怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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「 職場での怖い話 」 一覧

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闇金屋

数年前の話。

当時、金融屋をやっていたんだけど(裏金)その年の夏。

いつものように追い込みかけに行ったら、親はとっくに消えていたんだけど子供が2人置いてかれてた。

5歳と3歳。

上は男の子、下は女の子。

俺はまだペーペーで、周りの兄さんらと違って顔も怖くなかったらしく、家に行ったときすぐに下の子になつかれた。

ボロボロの服で風呂にも入ってなくて、

「いつから親はいないんだ?」

って聞いても答えない。

「何食ってたんだ?」

って聞いたら、上の子は下をむいて泣いた。

下の子が

「こっち」

って手を引いて裏庭に俺をつれていった。

破れた金網を通って出たところは小学校の裏庭だった。

「あのね、みーちゃんこれ食べたの」

って池を指す。

嫌な予感がした。

だってさ、その池って金魚がウヨウヨ泳いでるんだよ・・・。

2人を抱きかかえて家に戻ると、テーブルに小さいボウルと茶碗。

「お前ら・・・金魚食ってたのか・・・」

って聞いたら

「・・・うん」

すっげーやるせなくて涙がでて、俺もその場にいた兄さんらも泣いた。

すぐに兄さんがたくさん食べ物と洋服を買ってきた。

近くの銭湯で体を洗ってやった。

その後、俺らじゃどうしようもないから施設に連絡をいれた。

連れていかれる時に

「お兄ちゃんありがとう」

って言ってた。

・・・全然ありがとうじゃねーよ。

・・・俺たちがお前らの親を追いつめたのに。

俺を含めて何人かはこの後、仕事を抜けた。

【乙女アプリ】

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いわく

当時、俺はカラオケ店でバイトしてた。

働きはじめて1年くらい経ってたので、フロント、キッチン、ドリンク全部出来たんだけど、その日はたまたまキッチンだった。

土曜の夜はどこのカラオケも忙しいと思うんだけど、うちの店も例外じゃなかった。

ライバル店がなかったのも忙しさに拍車かけてたと思う。

終わりの見えないオーダーラッシュと戦ってるとパントリィ(正式な意味は知らんけど料理やドリンクの受け渡しをする場所をそう呼んでた)が、ざわついてるのに気付いた。

その雰囲気が、雑談が盛り上がってるって感じとも少し違って気になったんだが、キッチンは俺一人で手を止めるわけにもいかなかったし『雑談する暇あんなら手伝えよ!』っていらいらしてた。

ちょっとしたらバイト仲間がキッチンに来て、テンション上がり気味に

『自殺!自殺!』って…

そいつの話では、その客は障害者だったのか怪我してたのか、ともかく車椅子だったと。

一人で入店しフリータイムで入室したが、ファーストオーダーのドリンク以外なにも注文せず、歌ってもいなかったので『変だな…』程度には感じてたらしい。

フリータイム終了のコールをしても出なかった為、そいつがルームに行くと客はソファーに横たわってた。

叩いても揺さぶっても起きず、睡眠薬だかなんだかの瓶が転がってたので、慌てて支配人に報告。

支配人が呼んだ救急車で運ばれてったと…

救急隊員は車椅子を置いてった。

後日、客の家族が来てフリータイムの料金を払い車椅子を受け取ると、何度も謝りながら帰ってった。

正直、その客が死んじゃったのか助かったのかは結局、今もわかってないんだよね。

でも、それ以降うちの店で心霊現象や幽霊の目撃者が相次いだ。

自殺騒動から1ヶ月経ったぐらいかな?

