「 幽霊 」 一覧
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体育館の霊
動物園で有名な某市の中学校で、実際体験した先輩から聞いた話。
校舎改築する前の旧校舎の体育館で、女子卓球部が15人くらい先生同伴で夜まで特訓してたんだって。
なんか館内の空気がいや~な感じになって、何人かが
「気持ち悪い」
と言い出してザワザワしだした。
でも明日試合だからってがんばってたら、気持ち悪くて泣き出す子まで現れた。
しかたない、今日は解散…て時にいっせいに悲鳴が。
壇上の隣に、足を引きずる男の霊が全員にはっきりみえてパニックになったらしい。
先輩から話きいて、ふぅ~んて感じだったけど、家に帰ってばあちゃん(元教師)に話したら
「それ○○さんだわ…」
って青ざめて話し出した。
昔、その中学にばあちゃんと仲よかった男の先生がいて、事故で片足が不随になりながらも教壇に立っていたらしい。
でもヤンキー女子生徒に足ばらいされて転ばされたり、陰で陰険ないじめをされていて、ばあちゃん夫婦に『教え子に虐げられてる』と相談しに来た次の日、体育館の裏で自殺したんだって。
裏付けを後から知って一人で怖くなったわ。
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いわく
当時、俺はカラオケ店でバイトしてた。
働きはじめて1年くらい経ってたので、フロント、キッチン、ドリンク全部出来たんだけど、その日はたまたまキッチンだった。
土曜の夜はどこのカラオケも忙しいと思うんだけど、うちの店も例外じゃなかった。
ライバル店がなかったのも忙しさに拍車かけてたと思う。
終わりの見えないオーダーラッシュと戦ってるとパントリィ(正式な意味は知らんけど料理やドリンクの受け渡しをする場所をそう呼んでた)が、ざわついてるのに気付いた。
その雰囲気が、雑談が盛り上がってるって感じとも少し違って気になったんだが、キッチンは俺一人で手を止めるわけにもいかなかったし『雑談する暇あんなら手伝えよ!』っていらいらしてた。
ちょっとしたらバイト仲間がキッチンに来て、テンション上がり気味に
『自殺!自殺!』って…
そいつの話では、その客は障害者だったのか怪我してたのか、ともかく車椅子だったと。
一人で入店しフリータイムで入室したが、ファーストオーダーのドリンク以外なにも注文せず、歌ってもいなかったので『変だな…』程度には感じてたらしい。
フリータイム終了のコールをしても出なかった為、そいつがルームに行くと客はソファーに横たわってた。
叩いても揺さぶっても起きず、睡眠薬だかなんだかの瓶が転がってたので、慌てて支配人に報告。
支配人が呼んだ救急車で運ばれてったと…
救急隊員は車椅子を置いてった。
後日、客の家族が来てフリータイムの料金を払い車椅子を受け取ると、何度も謝りながら帰ってった。
正直、その客が死んじゃったのか助かったのかは結局、今もわかってないんだよね。
でも、それ以降うちの店で心霊現象や幽霊の目撃者が相次いだ。
自殺騒動から1ヶ月経ったぐらいかな?
俺はその日フロント担当だった。
平日だったし暇だったので、一緒にフロント担当した新人の女の子と雑談してると、自殺があったルームからコールがあった。
受話器を取ったのは女の子で
「はぁ…はぁ…」
と困惑気味に対応していた。
新人だったその子は、対応しきれないって感じで
「少々お待ちいただけますか?」
と受話器を俺に渡した。
俺が
「内容は?」
と聞くと、女の子は
「よくわかんないんです><;」って…
『新人では対応できないってことはクレームか?めんどいな…』と思いながら受話器を取り客の話を聞くと、ソファーと壁の間から手が出てくる…とゆう内容だった。
これには俺も「はぁ…はぁ…」としか対応出来なかったよw
電話じゃ対応しきれなかったので、ルームに向かった。
『手なんて出てるわけねぇだろw』
とか
『シャブ中だったら違う意味で怖いな…』
とか考えながらノックしてドアを開けると…
確かに手が生えてたw
客から聞いてた『手が出てくる』ってのとは感じが違って、壁とソファーの間から手が生えてた。
にょきっとw
客はスナックのママと常連のオッサンって感じの二人で、ママには手が見えてない模様。
ママはしきりに
