当に酒屋さんが「人間」でよかったよ。
酒屋さんにこれまでのことを話すと、どうやら廃村に迷い込んでたらしい。
火事のあった建物は、豪農の家だったようで、継ぐ者がなく、1人暮らしのおばあさんが火事で焼け死んだ家らしい。
「あそこは誰も近寄らない」そうだ。
でも、変なところ曲がった覚えないけどなあ??
気になったのは…トラックのシャーシにいつのか解らない古い手ぬぐいが引っかかってたこと。
その後、俺が仕事中の怪我で入院していた時、近所の家が火事で燃えた。
それと、その時乗っていたトラックが入院中放火されて廃車になった。
オハライ、勿論行きました。