怖っ!怖っ?怖い話

いろんな怖い話を集めています。

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「 不気味 」 一覧

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深夜の湖

まあさ、ライトを買ったのよ。

LEDの集光ヘッドのやつ。

ま、集光ヘッドってどんなもんだろな、と思って点けてみたら、かなりなスポットそして激明。

『闇を切り裂く』って表現がぴったりでさ、感動した訳よ。

銃にマウントしてあちこち照らして遊んでたんだけど、ふと思いついた。

『これだけスポットなら、レーザーサイトみたいな使い方、出来るんじゃね?w』ってさ。

そう思いついちゃうと試したくて仕方がなくなっちまった。

だけど、もう11時過ぎてるし近所迷惑だしな。

だけど止まらなくて、出掛ける事にした訳。

行き先は日本で2番目に大きな湖のほとり。

30分以上走って到着。

いや~穴場だけあって真っ暗だ。

何せ1キロ以内に1件も家無いしな。

一番近い家は対岸だ。

ここなら苦情は来ないはず。

早速、湖面に向かって射撃開始。

ライト点けながら撃つと、面白いようにスポットの真ん中付近に着弾して、スポスポと飛沫が上がる。

面白れ~って調子に乗って撃ってたけど、ふと気が付くと、沖の方に何か浮いてる訳よ。

白っぽい球状の物が。

ブイか何かか?よし、的にしたれ、と思って照らしまくってたら、好都合な事に段々近づいて来る。

30メートルくらいまで近づいて来た頃に気付いた。

『あれ?そう言えば、こんなに凪なのに何で近づいて来る訳?』

今日は小糠雨が上がったばかりで、対岸の灯りが湖面に綺麗に写るくらいに凪いでる。

なのに1秒1メートルくらいのペースで近づいて来てる。

『トポン、トポン』って音たてながら近づいて来る。

取り敢えず撃ってみたが、変わらず近づいて来る。

15メートルくらいまで近づいてやっと気付いた。

『これ、首じゃね?』

目、付いてるし。

こっち見てるし。

思わずフルオートで撃って、そのまま逃げた。

堤防を駆け上がって、車に乗ってエンジン掛けようとしたら掛からない訳よ!

ベタ過ぎだろ!

思わず湖面を見たら、堤防の下の岸壁から『ニョキ』と手が突き出す所だった。

『ガシッ』と岸壁を掴んで『グッ』と力が入る。

もうライトで照らしてないのに、はっきり見えるし。

俺は思わず目を逸らした。

俺は、半泣きでお経を唱えながらイグニッションを回し続けた。

「べちゃ」

「べちゃ」

上がって来たよ!!!

岸壁から堤防の上の車まで10メートル無いし!

「ぐちゃ」

「ずるっ」

「とすっ」

堤防上がり切った!

車まで5メートル無いだろ

「神様仏様!!!!」

エンジンが掛かった!!!

