「 謎 」 一覧
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新聞にも載らなかった話。
とあるマンション(市内では自殺の名所で知られてる)で、女性の死体が見つかりました。
仰向けに寝かされた状態。
年齢は20~30後半くらい。
革のミニスカ-トにストレッチブ-ツ。
上は何故か、分厚い灰色か黒のセ-タ-の上に、鮮やかな朱色の薄手のカ-ディガンを着ており、ストッキングを履いていたそうです。
ブ-ツの片方が脱げかけの様な中途半端な状態で、死後数時間というところだったそうです。
第一発見者が救急車を先に呼んでしまったために、遺体が搬送されてしまったので、警察を呼んだときにはもう既に遅しでした。
遺体の状況を警察は発見者の方達から聞くしか術がなく、警察も
「ここは自殺が多いから自殺者でしょう」
と一言。
しかし、周りには多くの木が植えてあり、自殺である場合はその木々らが必ず折れたりしますし、遺体を見た感じでは外傷がなく、あまりにも綺麗すぎて、周りに血が飛び散った跡も無く、住人や発見者の目から見ても、『自殺者』では無い事は明らかだったそうです。
後日、新聞などチェックしましたが、まったく報道されずでした。
現在も報道されずです。
後日、警察から聞いた話では、
「外傷がないのに、全身の骨がすべて折れている状態」
とだけ聞きました。
被害者の女性がマンションで見つかった時刻は、朝の11時過ぎ。
しかし、朝10時からこの遺体発見までの間に目撃者はなく、発見される10分前にいたっても、幾人かは
「死体は無かった」
と証言しています。
問題は、このよく分からない事件が、警察で止まってしまっている事です。
報道されれば、少しは身元の情報も得られるかもしれないのに。
自殺も迷惑ですが、遺体遺棄はもっと迷惑ですし、被害者の方も浮かばれません。
怖いのは、こういう運命にある事件もあるということかな。
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謎の預かり物
これは大学の先輩が体験した実話。
その先輩は沖縄の人で、東京の大学の受験のため上京していた時のこと。
特に東京近郊に知り合いもいなかったので、都内のホテルに一人で宿泊していた。
何校か受験するため、2週間くらいの長期滞在だ。
そんな中のある日。
試験を終えて試験会場からホテルに戻ると、フロントの人に呼び止められた。
「A様でらっしゃいますよね」
「はい。そうですが・・・」
「実はA様宛に、他のお客様よりお預かりものがあります」
「えっ?誰ですか、それ?」
「さあ・・・他の従業員が対応しましたのでわかりかねます」
先輩は状況が理解できなかった。
なぜなら実家の親以外に、彼がこのホテルに宿泊していることは誰も知らないはずなのだから。
「人違いではないですか?」
「いいえ。お客様はA様ですよね?でしたら間違いございません。確かにA様宛に、お預かりしたものでございます」
「他のAという名前の人ではないでしょうか?」
「いえ、当ホテルでは現在A様という名前のお客様は、あなた様だけですので」
先輩はわけがわからなかったが、とりあえず自分宛だという謎の預かり物であるB5サイズの茶封筒を受け取った。
部屋に戻って、先輩は中身を開ける前にとりあえず実家に電話してみる。
しかし当然、実家の親はそんなもの知らないと言う。
やっぱり人違いでは・・・
先輩はもう一度フロントに言いに行こうとしたが思いとどまった。
先輩のA(ここでは名前は伏せるが)という名字は大変珍しい名前であり、その名前で確かに届いていたのだから、他の誰かと間違うはずもない。
ついに、恐る恐るその封筒を開いてみる。
すると中からは、一枚のレポート用紙が出てきた。
そこにはサインペンで、手書きの地図のようなものが描かれていた。
現在いるホテルから3つ先の駅から道が伸びており、簡略に描かれた道を順にたどって行くと、ある道の傍らに斜線で記された場所があり、そこに矢印がしてあって、その横に『ココ』と小さく書いてある。
封筒をもう一度のぞくと、中には何やら家の鍵らしきものが一緒に同封されている。
先輩はもう完全にわけがわからない。
同時にものすごく恐くなり、その封筒に中身を戻すと、無理矢理フロントに押し返した。
もちろん、その地図の場所に行ってみようなんて気にはとてもなれない。
幸いにも受験校は翌々日の1校を残すのみであったが、そのことが頭から離れず、試験にまったく集中できなかったそうだ。
先輩はその試験を終えると、当初は受験を全て終えた後の骨休めとして、東京見物をするためもう何泊かする予定であったが、それらをキャンセルして、逃げるように沖縄に帰った。
実話だけに、これ以上のオチはありません。
でもその先輩は、いまだにそのことは全くの謎であり、思い出しただけでも恐くなると言っています。
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漫画のアシスタント
4年ほど前、売れない漫画家をしていたときに、某マイナー系の雑誌でそこそこに人気のあった漫画家さんのところに、3日間という約束でアシスタントをしに行ったときの話です。
引っ越したばかりの、狭いながらも新築で綺麗で清潔そうなマンションで、その漫画家先生も修羅場の割には穏やかだし、先輩のアシスタントも気さくで良い人たちで、とても気持ち良く仕事が出来ました。