俺はその日フロント担当だった。

平日だったし暇だったので、一緒にフロント担当した新人の女の子と雑談してると、自殺があったルームからコールがあった。

受話器を取ったのは女の子で

「はぁ…はぁ…」

と困惑気味に対応していた。

新人だったその子は、対応しきれないって感じで

「少々お待ちいただけますか?」

と受話器を俺に渡した。

俺が

「内容は?」

と聞くと、女の子は

「よくわかんないんです><;」って…

『新人では対応できないってことはクレームか?めんどいな…』と思いながら受話器を取り客の話を聞くと、ソファーと壁の間から手が出てくる…とゆう内容だった。

これには俺も「はぁ…はぁ…」としか対応出来なかったよw

電話じゃ対応しきれなかったので、ルームに向かった。

『手なんて出てるわけねぇだろw』

とか

『シャブ中だったら違う意味で怖いな…』

とか考えながらノックしてドアを開けると…

確かに手が生えてたw

客から聞いてた『手が出てくる』ってのとは感じが違って、壁とソファーの間から手が生えてた。

にょきっとw

客はスナックのママと常連のオッサンって感じの二人で、ママには手が見えてない模様。

ママはしきりに

「ごめんねぇ、この人飲み過ぎちゃったみたい」

と笑いながら謝っていた。

オッサンはママが謝る度に

「そんなに飲んでねぇよ!酔っ払ってねぇよ!」と怒鳴ってた。

「兄ちゃんにも見えるよな!」

と聞かれたが、そこは客商売。

『確かに手ですねぇ…』なんてのんきな対応ができるわけもなく…

自分には見えないが、気持ち悪いようなら即座にルームをかえると伝え、ルーム移動+それまでのルーム使用料のサービスで解決した。

ルーム移動の後、片付けに行ったら手は消えてたよ。

その後も従業員の半数以上が、閉店後の清掃作業中にスピーカーから男の声がしたとか。

未使用のはずのルームに人がいた等、何らかの心霊体験を経験した。

うちの店は5階建てで、件のルームがあるのは5階、キッチンは3階、フロントは1階。

営業終了後の清掃作業中は1フロアに一人だから、件のルームも一人ぼっちで清掃するんだ。

女の子は怖がるから男連中の仕事になってた。

それでも心霊現象が止まなかったんで、普段は事務仕事しかしない支配人をバックルームから引っ張り出して、モップと掃除機を渡して一度でいいから5階の締め作業をしてみてくれと、バイト仲間がお願いしたことがあった。

少し不機嫌そうに『何も起こらなかったら以降心霊現象で騒ぐのは中止な!』って…

まぁ、色んな意味で営業に支障が出てたんだろうな。

1時間もすると支配人が3階に降りてきて、キッチンを締めてた俺に

「ありゃ、洒落になんねぇなw」って。

モニターやアンプの電源を落としながら一部屋ずつ清掃していくんだが、5、6部屋清掃し終わったときに消したはずのモニターの電源が入ってるのに気付いたらしい。

落とし忘れたかな?程度にしか思わず、全部屋清掃して最後のトイレ清掃に向かった。

大便器の清掃を終えて個室から出ると、トイレから出ていく男の後ろ姿が見えたらしい。

バイトの誰かの悪戯だとはちっとも思わなかったって。

その男は全体的にぼやけてて、生きてる人間とは明らかに違ったから。

それでもバイトの手前、騒ぐわけにいかないと平静を保ってたんだが、清掃用具を片付けてトイレから出ると、全室のモニターとアンプの電源が入っててさすがに怖くなり、駆け降りてきたんだとさw

それ以降は、他のフロアを先に締めて全員で5階を締めるってルールが導入された。

他にも多々あったんだが、どれもたいしたことないからやめとく。

こっからは関係ない話なんだが…

7年以上前の話だし、当時バイトしてた奴で今も働いてる奴はもう一人もいない。

ただ、当時働いてた奴で今もカラオケ店の近所に住んでる奴がいて、そいつに最近聞いた話。

客として歌いに行ったときに、ドリンク運んできた兄ちゃんに

「昔ここでバイトしてたんだけど…(略)まだ幽霊でるの?」って聞いたらしい。

そしたら、

「バリバリ出ますよw」って…

ご丁寧にいわくまで教えてくれたらしいんだが、そのいわくってのが…

『この店のある場所、昔は墓地だったらしい…』ってさ。

もちろん出鱈目で、カラオケが出来る前は確か中古車屋だった。

よくある心霊スポットなんかのいわくってのは、こうやって誰かのホラによって創られてくんだなって思ったよ。

【乙女アプリ】

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占有屋

もうかなり前の話だけど…

土方やってたんだが、給料の不払いなんかがあって仕事辞めた。

無職で金もなく職場の寮も出た為、やむを得ず、しばらく連絡もとってなかった悪い友達に連絡した。

友達の先輩の更に先輩って感じでタライ回しに紹介されて、最終的に893屋さんのSさんに紹介された。

Sさんや、Sさんの知人(カタギ)の仕事の手伝いをしてお小遣をもらい、しのいでた時期があるんだけど…

仕事っつっても違法なもんじゃなく、解体現場の手伝いとかね。

まぁ、時には多少違法な仕事もあったかも…

893屋さんも不景気だったし、毎回小遣いもらってたわけじゃなく、一日肉体労働して飯食わせてもらうだけのときもあった。

文句なんてなかったし、あっても言えなかったが…

住んでたのも、そのSさんの家。

まぁ、俺は後輩の後輩って感じで紹介されたわけで、俺自身は893じゃなかったし、目指してるわけでもなかったから『部屋住み』なんて堅苦しい感じじゃなく居候って感じだったけどね。