「ごめんねぇ、この人飲み過ぎちゃったみたい」
と笑いながら謝っていた。
オッサンはママが謝る度に
「そんなに飲んでねぇよ!酔っ払ってねぇよ!」と怒鳴ってた。
「兄ちゃんにも見えるよな!」
と聞かれたが、そこは客商売。
『確かに手ですねぇ…』なんてのんきな対応ができるわけもなく…
自分には見えないが、気持ち悪いようなら即座にルームをかえると伝え、ルーム移動+それまでのルーム使用料のサービスで解決した。
ルーム移動の後、片付けに行ったら手は消えてたよ。
その後も従業員の半数以上が、閉店後の清掃作業中にスピーカーから男の声がしたとか。
未使用のはずのルームに人がいた等、何らかの心霊体験を経験した。
うちの店は5階建てで、件のルームがあるのは5階、キッチンは3階、フロントは1階。
営業終了後の清掃作業中は1フロアに一人だから、件のルームも一人ぼっちで清掃するんだ。
女の子は怖がるから男連中の仕事になってた。
それでも心霊現象が止まなかったんで、普段は事務仕事しかしない支配人をバックルームから引っ張り出して、モップと掃除機を渡して一度でいいから5階の締め作業をしてみてくれと、バイト仲間がお願いしたことがあった。
少し不機嫌そうに『何も起こらなかったら以降心霊現象で騒ぐのは中止な!』って…
まぁ、色んな意味で営業に支障が出てたんだろうな。
1時間もすると支配人が3階に降りてきて、キッチンを締めてた俺に
「ありゃ、洒落になんねぇなw」って。
モニターやアンプの電源を落としながら一部屋ずつ清掃していくんだが、5、6部屋清掃し終わったときに消したはずのモニターの電源が入ってるのに気付いたらしい。
落とし忘れたかな?程度にしか思わず、全部屋清掃して最後のトイレ清掃に向かった。
大便器の清掃を終えて個室から出ると、トイレから出ていく男の後ろ姿が見えたらしい。
バイトの誰かの悪戯だとはちっとも思わなかったって。
その男は全体的にぼやけてて、生きてる人間とは明らかに違ったから。
それでもバイトの手前、騒ぐわけにいかないと平静を保ってたんだが、清掃用具を片付けてトイレから出ると、全室のモニターとアンプの電源が入っててさすがに怖くなり、駆け降りてきたんだとさw
それ以降は、他のフロアを先に締めて全員で5階を締めるってルールが導入された。
他にも多々あったんだが、どれもたいしたことないからやめとく。
こっからは関係ない話なんだが…
7年以上前の話だし、当時バイトしてた奴で今も働いてる奴はもう一人もいない。
ただ、当時働いてた奴で今もカラオケ店の近所に住んでる奴がいて、そいつに最近聞いた話。
客として歌いに行ったときに、ドリンク運んできた兄ちゃんに
「昔ここでバイトしてたんだけど…(略)まだ幽霊でるの?」って聞いたらしい。
そしたら、
「バリバリ出ますよw」って…
ご丁寧にいわくまで教えてくれたらしいんだが、そのいわくってのが…
『この店のある場所、昔は墓地だったらしい…』ってさ。
もちろん出鱈目で、カラオケが出来る前は確か中古車屋だった。
よくある心霊スポットなんかのいわくってのは、こうやって誰かのホラによって創られてくんだなって思ったよ。
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占有屋
もうかなり前の話だけど…
土方やってたんだが、給料の不払いなんかがあって仕事辞めた。
無職で金もなく職場の寮も出た為、やむを得ず、しばらく連絡もとってなかった悪い友達に連絡した。
友達の先輩の更に先輩って感じでタライ回しに紹介されて、最終的に893屋さんのSさんに紹介された。
Sさんや、Sさんの知人(カタギ)の仕事の手伝いをしてお小遣をもらい、しのいでた時期があるんだけど…
仕事っつっても違法なもんじゃなく、解体現場の手伝いとかね。
まぁ、時には多少違法な仕事もあったかも…
893屋さんも不景気だったし、毎回小遣いもらってたわけじゃなく、一日肉体労働して飯食わせてもらうだけのときもあった。
文句なんてなかったし、あっても言えなかったが…
住んでたのも、そのSさんの家。
まぁ、俺は後輩の後輩って感じで紹介されたわけで、俺自身は893じゃなかったし、目指してるわけでもなかったから『部屋住み』なんて堅苦しい感じじゃなく居候って感じだったけどね。
洗濯なんかも奥さんがしてくれてたし。