ギアをドライブに叩き込んで全力で逃げた。

少し離れて、思わずルームミラーで後ろを見たら、遠くで白い人型が両手を広げてた…。

これが今夜の0時頃の話。

書き込んだら少し落ち着いてきたよ。

幽霊は何回か見た事あるけど、あんなのは初めてだった。

【 体験談 】

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ゆらゆら

つい最近の話。

資格試験の為に図書館で勉強してて、午後7時半になったので帰宅してる最中に見たモノと、それからの実体験です。

図書館は駅から10分ほどの場所にあるが、人通りが少なくて空き地もちらほらある。

資料館も兼ねている為、建物自体も昔ながらの造りで、夜になると周りは結構不気味な感じ。

電灯は大通りに出るまではまばらで、線路沿いの薄暗い道を歩いて駅を目指すのがいつもの帰り道。

いつもなら閉館まで大体受験生など5人は自習室に居るのだが、その日は自分合わせて2人のみ。

最後に残った人は自習室の電気を消して帰らないといけないので、早めに切り上げとこうと思い、帰宅準備を始めてると先程まで残ってた1人も既に居ない事に気付く。

帰ろうとして電気を消すと、中にまだ人が居るような気がして再度点灯するも誰もいないので、少し怖さを感じ電気を消して階段を下り出口へ。

その時に消したはずの2階の自習室で『パチン』という音が鳴り、電気が点いたような気がした。

職員が見回りでもしてるのか、と気に留めず外へ。

既に明かりは暗くなっており、図書館利用者ももう居ないようで周りに人気は無し。

外にある喫煙所に行き、タバコを吸ってから帰ろうと思い灰皿に向かう途中で、カナリ嫌なモノに出くわす。

今考えると、これに出会ったから後々に嫌な事が続いたのかもと思う。

喫煙所に向かいつつ、鞄からタバコを取り出そうと下を向いてふと前を見ると、喫煙所の横にある小道から人が出てきた。

ただ人が出てきただけなら良かったのだけど、ソレはどうも様子がおかしい。

ユラユラというかフラフラというか、灯りがないのでそういう感じで出てきてるように見える。

ボールの様な物をついてるようにも見えるし、石を蹴飛ばしてるようにも見える。

その時は『人』だと思い込んでいる為、怖いという感情は全くもってなかった。

ただ、タバコを取り出してライターを取り出し、火を点けようとした瞬間に背筋が一気に張り詰めて寒気が走る。

ユラユラ出てきたヒトは、後ろ向きで歩いてきている。

先程も書いたがその道は小道である。

しかも曲がりくねっている。

電灯も無いので辺りは暗い。

なのに、後ろ向きでフラフラしながらゆっくりとこちらに歩いて来てる。

煙草を吸おうとしてた自分だけども、流石に怖くなってきて走って駐輪場を抜け、図書館を後にして早足で駅に向かう。

なんだったのかと理解しようとするが、全く考えれない程にパニックになってしまい、とにかく駅を目指す。

線路沿いの薄暗い道を歩きながら、ようやく気が落ち着いてくる。

ただ、すぐに再度背筋が凍りつく。

前方にある踏み切りが鳴りはじめた瞬間、反対方向の遮断機の前に赤いランプに照らされて人が立っている。

そのヒトも先程と同様に後ろ向きに立っている。

頭の中では色々と言い訳を考え始め、ただ電車が通り過ぎる時に向こうを見てるだけだろとか、誰かが後から来てて振り返ってるだけだろと、気分を落ち着かせようとするが『カンカン、カンカン』の音に気が散ってどうにも落ち着かない。

すると遮断機が下りているのに、後ろ向きなのにもかかわらず、それはゆっくりと遮断機の横から線路に入ろうとしてきた。

その時に「キャー」という女性の声が聞こえた。

全く気付かなかったが、自分が進んでる方向の遮断機の前にも女性がいたらしく、その後ろ向きで進もうとする人に対して叫んでいた。

だけども、そのヒトは全く止まらない。

それを止めようと女性は慌てながら中に入っていく。

自分は、それをただただ見ている。

電車が来てるなー、大丈夫かなー。

あ、やばいかも。

おい、いそげ。

あ、ちがう。

後ろ向きの奴は人じゃない。

と、思った瞬間から一切の記憶無し。

次の日、女性が電車に飛び込んで自殺をしたことになっていた。

新聞にも出てたし、俺も心療内科で入院してて警察がきて説明?とかをしだして親も心配なのか、何があったの?とか聞いてきたが全くもって説明できなかった。

ただ、ヒトを助けようとしてたんじゃないかなと、ぼーっとした感じで答えてるだけだった。

それから数日後(退院後)に検査のために再度病院へ行き、カウンセラーだとか言ってる医者に話をしても、

「それは、多分君がそう思ってるだけだよ。そんなヒトは居なかったんだよ。警察も他に人は確認できなかったって」

と言ってた。

自殺を見たショックで自分がおかしくなってるのか?

あれは全て事後に創られたものなのか?