洗濯なんかも奥さんがしてくれてたし。

でも、はたから見たらチンピラだったろうな…

別に、チンピラな俺!イイ!なんて思ってなかったし、早くそんな生活抜け出したかったけど、ああゆう世界ってのは爪先だけでも踏み込むと容易には抜けられないのよね。

そんな居候時代に知り合ったTさんって人がいる。

俺より3歳年上で、元自衛官。

お世辞にもいい人とは言えず、無責任でキレやすい。

金もあんまり持ってなくて、誘われて飲みに行ったのに会計は俺なんてこともあった。

(もちろん、ある時はTさんが払ってくれたが)

893ってよりチンピラだったな。

年齢的にも若かったし…

今はもう付き合いがないが、居候生活抜け出してしばらくは付き合いがあった。

居候生活から抜け出したばかりの頃。

夜中にいきなり血まみれでやってきたこともある。

ケンカって言ってたが、ケンカであんな返り血見たことない。

まぁ、真相はわからん…

服を借りると、血のついた服は適当に処分しといてと言い残して帰ってった。

今考えるとこっちのほうが洒落怖だなw

当時は麻痺してたわ…

ある日、Tさん電話があった。

T『今、暇か?』

俺『はぁ、まぁ…』

T『家の前にいるから出てこい』

暇じゃなくても連れ出すつもりだったんだろな。

そんな自分勝手な人。

車に乗せられ、到着したのは普通の一軒家だった。

そこまで理由も目的も聞いてなかった俺は、誰の家か尋ねた。

Tさんは『俺の家』ってあっさり答えた。

Tさんが一軒家なんて持てるわけがないと思ったが、もしかしたら後輩におごらせて地味に貯金してたのかとも思った。

そんぐらいセコい人だったから。

しかし、詳しく聞いたらどうやら占有屋的なことをやってるらしい…

『~~~~とゆうわけだから今は俺の家』だってさ。

占有屋手伝わされるんだと思って慌てた。

仕事もあるし無理だと伝えたが

『おもしろいもん見せてやるから一晩だけ泊まってけ』

とのことだった。

家の回りにはカタギには見えない債権者(おそらく)がいて俺はガクブルだったが、Tさんには逆らえなかったので一晩だけ泊まることにした。

家の中は、テレビもねぇ!ラジオもねぇ!って感じ。

Tさんが売り払ったのか債権者が回収したのかは知らんけど、空っぽだった。

クリーニングも済んでない。

まぁ、Tさんが占有してんだから当たり前だが。

中にはTさんの後輩の坊主頭がいたけど、すぐにTさんが帰らしたんで二人っきりになった。

話すこともないし酒飲んだ。

たいした会話もなく、しばらく飲んでるとTさんが酒買ってくると言い出した。

俺も行こうとしたんだが、家を空っぽにはできないとのことで却下された。

(そういや、おもしろいもんって何だったんだ?)

そんなことを考えながら、ぬるいビールを飲んでたら2階から足音がした。

俺はとっさにゴルフクラブ(Tさんが持ち込んだ)を片手に身構えた。

債権者が2階の窓から侵入したと思ったから。

今考えればそんな無茶するわけないけど、そん時はそう思ったんだよね。

殺られる前に殺れ!じゃないが2階に特攻した。

2階の4畳くらいの和室にオッサンがいた。

50代くらいの作業衣着た工場の社長サンって感じのオッサン。

マジで債権者が侵入してきたんだと思った。

そんぐらいハッキリ見えるオッサン。

でも、生きてる人間とはちょっと違った。

うまく表現できないけど幽霊だってわかった。

頭に浮かんだのは自殺。

競売物件だったし。

気付いてないふりして、そーっと忍び足で1階に降りたよ。

触らぬ神になんとやらだし。

俺は『見える』んだけど『祓える』わけじゃない。

祓う力があったとしても方法を知らない。

それに、他人の家でたまたま遭遇した幽霊を祓うなんて、幽霊にしてみりゃ迷惑な話だ。

とにかくTさんの帰りを待つしかなかった。

『おもしろいもんって、多分アレだな…』

とか考えながら一度読んだヤンジャンを何度も読み直してると視線を感じた。

Tさんか?と思い振り返ると…

オッサン下りてきやがった。

オッサンから目が離せなかったよ。

でも、どうやら気付いてるのは俺の方だけ。

オッサンは気付いてないみたいだった。

ずーっとオッサンを眺めてた。

最初の印象は、オッサンが何か探し物をしてるんだと思った。

でも、どうやらオッサンに目的はないみたい。

俺にも全然気付かずに家中を徘徊してる。

例えるならSIRENの前田父って感じ。

前田父と違うのは規則性がないことかな?