でも、はたから見たらチンピラだったろうな…
別に、チンピラな俺!イイ!なんて思ってなかったし、早くそんな生活抜け出したかったけど、ああゆう世界ってのは爪先だけでも踏み込むと容易には抜けられないのよね。
そんな居候時代に知り合ったTさんって人がいる。
俺より3歳年上で、元自衛官。
お世辞にもいい人とは言えず、無責任でキレやすい。
金もあんまり持ってなくて、誘われて飲みに行ったのに会計は俺なんてこともあった。
(もちろん、ある時はTさんが払ってくれたが)
893ってよりチンピラだったな。
年齢的にも若かったし…
今はもう付き合いがないが、居候生活抜け出してしばらくは付き合いがあった。
居候生活から抜け出したばかりの頃。
夜中にいきなり血まみれでやってきたこともある。
ケンカって言ってたが、ケンカであんな返り血見たことない。
まぁ、真相はわからん…
服を借りると、血のついた服は適当に処分しといてと言い残して帰ってった。
今考えるとこっちのほうが洒落怖だなw
当時は麻痺してたわ…
ある日、Tさん電話があった。
T『今、暇か?』
俺『はぁ、まぁ…』
T『家の前にいるから出てこい』
暇じゃなくても連れ出すつもりだったんだろな。
そんな自分勝手な人。
車に乗せられ、到着したのは普通の一軒家だった。
そこまで理由も目的も聞いてなかった俺は、誰の家か尋ねた。
Tさんは『俺の家』ってあっさり答えた。
Tさんが一軒家なんて持てるわけがないと思ったが、もしかしたら後輩におごらせて地味に貯金してたのかとも思った。
そんぐらいセコい人だったから。
しかし、詳しく聞いたらどうやら占有屋的なことをやってるらしい…
『~~~~とゆうわけだから今は俺の家』だってさ。
占有屋手伝わされるんだと思って慌てた。
仕事もあるし無理だと伝えたが
『おもしろいもん見せてやるから一晩だけ泊まってけ』
とのことだった。
家の回りにはカタギには見えない債権者(おそらく)がいて俺はガクブルだったが、Tさんには逆らえなかったので一晩だけ泊まることにした。
家の中は、テレビもねぇ!ラジオもねぇ!って感じ。
Tさんが売り払ったのか債権者が回収したのかは知らんけど、空っぽだった。
クリーニングも済んでない。
まぁ、Tさんが占有してんだから当たり前だが。
中にはTさんの後輩の坊主頭がいたけど、すぐにTさんが帰らしたんで二人っきりになった。
話すこともないし酒飲んだ。
たいした会話もなく、しばらく飲んでるとTさんが酒買ってくると言い出した。
俺も行こうとしたんだが、家を空っぽにはできないとのことで却下された。
(そういや、おもしろいもんって何だったんだ?)
そんなことを考えながら、ぬるいビールを飲んでたら2階から足音がした。
俺はとっさにゴルフクラブ(Tさんが持ち込んだ)を片手に身構えた。
債権者が2階の窓から侵入したと思ったから。
今考えればそんな無茶するわけないけど、そん時はそう思ったんだよね。
殺られる前に殺れ!じゃないが2階に特攻した。
2階の4畳くらいの和室にオッサンがいた。
50代くらいの作業衣着た工場の社長サンって感じのオッサン。
マジで債権者が侵入してきたんだと思った。
そんぐらいハッキリ見えるオッサン。
でも、生きてる人間とはちょっと違った。
うまく表現できないけど幽霊だってわかった。
頭に浮かんだのは自殺。
競売物件だったし。
気付いてないふりして、そーっと忍び足で1階に降りたよ。
触らぬ神になんとやらだし。
俺は『見える』んだけど『祓える』わけじゃない。
祓う力があったとしても方法を知らない。
それに、他人の家でたまたま遭遇した幽霊を祓うなんて、幽霊にしてみりゃ迷惑な話だ。
とにかくTさんの帰りを待つしかなかった。
『おもしろいもんって、多分アレだな…』
とか考えながら一度読んだヤンジャンを何度も読み直してると視線を感じた。
Tさんか?と思い振り返ると…
オッサン下りてきやがった。
オッサンから目が離せなかったよ。
でも、どうやら気付いてるのは俺の方だけ。
オッサンは気付いてないみたいだった。
ずーっとオッサンを眺めてた。
最初の印象は、オッサンが何か探し物をしてるんだと思った。
でも、どうやらオッサンに目的はないみたい。
俺にも全然気付かずに家中を徘徊してる。
例えるならSIRENの前田父って感じ。
前田父と違うのは規則性がないことかな?