と、ワケがわからなくなり、パニックが余計にひどくなりかけた。

でも、絶対に自分は見たんだと核心できる事が起こる。

それは友人から聞いた話で、女性が自殺した踏み切りで幽霊が出るようになったと噂が出始めた。

どうやら、成仏できない女性が学生などから度々目撃されるらしい。

その女性は『後ろ向き』で何かを探しながらユラユラしてるらしい。

この噂を聞いた時に、自分だけは『それは女性じゃなく、それこそが女性を殺したヒトだ。』と思っている。

【 体験談 】

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裸足

十年以上前の話。

自分は男。

地元で有名な自殺の名所といわれる滝に、バイト仲間男女八名ほどで肝試しに行った。

午前3時過ぎ。

完全に真っ暗で、明かりは自分が持っていた懐中電灯がひとつだけ。

山道を100メートルほど歩くと滝があった。

手前に低い柵があり、そこから先は大きな岩盤が滝つぼまで20メートルくらい。

なだらかな階段状になっていた。

自分はひとりで柵を越え、岩場を降り、水をさわるとすぐにみんなの元に引き返した。

懐中電灯で2、3メートル先を照らしながら濡れた岩場を上っていると、怖かったのか、ひとかたまりになって待っているみんなの足もとが光の中に見えたのだが、そのなかにひとり裸足の奴がいた。

ごつい男の足がはっきり見えた。

季節は秋。

結構寒かったので『なんでこいつ裸足??』と思って、懐中電灯の光をなめるように少し上げると、テロテロの安っぽい灰色のスラックスが見えた。

中年オヤジっぽいセンスのやつ。

その瞬間、つまずいて懐中電灯の光がぶれた。

すぐに同じ場所を照らしたが、裸足はいなかった。

「裸足になってる奴は誰だ?」と、みんなに聞いたが、もちろん誰もいなかった。

気持ち悪い冗談言うなと怒られたので、もうそれ以上なにも言わなかった。

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引き摺り婆さん

昔、俺はよく友達とゲームしてたんだ。

俺と友達は、お互いそのゲームに当時はハマっててね。

当時ほとんど毎週末、俺は友達のアパートに行き、徹夜なんか当たり前でゲームやってた。

一旦ゲームを始めるとそれ以外の事をするのが面倒だから、俺は友達のアパートに行く前に必ずコンビニで大量のお菓子とジュース買ってさ。

そうやってゲームしてたんだが、ある週末にいつものようにゲームしてると、二日目の徹夜に突入した時にジュースが切れちゃってね。

コンビニまで行くのも面倒だから、友達が

「下まで降りて自販機でジュース買ってくるわ」

って言ってくれた。

友達の部屋は三階だったんだが、一階まで降りると道沿いにすぐ自販機があった。

俺も

「おう、ありがとう。お前が戻ってくるまでに自分の番終わらせとくわ」 って。

それでゲームしながら一人で待ってたんだけど、二十分たっても三十分たっても友達は一向に戻って来なかった。

時計を見ると夜中二時半だった。

俺は少し嫌な予感したけど『まあ気が変わってコンビニまで行ったかな?』くらいにしか思ってなかった。

すると、その友達から携帯で電話かかってきた。

俺が電話に出てみると、友達は電話の向こうでえらく息があがっててね。

しかも何かに怯えてたような感じだった。

俺が

「どうしたの?今どこ?」

って聞いたら

「今…ハァハァ…えー…アパートから五百メートルくらい離れた所…ハッハアッ!さっき自販機でジュース買おうとしてたんだけど、変なお婆さんに会って…怖かった!」

その友達とは付き合いが長かったんだが、それまで見たことないくらい友達は怯えてて、俺はとりあえず友達を落ち着かせなきゃと思い

「話は後で聞くから、とにかく戻っておいでよ」

と言ったんだが

「戻りたいんだけど、そのアパートの自販機の所でお婆さんに会ったんだから、戻れない!」

俺も、そのとき下まで降りて友達を助けに行きたかったんだが、チキンだからそんな不気味な老婆がいると聞いては降りれなくてね(笑)

なんとか電話を繋いだまま友達をなだめて、アパートまで誘導した時には幸いその老婆はいなかったらしい。

友達は当然部屋までダッシュ。

で、どんな老婆だったかと聞いたら、このアパートの周りで夜中に老婆が一人で歩いてる事自体異常なんだが、その老婆は何か少し重そうな荷物をズルズル引きずっていたそうだ。