階段と玄関の間をふらふらしてる…だけ。

なんか漠然と『無害かな?』って思ったんだが、得体の知れないものはやっぱり怖い。

そんな状況でも逃げ出さなかったのは、オッサンよりTさんが怖かったからだな…

オッサンから一瞬たりとも目を離せなかった。

だって、ちょっとでも目を離したら、次に後ろ振り向いたときに超近くにオッサンの顔が!、とか色々考えちゃって…

そんな状況が1時間ぐらい続いたかな?

人間ってのは適当なのか、それとも防衛本能なのかわかんないけど、緊張が続くと寝ちゃうのねw

酒のせいもあるかもだが…

目が覚めて部屋を見渡したら、もうオッサンはいなかった。

時計見たら3時くらいだったかな?

時間確認した瞬間、再び背後に気配感じた。

振り向いたら階段からオッサン下りてきた…

ずっといたんだorz…

自分が寝てる間にもオッサンが家中を(自分のいる部屋も含め)徘徊してたって考えたら全身鳥肌立ったよ。

相変わらずオッサンは徘徊するだけだった。

次に2階に上ったのが最後で、オッサンが下りてくることはなかった。

今度こそ怖くて眠れなかったよ…

5時頃になって外が明るくなるのを確認したら、少し安心して眠りに就いた。

結局、Tさんは昼頃帰ってきた。

酔っ払ってたよ…

俺が昨夜のオッサンの話をすると『忘れてたw』って…

あらためて幽霊よりTさんが怖いって思ったよw

『あのオッサン、ここに住んでた人ですか?』

って聞いたら、住んでたオッサンは普通に生きてるよってさ。

『じゃあ、なんなんすか?』

って聞いたら

『知らねーよ!貧乏神じゃね?』って…

『貧乏神ってw』

って笑ったんだが、ちょっと考えたら『なるほどな…』とも思った。

幽霊?と一晩過ごしたのは後にも先にもこの日だけ。

どうせならオッサンじゃなくて美人の幽霊がよかったよ。

【自宅で】

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中古車屋

ある中古車屋で働いていた頃の話。

誰が見ても商品の割りにメチャクチャ安い車が1台あった。

車は高級だし、年式も新しく、キレイで程度もいい。

俺は、てっきり事故車か何かだと思って店長に聞いてみたら、

「あーあの車は七輪で3人自殺した車なんよ・・・。」

その遺族が処分して欲しいと、タダ同然で置いていったらしい。

案の定、次の日に速攻売れました・・・

【お持ち帰り】

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赤い服の女

大阪 梅田 泉の広場 赤い服の女。

三年近く前、泉の広場のところで、ヘンな女がうろついていた。

通勤の帰りによく見かけた。

三十前後で、赤い色のデザイン古そなドレスっぽい服着てて、小柄で顔色悪く目がうつろ。

髪は背中近くまであって、伸ばしっぱなしに見えた。

目立つ服の色と、なんか独特の雰囲気があって目がいってしまう。

でも怖い(キ印っぽい)感じして、何気なく観察はしても目はあわせんようにしてた。

女はいつも広場の中をうろうろしてた。

地下出口出たとこの何本か外れた飲み屋筋に、立ちんぼのねーちゃんの多い場所があって、そこのねーちゃんかな?と思ってた。

ある日の仕事帰り、広場内の薬局の店頭でコスメの安売り見てた。

私は買い物するの時間かけるほうで、そん時も多分一時間近く店にいたと思う。

その夜も女は広場をうろついていて、いつものことなんで特に気にとめてなかった。

でも店から出た時、視線感じて顔上げると、広場の真ん中の噴水を隔てて、女がこっち見てた。

なんかヘンな感じがした。

私は目が悪くて、眼鏡かけてても少し離れた場所だと相手の顔とかよく見えないのに、女は妙にくっきり見えたんよ。

3Dみたく。

目があった途端、気持ち悪くなった。

何か本能的に怖くて、びしぃ!とチキン肌立って。

(うわ、ヤバい)

(でも何が?)