階段と玄関の間をふらふらしてる…だけ。
なんか漠然と『無害かな?』って思ったんだが、得体の知れないものはやっぱり怖い。
そんな状況でも逃げ出さなかったのは、オッサンよりTさんが怖かったからだな…
オッサンから一瞬たりとも目を離せなかった。
だって、ちょっとでも目を離したら、次に後ろ振り向いたときに超近くにオッサンの顔が!、とか色々考えちゃって…
そんな状況が1時間ぐらい続いたかな?
人間ってのは適当なのか、それとも防衛本能なのかわかんないけど、緊張が続くと寝ちゃうのねw
酒のせいもあるかもだが…
目が覚めて部屋を見渡したら、もうオッサンはいなかった。
時計見たら3時くらいだったかな?
時間確認した瞬間、再び背後に気配感じた。
振り向いたら階段からオッサン下りてきた…
ずっといたんだorz…
自分が寝てる間にもオッサンが家中を(自分のいる部屋も含め)徘徊してたって考えたら全身鳥肌立ったよ。
相変わらずオッサンは徘徊するだけだった。
次に2階に上ったのが最後で、オッサンが下りてくることはなかった。
今度こそ怖くて眠れなかったよ…
5時頃になって外が明るくなるのを確認したら、少し安心して眠りに就いた。
結局、Tさんは昼頃帰ってきた。
酔っ払ってたよ…
俺が昨夜のオッサンの話をすると『忘れてたw』って…
あらためて幽霊よりTさんが怖いって思ったよw
『あのオッサン、ここに住んでた人ですか?』
って聞いたら、住んでたオッサンは普通に生きてるよってさ。
『じゃあ、なんなんすか?』
って聞いたら
『知らねーよ!貧乏神じゃね?』って…
『貧乏神ってw』
って笑ったんだが、ちょっと考えたら『なるほどな…』とも思った。
幽霊?と一晩過ごしたのは後にも先にもこの日だけ。
どうせならオッサンじゃなくて美人の幽霊がよかったよ。
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いわくつき物件の内見
最近引越しをした私が、賃貸業者の担当者から聞いた話。
内見に向かう車の中は他愛無い世間話で盛り上がっていた。
担当者の新婚生活だとか、正直むかつく客の話とか。
話題も尽きてきた頃に、不動産といえば定番の質問をしてみた。
「いわくつき物件って、やっぱりあります?」
「ありますねぇ。この業界いる限り避けられないっすよ。」
担当者もオカルトやホラーが好きだったので話に乗ってきた。
その賃貸会社(大手)では、過去に自殺や他殺があったりなどいわゆる「いわくつき物件」は隠さず公表するという。
内緒にしておいて後々バレるほうが面倒だから、と言っていた。
以下が担当者の体験した、そして私が聞いた実話。
数年前のある日、自分の担当物件の内見が申し込まれた。
お客はスナックを経営しているという、50代の明るいオバチャン。
その物件は条件が良い割りに、相場よりはるかに家賃が安い。
つい最近自殺があったばかりの「いわくつき物件」だった。
オバチャンに過去に自殺があった部屋ということを伝えると、
「あー大丈夫大丈夫!私ね、霊感あるの。良い霊か悪い霊くらいは分かるからね、平気!」
と、頼もしい返事が返ってきた。
では早速行きましょうか、と車に乗り込んだ。
時間は22時半。
ほどなくして問題の物件に着いた。
大家から預かっている鍵を取り出し、オバチャンの顔色を伺いながら恐る恐る部屋のドアを開ける。
「あら、いいじゃなーい!」
どうやらオバチャンの霊感レーダーには引っ掛からなかったらしい。
ホッと胸を撫で下ろし、部屋の説明を始める担当者。
ベランダ、リビング、収納等、おおむね回って説明し終えた。
「んじゃ最後に水まわりで終わりですねー」
そう言ってトイレを開け、次にユニットバスのドアを開けた。
「え?」
ドアの内側から鍵がかかっていた。
この物件に入ったのは、自殺があってから自分達が初めてのはずだ。
仕方なく小銭とピンで小細工してドアを開けると、バスタブにお湯が張られているのを見てぎょっとした。
鍵は閉まっていたのに、誰が?いつ入った?それとも最初からいたのか…?
「出ましょう!早く!」
逃げるようにその家を後にして、店に戻った。
落ち着いてから、聞きたくはないが、何があったのか聞いてみる。
「何なのあそこ、大丈夫かと思ったらお風呂場にいるじゃない!亡くなったのアジア系の男性?ひどい死相だったよ、ほんと。気絶しても確実に死ねるようにバスタブにお湯張ってたのね」
後に聞くと、自殺したのは韓国人男性。
鍵がかかっていたあのユニットバスで首を吊って死んだらしい。
現在は、関西から上京してきた男性が一人で住んでいる。