その姿を友達は気味悪く感じながらも、無視しながら我慢して『早く通りすぎてくれ!』と思ってたんだそうだ。

そして、その老婆が友達の後ろを通りすぎようとしたその時、急に老婆は立ち止まり荷物を抱くように持ち上げて、押し殺したような声で

「…すまんがこの荷物を預かってくれんかのう…」

と言ったらしい。

そこで友達は耐えられなくなって、その場から逃げ出した。

それから友達とは

「結局、その荷物の中身はなんだったろうな」

「赤ん坊とか、バラバラにされた遺体の一部だったら怖いな」

などの話をしつつも、友達は部屋に戻ってきた安心感とお互い一人ではないので、少しずつ雰囲気も明るくなり、そんな話でも冗談混じりで話せるようになった。

で、その奇妙な老婆もそんな夜中に歩いてたから気味悪く感じるだけで、幽霊なんている訳でもなく、荷物も別に普通の荷物だよ、と。

現実的には、ただちょっとおかしなお婆さんに遭遇しちゃったね、で話は終わった。

で、その夜は友達も疲れていつもより早く寝てしまった。

俺は本当はそんなに眠たくなかったんだが、友達と睡眠サイクルを合わせないと一緒にゲームができないので、俺も無理にでも寝る事にした。

いつものように友達はベッドに寝て、俺は床に適当に寝た。

どうせ睡眠時間は短めにしか取らないから床でもかまわない。

しかし俺は眠たくなかったので、その夜は横にはなったもののなかなか眠れなかった。

どのくらい時間が過ぎたかよくわからなかったが、静まり返った部屋の外でエレベーターの動く音が聞こえた。

この部屋はエレベーターに一番近い部屋で、俺は横向きに寝てて床に直に耳がついている状態だったから、その音がやけに近く直接響いてくるような感じだった。

しばらくしてエレベーターが止まり、ドアが開く音がした。

どうやらこの部屋のある三階に誰かが降りたようだった。

今は多分、もう夜中の四時を回ってるくらいの時間のはずだ。

この階の住人でそんなに遅い時間に帰ってくる人がいたのかと、俺は少し変に思った。

するとエレベーターはまた降りて行き、それから

ズルッ ズルッ

と、ひどく力のない、靴を擦りながら遅く歩いているような足音が聞こえてきた。

その足音が、耳を床に直につけている俺には直接伝わってくる。

ひどくその音が不快に感じたし、眠りを妨げるためにわざとその音を出しているように感じたくらいだった。

その時に気づいたんだが、その不快な音は明らかに足音だけでなく、何か重たい物を引きずっているような音だった。

さっきまで忘れていたのに、すぐに友達が遭遇した老婆の事を思い出した。

まさか。

そう思った時、俺は直感的に動いてはいけないと思った。

その音が直接耳に伝わってくるのが不快で体を動かしたかったが、動いてはいけないと思った。

必死で俺は、そのズルッズルッという音を我慢しながら『早く通りすぎてくれ!』と強く思った。

だが、その荷物が相当重いのか、それとも本当にそれが俺の思う老婆なのか、その移動する足音は異常に遅かった。

やがてその足音は止まったのだが、この部屋のドアを通りすぎたようには聞こえなかった。

『この部屋のドアの前で立ち止まってる…?』

俺は嫌な汗がどっと出てきた。

絶対動いてはいけないと思った。

友達に話しかけたかったが、友達からは寝息が聞こえた。

本当に熟睡していたようだった。

この部屋の造りは少し変わっていて、一般的なアパートの部屋と少し違っていた。

ドアを開けると、いきなり横長なリビングの部屋があり、集金などで見知らぬ人が来ても、ドアを開けるとすぐに部屋全体が見える感じ。

つまり、その時ドアの向こう側に立ち止まっていた得体の知れない奴と、横になっていた俺の距離はドアを隔てているとは言え、実質三メートルくらいしか離れていなかった。

『絶対に見られている!』

俺は必死に息を殺した。

早くこの部屋から去って欲しいと思った。

もの凄く長く続いた静寂の後、その足音は再びズルッズルッと何かを引きずりながら、さらに奥の隣の部屋に行った。

俺はホっとしたが、その後その隣の部屋でそいつは、

ガチャガチャッ!