自分でも思考回路謎のまま、それでも反射的に店内に戻ろうとしたけど、金縛りかかったみたいに身体が動かん。

助け求めようとして声すら出ないことに気付いた。

いつもふらふら歩いてるはずの女が、すっと素早く近寄ってくる。

明らかに普通じゃない様子で、髪振り乱してドレスの裾ゆらしてこっち来るのに、誰も気付いてくれない。

もの凄い顔で笑ってて、その表情の怖さにふーっと気が遠くなった。

だって、目のあるとこ、全部黒目にかわってるんやで。

怖い、もうあかんって思ったときに、いきなり誰かが後ろからぎゅっと腕を掴んできた。

驚いて顔上げる(ここで身体の自由が戻った)と、男の人で、話しかけようとしたら「静かにして」って小声で注意された。

呆然として顔見上げてると、男の人はますます手をぎゅーっと握ってきて、怖い顔で前を見てる。

吊られて視線戻したら、女がすぐそばに立ってて、男の人を呪い殺しそうな目つきで睨んでた。

すごい陰惨な顔してて、怖くて横で震えてたけど、女はもう、うちのことは眼中にない感じで、

「…………殺す……」

って、つぶやいて、男の人の横をぶつかるみたいに通りすぎて店内に入ってった。

男の人はその後、私をぐいぐい引いて駅構内までくると、やっと手を離してくれた。

駅が賑やかで、さっきあったことが信じられんで呆然としてると、

「大丈夫か?」

って声かけてきたんで、頷いたけど、本当はかなりパニクってたと思う。

相手の名前聞いたりとか、助けてもらった?のにお礼言うとか、まともにできなかった。

男の人は改札まで見送ってくれた。

別れ際に、

「もうあそこ通ったらあかん」

とか言われて、

「でも仕事あるし」

「命惜しかったらやめとけ」

答えようがなくて黙ってると、

「今日は運よかったんや。あんたの守護さんが俺を呼んであんたを守ってくれたんやで」

「………………」

「たまたまやねん。わかるか?あんたが助かったの。たまたま守護さんがわかるもんが、たまたまそばにおった、それだけやで。あいつにとり殺されたくなかったら、もう通らんとき」

(守護さんって何やのん。守護霊のことか?)

霊なんて見たことなかったから、自分の体験したのが何なのかわからなかった。

正直、今もわからない。

女はどう見ても生身の人間に見えた。

それで返答に困ってると、その人は私に何度も「一人で通るなよ」と繰り返して行ってしまった。

未だにアレが何だったのかわからない。

私は二ヶ月後、そこの仕事場辞めたけど、その間、夜は泉の広場は一度も通らなかった。

男の人も、女も共に謎。

男の人の名前、聞いておけばよかった。

助けてくれたんなら(今も半信半疑だけど)お礼言いたかった。

反面、かつがれたんかな?と思わなくもない。(でも目的は何さ?)

すっきりしない。

怖い目にあった次の日、性凝りもなく泉の広場を通ろうとしたのな。

霊体験の少ない悲しさ(ワラ

で、なんか日が変われば白昼夢(夜だったけど)見たみたいな感じで、恐怖感が薄れたんさ。

実際、昼間通った時は何ともなかった。

で、帰り道。

さすがに暗くなってると、あの男の人の『とり殺される』って言葉が浮かんで怖かった。

ただ、梅田界隈って賑やかやから、警戒心は薄れてた。

自分の中に、女が人間かどうか確かめたい気持ちもあった。

でも、甘かった。

泉の広場に続く階段を途中まで降りると、赤服の女がしっかり居たのな。

下から三段目ぐらいの階段右の隅っこのほうに、背中こっちに向けて座ってた。

(もしかしてこれは待ち伏せ?)

反射的にそう思った。

私は広場をうろつく姿は見てたけど、女が階段に座ってるのを見たことはなかった。

妄想かも、と思ったけどぞっとした。

逃げたほうがいいと思った時、女がゆらぁと立ち上がった。

まるで、操り人形の糸を引いたみたいな不自然な立ち方で、何故かその瞬間(あっ、こっち向く!!)って判って、慌てて階段駆け上がって後も見ず逃げた。

その時は体動いたんで、神様ありがとうと結構マジに思った。

【体験談】