…2日目の夜までは。
2日目の夜。
皆で眠い目と脳を熱い日本茶で覚ましつつ、少し休憩していた時のことです。
誰かがその部屋に元からついているという有線をつけ、ちょっと懐かしめの歌が聞こえるチャンネルに合わせました。
皆疲れているので、無言でそれを聞いていました。
すると、音が大きくなったり、雑音混じりに小さくなったり…。
「かえって気になって仕事にならないね」
と漫画家先生が消しに立ち上がった瞬間、
「てすと」
と、滑舌の良いはっきりした子供の声がしたんです。
全員「?」と漫画家先生の方を見ましたが、先生は首を振るだけ。
「聞こえたよね?」
と誰かが言うと、
「混線したんじゃない?」
と誰かが答え、先生は有線を消して、皆で仕事に戻りました。
それから緊張の続く中、1時間ほど作業をしていると、今度は天井の方から
「てすと」
というさっきと同じ声がして、続けざまに、隣に座っていた先輩アシスタントの後ろの壁、私の足元に同じ声が…。
それでも手は離せない私達アシは、震える手を無理に押さえて、叫びたいのを我慢して仕事をしていました。
しばらく間があいて、またあの声が聞こえました。
それと同時に、先生が悲鳴をあげて飛び上がりました。
「肩に抱きついてる!」
先生は懸命に背中のモノを振り払おうとしましたが、それでもその最中に
「てすと」
という滑舌のいい子供の声が、本当に先生の方から何度も聞こえました。
生まれて初めてそういうモノを見た私は、恥ずかしながら気絶をしてしまったようで、その後の騒動は覚えていません。
目が覚めたら、他のアシスタント達はなにもなかったように、電話の応対をしていたり、朝食を作ったりしていましたが、先生は寝室から出てきませんでした。
ちなみに私のギャラは、ちゃんと日払いでいただきました(笑)
ただ、その先生は、その号の原稿を落としただけじゃなく、そのまま連載も休載から打ち切りになり、最近では見かけなくなりました。
『消えた漫画家』なんてサイトで時々見かける人ですが、どうか誰かは詮索しないでください。
これがここ数年の一番のしこりでした。
やっと人目に晒せて、いくらか浄化されたような気がします。
あの先生もアシスタントの皆も、無事に過ごしていますように。
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後ろに何かいるのか。。。
今年の夏祭りで変な体験した。
ベンチに座ってたら、いきなり見ず知らずの老人が私の前に来て、眉間に皺を寄せながら私をじっと見て、おもむろに手を合わせて、お経を唱え出したんだ。
後ろ振り返ったけど何もなかった。
そのちょっと前には、図書館のカウンターのおねえさんが私を見た途端に一瞬固まり、慌てて後ろを振り向いて、同僚のリアクションを確認するということもあった。
その同僚さんは目を見開いて、手を口に当てて私をじっと見てた…。
体臭とか顔がありえないほどやばいのかとも思ったけど、私のことを嫌ってる人からも「臭い」という悪口は聞いたこと無いし、夜の仕事の勧誘にはよく遭うから、ありえないほど不細工ってわけでもないだろうし。
何かものすごい悪霊に憑かれてるのか私。
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屋上へのエレベーター
3年くらい前の夏。
当時勤めていた会社のビルでの出来事です。
会社はビルの7階(たぶん)にあり、エレベーターに乗って帰ろうとエレベーター乗り場に行きました。
夜9時半くらいのことで、周りは非常灯程度の明るさでした。
9階で止まっていたエレベーターが7階に着き、乗ろうとしたその時、中に40代~50代くらいの女の人が乗っていました。
あれ?9階で止まったままだったし、8階で止まった様子もなかったよな?
と思いましたが、疲れていたし早く帰りたかったので、まあいいやと思い、エレベーターに乗り込み、1階のボタンを押しました。
すると、その女性に話しかけられました。
「これって、屋上へは行かないの?」
驚いて彼女を見ると、泣いています。
何でこんな時間に屋上・・・?それに何で9階でずっと止まってたんだ?
と思いましたが、とりあえず
「この時間はたぶん閉鎖されてると思いますよ」
と返事をしました。
するとさらに泣き出しました。
え?まさか自殺志願?なになに、どうしよう困ったな。
と思いつつ、他に何もできず、ひたすら彼女を慰め励ましていました。
こんな年(当時23歳)の、しかも見ず知らずの小娘の言う励ましが、どの程度彼女に届いたかはわかりませんが、彼女はビルの出口までついてきて、泣きながら
「ありがとう、あんたいい子だね。あんたにはきっといいことがあるよ」
と、お礼のようなことを言ってきました。
なんとなく不安だったので、タクシーにのせるか、駅まで一緒についていくかしたかったのですが、彼女に頑なに拒否され、入り口に彼女を置いて帰ることになりました。
翌日、会社の先輩にその話をしたところ、
「私、あなたの帰ったすぐあとに帰ったけど、そんな人見なかった」
と言われました。
まあ、それは彼女が私の帰った直後にそこを去っていれば、当たり前のことなのですが・・・。
でも気になるのは、なぜ9階で止まったままのエレベーターに乗っていたのか。
また、泣いていたのは、屋上に行きたがっていたのはなぜなのか。(やはり自殺・・・?)
そして、彼女は今どこでどうしているのか。
この季節になると思い出します。