ガチャガチャッ!

ってドアを強引に開けようとしたんだ。

もうそいつがこの階の住人でない事ははっきりとわかった。

しかしドアを強引に開けようとしている事から、そいつが幽霊とかそんな類なものではないようにだけは感じた。

もうそれがわかっただけで良いから、俺はとにかくこの最悪な時間が早く過ぎるよう、寝てしまいたかった。

そして、そいつもその部屋を諦めて、さらに奥の隣の部屋に向かって行った事が足音でわかったので、俺は極力息を殺しながらそっと体の向きを変えた。

床から耳を離し、その足音自体遠のいて行ったので、ほとんど足音は聞こえなくなった。

俺はやっと少しウトウトしてきて、眠れそうになってきた。

すると、

ズルッズルッ!

また足音が戻ってきた。

もう本当に勘弁して欲しかった。

しかし今度は隣の部屋などは、その足音は素通りだった。

この部屋も素通りしてくれる事を俺は期待したんだが、やはりその足音は再びこの部屋のドアの前で止まってしまった。

ガチャガチャ

ドアを開けようとしている!

俺は体が硬直してしまった。

が、その時友達がその音を不快に感じたのか

「ううーん!」

と寝ぼけながら寝返りをうった。

俺が目を開けて友達の方に視線を送ると、カーテンからうっすら日の光が見えた。

少し夜が明けてきていたようだ。

俺が気がつくと、すでにドアの音も足音もしなくてドアの向こう側に気配も感じなかった。

俺が気がつかないうちに、あいつはエレベーターで降りて行ったのか?

わからない。

その後、友達はあの夜の老婆の話もしないし、明るく忘れているようだった。

だから、俺も敢えて俺があの夜体験した事も話していない。

現在は仕事上、友達も引っ越している。

でも俺はたまにあの夜の事を思い出す。

友達も口には出さないが、俺と同じだと思う。

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慰霊の森2

うちの父ちゃんは筋金入りのバカだったので、大学のサークルも『オカルト研究会』とかいうのに入って、毎シーズン心霊スポットに凸ばっかりしていた。

2年の夏休み、その年はちょっと遠出をして、岩手の『慰霊の森』に行こうという話になった。

メンバーは父ちゃん、同期、先輩×2で、4人を乗せた灰色のバンは、夜の1時頃に目的地に到着した。

車を停めて、一行は懐中電灯片手に慰霊碑へ。

途中、足場が悪くて何度か転んだが、それ以外は特に何事もなく、線香をあげて下山。

「何も起こらなかったな」

と談笑しながら、4人は乗ってきたバンのもとへ。

乗り込んでエンジンを掛けたところで、父ちゃんはションベンがしたくなったという。

ひとりの先輩と共に、立ちションをしに降りた。

ややしてションベンを済ませ、車の方に向き直ると車の上に何かいた。

そいつは車の上に仰向けに寝そべり、手や足をめちゃくちゃに振り回して、激しいブレイクダンスを踊っているように見えた。

ただ、体中にやたらと多い関節が、ありえない方向に曲がりまくっていた。

しばらく呆然としてその光景を眺めていた父ちゃんだが、そいつが勢いのあまり車から落ちたところで、はっと我にかえった。

いつの間にか、ションベンが終わった先輩が横に居た。

父ちゃんが興奮気味に、

「ヤバイっすね!見ました!?今の!すげえ踊り!」

と横を向くと、先輩は

「ちげえよ、ありゃ千切れかけの手足振り回してただけだ」

と言って泣きそうな顔。

車の下では、まだ何かがバタバタともがいているようだったが、父ちゃんたちはそれを見ないようにして車に乗った。

因みに、あの事故で、手足がちぎれそうになりながらも、僅かの間生きながらえたような犠牲者はいない。

きっとあそこには、事故犠牲者以外の何かが居る。

【 でじほん! 】